コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Lv.14 名前「これがこいつのネーミンセンスなんだよォ!」 ( No.250 )
日時: 2011/12/10 19:24
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 4yuxSnKU)
参照: 魔王「ダイがいい感じにDieされちゃったね。南無南無ー」

「ぐッッ……なんか、こんなに、あっさりやられると、なんか、虚し……ベホァッッ」
「うぜえのとめんどうくせえからそれ以上喋んなks」
ギルベルトが思い切りダイを踏みつぶすと、ダイは自然消滅していった。




「————って消滅?!」

辺りをきょろきょろと見回しても、さっきの陰気蒟蒻オタ野郎(ギルベルト曰く)の姿は何処にもなかった。
不可解な出来事に動揺せざるをえなかったが、その様子を見たフォンシエが苦笑いしながら説明した。
「あれはな、ダイという名前の『モンスター』だ」
「……!?」
いや、どうみても人型だろうと言いかけたギルベルトの気持ちを読み取ったかのように、エテルナが話し始めた。
「私もあの箱の攻撃を見て思い出したのですが——人型モンスターで、パソコンと呼ばれる機械の箱で攻撃技をしかけるそうです。箱にキーボードとよばれる凹凸があって、それで言葉を紡ぐと技が出るという仕組みだそうです。
……ですが、本人はさほど強くないという事を自分に治癒術かけている時に思い出したので、とりあえず杖でポカンと」
照れくさそうにそう呟くエテルナ。

————女ってこえぇ……。

とギルベルトは心の奥底でそう呟いたのであった。







「さーって、どこら辺にあんのかなあ。噂の凄い武器とやらは」

三人は武器探しに明け暮れていた。
ギルベルトは胸を躍らせながら、エテルナはどんな武器なのかを想像しながら、そしてフォンシエは倒す前に武器があるかどうかぐらい聞けばよかったなあと後悔しながら探していた。


——その少し前、傷だらけだった二人をエテルナが治癒術で癒したために、少しの敵になら戦っても問題ない程度には回復していた。
ちなみに、ギルベルトの回復速度が異様に速く、二人で驚愕したというのはまた別の話。



————と、そんな時。

「おーい、下僕とエテルナー」
ギルベルトは大木の前で二人を呼んだ。
フォンシエは「また下僕か……」と呟きつつ、二人はギルベルトの元へと駆け寄る。

「うお、なんだこれ」
思わずフォンシエの口から言葉が漏れる。

——その大木になんとか人が入れる程度の穴があった。
覗いてみると、中は入口よりも大分開けた空洞となっており、夕暮れなのもあったが、薄暗かった。
「すっげえ怪しくね?」
「確かにそうかもですが……。全員ではいってしまうとモンスターの襲撃が心配ですね」
エテルナがそう呟くと、フォンシエはぽんぽんとエテルナの肩を叩いた。
「んなら、俺とエテルナは此処で待機してるよ。だから、お前は行ってこい。……武器があったらいいけどな」
そう言うと、フォンシエはウインクをして笑った。

「——ま、そんぐらい当然の事だよな。んじゃ、見てきて武器獲得してきてやんよ」
ギルベルトはにやりと笑い返した。







数分後。

「大丈夫かなあ、あいつ。無かった場合落ち込むを通り越して俺を殴りだしそうで怖いんだけど……」
「たしかに、そうですねぇ」
ズカズカと威勢良く入っていった異世界人の事を思いながら、二人はぼーっと待っていた。

————その刹那。



「どっすうぇええええええええええええええい!!!」

「「!!??」」


目の前の穴からではなく、上空から声が響く。
二人は一斉に顔をあげると、そこには——————


「最強かつ最凶にチィイットな俺様だぜひゃっはあああああああぃい!!」

叫び散らしながら、手に入れたであろう武器を握りしめ、落下するギルベルトの姿があった。
「っておい! 何考えてるんだよお前!」
フォンシエは慌ててそう叫んだが、時既に遅し。

ギルベルトは勢いよく地面にDiveした。
「えほっ、ごほっごほっ」
「けふっ、こほこほっ」
安否を確認しようとしても、砂煙に襲われてそれどころではない。
鼻の奥がムズムズし、二人は咳とくしゃみと涙と鼻水地獄に襲われた。


……と、そんな時。

「へっ、お前の顔超絶だっせwwうぇっうぇwwww」
腹を抱えて指差しながらゲラゲラ笑う野郎の姿。
あの姿はまぎれもなく——というかどう考えてもあいつしかない。
「ギルベルト、お前無事だったのか!」
「俺様が死ぬわけないだろうがksッッッッ!!」
胸をポンと叩きながら、武器を見せつけるギルベルト。

「おお…………」
「これはまた…………」


その武器は随分と立派な大剣であった。
……しかし、謎のブラックオーラを纏っており、悪役の大玉が持ってそうな怪しい雰囲気を感じさせる。
そんな武器が目の前にいる悪役ズラの男に異様に似合っており、フォンシエは思わず爆笑(とはいっても心の中でだが)した。

「そ、それって名前とかあんのか?」
必死に笑いを堪えながらなんとか質問するフォンシエ。
すると、ギルベルトはドヤ顔で堂々と息を吸う。


「ふん、そんなの【ブラックオーラを纏った大剣】に決まってんだろks!!」
「ッグフッッッッ」


——ネーミングセンスの無さに大爆笑するフォンシエに頭突きを食らわす五秒前なのであった。