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Lv.19 従者「メイド少女with誘拐事件 前編」 ( No.346 )
日時: 2012/01/04 16:12
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: eZhua0R/)
参照: 魔王「今回は前編と後編に分かれるよ。……何気に初めてだよね」

「やれやれ、おじさんは平和的に物事を解決しようとしただけなのに」

男はそう言うと、銃を持っていない方の手で少女の細い腕を掴む。
「だから、さ。そのおっかない武器はしまってくれないかなあ。そうじゃないとさ、この子傷ついちゃうよ?」
男は口調のわりに冷たい声でそう言い放つと、少女の頭に銃口を突き付けた。
「無駄な争いは避けようよ。無駄に戦おうとするのは馬鹿がする事だからね」

「——なら、馬鹿になってやるよ」
ギルベルトはぼそりとそう呟くと、大剣を男に向けた。
「意外だな、お前がそんな事言うなんて」
フォンシエも続いて、弓を構える。
「別に、俺様は正義の味方気どりがしたい訳じゃねえっつの。ただ単に、強そうなやつがいたら戦いたくなるだけだ」
「相変わらずお前ってやつは——」
そうフォンシエが言いかけた途端、フォンシエの頬が切れ、血がうっすらと滴る。
それからコンマの違いで銃声が聞こえたために、フォンシエはあの男に撃たれたのだと気付いた。

「——仲好しなのは構わないが、それ以上仲良く話してると死んじゃうよ?」
「んな風に余裕ぶっこいてると死ぬぜ、おっさん」
連射される銃弾を軽やかに避けながら、ギルベルトは男に急接近。
「せぇえええええええい!!」
大剣を振りかざすと、男は間一髪のところで避けた。

「想像よりかはいい反応だね。——まあ、あんまり暴れるとおじさん上司に怒られちゃうし、退散でもしようか」
そう言うと、男はミレイユの腕から手を離し、闇の中に消えていった。
「ちょ、待てッッ——、くそ、何なんだあの退散の速さっ」
フォンシエは苦虫を噛みつぶしたような表情で先ほどまで男がいたほうを見ていると、少女が二人の方へ近づいてきた。

「私(わたくし)を助けていただいて有難う御座います。——是非、助けていただいたお礼をさせてほしいのですが」
透き通った声の少女は、そう言うと薄く笑みを浮かべた。
「どうする、ギルベ「泊らせてくれ」
「……ですよねー」
フォンシエは苦笑いをすると、少女は少し悩んでから口を開ける。
「分かりました。——許可が取れるかどうかはまだ分かりませんが、とりあえず、屋敷までご案内します」
「まぁずぃでぇ?!」「本当か!」

————そうして、二人は少女——ミレイユ=フェリークと出会った。







「————成程。お前の名前はミレイユっつーのか。それで、アデレイド家っつーところのメイドをやってんだな」
「その通りです」

簡単な自己紹介を済ませた三人は、アデレイド家の屋敷へと向かっていた。


——アデレイド家、というのは、シアオンを代々統治している貴族の家系で、ミレイユはそこのメイドをしているらしい。
どうやら、昔アデレイド家の主人にお世話になったようで、それから恩を返すために働いているんだとか。

「そういや、色々と質問があるんだけどさ」
フォンシエは先ほどの出来事を思い返しながらそう言う。
「はい、なんでしょう」
「えっとー……、さっきの男は何だったんだ?」
そう言うと、ミレイユは表情を消した。

「——それが、私にはよく分からないのです」


「「わからないぃ?」」

思わず、男二人の声がハモる。
「分からないのに、あんな馴れ馴れしくできるもんなのか人間って……」
「いや、ツッコむところそこじゃないから! ……じゃあ、いつあの男と出会ったんだ?」
「それはつい先ほどです」
そう言うと、ミレイユはふぅとため息をついた。
「私の主人が先日行方不明になり、捜索をしていた時にあの殿方に出会いました」
「ちょっと待ってくれ、行方不明?」
ギルベルトがそう問いかけると、ミレイユは一瞬驚いたような表情になった。
「……そういえば、お二方は先ほどこちらに来ましたから、連続誘拐事件についてご存じないのですね」
「誘拐事件なんておきてんのかココ」
ギルベルトは露骨に嫌そうな顔をする。
フォンシエはそんなギルベルトに苦笑いした。


「——それなら、まず誘拐事件について説明いたしましょうか」

ミレイユはそう言うと、浮かない顔で説明し始めた。