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Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。 ( No.7 )
日時: 2011/10/07 22:13
名前: 桐生玲 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第1話 ウェルカム、黒影寮。


 とりあえず、翔さんはメチャクチャ不機嫌そうに、私から少し離れたところに座りました。
 何で不機嫌そうなんでしょうか。分かりません。

「……えーと、ご用は何かな?」

「あ、ハイ。叔母からこのような封筒を持たされてここに行けと言われてきたんですが」

 私は昴さんの前に封筒を差しだします。
 昴さんが受け取る前に、翔さんが白い封筒を横取りしました。
 私に近付きたくないのでしょうか? それはそれで、少し辛いですけど。
 翔さんは封筒をびりびりに破き、中からノートのようなものを取り出しました。それを見た翔さんは、私にノートを投げてきました。
 一体何なのでしょう。

「そのノートは、俺ら黒影寮に住んでいる住人の個人情報だ」

 個人情報? はて、何故そんなものを私に?
 私は不思議に思いながら、ノートを開きました。
 ふむふむ。やはり1番最初は寮長である翔さんですね。身長、体重、座高、視力——能力値?

「能力値って何ですかね」

 私は翔さんに訊きました。
 翔さんは答えてくれず、代わりに昴さんに説明するように命令しました。

「えーと……普通の人達とちょっと違うのね。少し化け物じみてるのかな? 例えば、俺だね」

 昴さんはおもむろに立ち上がると、トンと前に足を踏み出しました。
 すると、昴さんの足元に魔法陣のようなものが浮かびあがったのです。
 炎が魔法陣からあふれ出て来ます。どうするんでしょう?

「翔ちゃん、受け止めてねー!!」

 昴さんはそう叫ぶと、翔さんに向かって魔法陣を蹴飛ばしました。
 翔さんは退屈そうに欠伸をかましながら、片手だけで魔法陣を吹き飛ばしてしまいます。
 ……何の世界を見ているのでしょう?

「俺のこれは反閇(ヘンバイ)っていう中国の技でね。君には分からないけど、星を踏むと発動する魔術なんだ」

「そ、そうなんですか」

 いきなり言われても、分かりません。

「これで分かったでしょ? 俺らは社会にいる人から大分かけ離れた存在なの。いいかな?」

「よ、よく分かりかねますが……理解は出来ました」

 正直言いますと、頭の中が整理しきれていません。
 それを見破ったのか、翔さんが冷たい声で私に言ってきました。

「分かってねぇだろ。俺らがイレギュラーだって事を理解しないと、管理人としてやっていけねぇぞ?」

 管理人? 叔母さんがやっている、あの?
 意味が分からず首を傾げていると、翔さんが封筒の中に残っていた紙をテーブルの上を滑らせました。
 私はその紙を受け取ると、内容に目を通します。

『銀ちゃんへ。黒影寮の管理人、よろしくお願いします』

「何ですか、あのババアぁぁあああああ!!」

 初めて叔母さんの事をババア呼ばわりしました。
 何故って? いきなり管理人をやれなんて分かりませんよ。仕事。