コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 黒影寮は今日もお祭り騒ぎです。応援ありがとう!! ( No.72 )
- 日時: 2011/12/12 21:37
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
- 参照: 亀更新万歳!! ゴメンなさい
第6章 俺達の管理人がこんなに可愛い訳がない。
私です。神威銀です。
只今、英学園にいます。黒影寮の皆さんにお弁当を渡すのをすっかり忘れていたのです。
今日は創立記念日で、私の学校は休みです。なので管理人という名義を使って簡単に学校に入る事は出来ました。
出来ましたけど——。
「何で私は追いかけられてるんですかねぇぇぇぇぇえええ!!」
授業中だというのにもかかわらず、教室から全ての男子生徒が出てきて私を追いかけ回すという行動をしていました。先生までもがそうです。
どうしたのでしょう。
ま、まさか銀の鈴というのにこんな能力が?!(←そんなのありません By作者)
その時です。
「銀ちゃん! どうしたんだよ?」
「空華さん! 助けてください、追われてるんですー!!」
特別クラスであろう教室から、空華さんが出てきてくれました。どうやら、彼だけは正気のようです。
さすがの空華さんも、この大勢で追いかけられているのは予想外だったのでしょう。顔が少し引きつっています。
「と、とりあえずいったん教室にー!!」
空華さんが私の腕を引いた瞬間、
ビュ————ズガン
ナイフが、壁に、刺さりましたよ?
飛んできた方向を見てみますと、つかささんがカッターやらバタフライナイフやら果物ナイフやらをたくさん構えて立っていました。表情は笑顔です。
「銀ちゃんをこっちに渡してくれる?」
「……つかさ。お前、今まで寝てなかったか?」
空華さんが私の前に立ち、苦無を手に持ちます。
つかささんは問答無用で数種類のナイフを投げつけてきました。
「こんなものっ!!」
空華さんは短く詠唱し、風を起こしてナイフを吹き飛ばしました。さすがです。
だけど、優勢なのは束の間、次の瞬間に雷が降ってきました。
「【雷雨よ起これ】」
「げっ?!」
空華さんはとっさに雷をよけます。
つかささんの横に立ったのは、悠紀さんでした。目がどこか眠たそうです。
「……悠紀。お前は原稿があるとか言ってなかったか? 何で銀ちゃんが来た瞬間に書くのを止めてる訳? 大体銀ちゃんが横を通る時でも余裕で小説を書いてたよね」
「うるさいな。眼帯馬鹿は黙って、神威銀を渡してくれさえすればいい訳。【こっちによこせ】」
言霊を発動した悠紀さんでしたが、空華さんは簡単にその洗脳をふっ切ります。
何か危険を感じたのか、空華さんは私を抱えると、窓を蹴破りました。そのまま青い5月の空へと舞います。
って、何で飛んでるんですかー!!
「このままじゃやばいから、いったん黒影寮に帰るよ!!」
「は、ハイ!!」
***** ***** *****
黒影寮に逃げてきた私達は、とりあえず何があったのか話す事にしました。
お兄ちゃんに送られてきた香水をつけた、と話しますと、空華さんの様子が変わりました。
「……それ、何の香水か見せてくれる?」
「これです」
ポケットに入っていたピンク色の香水を空華さんに渡します。
瓶を見て、空華さんは顔をしかめました。
「ラブ・ポーション……。恋の魔法って意味の香水だ」
「え、では……それが原因で?」
「魔法って言っても呪いみたいなもの。これをかけて異性に近づくと、惚れ薬効果で追いかけてきちゃうみたい。多分、それが原因でつかさも悠紀も『銀を渡せ』みたいな事を言ってたんだ」
チッと空華さんは舌打ちをします。
で、ですが。
「空華さんは効かないんですか?」
私はこの、ラブ・ポーションという香水をつけています。そして空華さんに近づいています。
ここで空華さんは狂って私を——あ、この先は考えたくありません!! もう嫌です!!
ですが、空華さんは自分の右目を指で軽く叩きました。眼帯がしてある右目です。
「この右目。眼帯で封印されてるけど、何もかもを殺すっていう強力な呪いがかかっててね。それで銀ちゃんの呪いを『殺して』いるから俺様には効かないと思うんだ」
「そ、それでしたら私の呪いも解いてくださいよ!」
「無理。これ、自分には効くけど他人には効かないの」
申し訳なさそうに言った空華さんでしたが、
「でも、他の方法で銀ちゃんの呪いは解ける。少し時間はかかるけど、ここは黒影寮だし俺様もいるから。大丈夫、安心して。呪いにかかってる銀ちゃんを襲っても後味悪いし」
ポンポン、と軽く空華さんは私の頭を叩きました。
その時——
「王良空華」
凛とした声が、空華さんの名前を呼びました。次の瞬間には辺りには炎が生まれていました。
どこまでも赤い、紅い、炎。地獄の炎。
まさか——。
「銀を渡してもらおうか」
死神ルックでやってきた翔さんは、空華さんに向かって言いました。