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Lv.23 加護「炎の精霊と鍛冶屋の関係」 ( No.467 )
日時: 2012/04/15 14:22
名前: とろわ ◆DEbEYLffgo (ID: 4pBYKdI8)
参照: 魔王「そんなことまでして鍛冶屋とかやりたくないんですけどー」

「ああ、そうか。確かにそういう時期もあるよな」
ギルベルトは涼しそうな表情でそう言う。
少年は訝しげにギルベルトを見つめると、ギルベルトは気持ちが悪いほどのにこやかな笑顔になった。
「うん、反抗期にはそういう行動をしたくなるよな」
「へぇ?」
少年はガクリと膝を曲げ、やれやれと呟いた。
「そーんなにボクの事が信用できないの?」
「当たり前だろ」

「……お前なあ」
さっきまで黙って聞いていたフォンシエがギルベルトの方へ近づく。
「な、なんだよいきなり」
ギルベルトがそう言うのと同時に、フォンシエはそっと耳打ちする。

(いくらそうだったとしても、あの年頃の子供ってのは難しいもんでさ。そういう事を言っちゃ駄目なんだよ)
(おお、成程。確かにそうだな)
(だから、そういう事を言わずに、微笑ましく見守ってやるのが年上の義務ってこったな)
(ははーん、そうすりゃいいのか。面倒くせえけどしゃーねえな)

「ちょっとー。お兄さん×2。すっごくボクに失礼な事言ってるよね。絶対そうだよね」
少年は暫く様子を窺っていたが、痺れを切らしたのかそう言って二人の間に立った。


「どうやらまるっきり信用していないみたいだから、その証拠を見せてあげようじゃないか」
少年はそういうと、自分の眼帯をさらりと取った。







そこには炎があった。

少年の瞳の色を滅茶苦茶にかき乱すような炎。
それが、眼帯の下に隠されていたモノであった。
「んだよ、コレ……」
ギルベルトは珍しく顔をひきつらせ、少し恐怖してそう呟いた。
「これこそがまさに鍛冶屋『イフリータ』の証。イフリータから炎の加護を授かった証拠だよ。イフリータは炎の精霊の事で、まあ、実際は『サラマンダー』っつーらしいんだけどね」
「ちょっと待ってくれ、サラマンダーって四精霊の事だよな?」
フォンシエが驚いたような表情でそう言うと、少年はコクリと頷いた。
「そう。でも、四精霊は伝説上の生き物で、とある事件をきっかけに消滅しちゃってるんだ」
「なら、なんでサラマンダーが……」
「まあ、それで身体は消滅しちゃってるんだけど、まだ命自体は残っているらしーんだよね。これ以上の事は極秘事項だから言わないけどさっ」
そういうと少年はクスリと笑った。
————まあ、勿論ギルベルトには理解不能な訳で。
「世界征服うんぬんの次は四精霊かよめんどくせ」
と臍を曲げていた。

「まま、あんまり細かいことは気にしないほうがいいよ。とりあえず簡潔に説明すると、ボク達は片目を代償として抜き取って、代わりにこのイフリータの目と呼ばれるモノをはめ込むのさ。そうすると、イフリータの力で炎を自由自在に操って、色々な武器の加工ができるんだよねー。まあ、これは選ばれた人間にしかできないんだけどサ」
「……鍛冶屋こえぇ」
想像以上のグロデスク、とギルベルトはそう呟いた。
「だいじょーぶだいじょーぶ。皆優しいから」
「いや、そういう問題じゃないだろ」
フォンシエは顔をひきつらせながらそうツッコむ。
「とにかく、これからこの鍛冶屋『イフリータ』をよろしくね! この店以外にも、世界各地にあるからさ。みんな個性的でおんもしろいよ〜」
と、営業スマイルで少年はそういった後、ギルベルトの大剣を見て目を丸くした。
「うわお、そんなレア剣どこで手に入れたの?!」
「んあ、別に。そこらの森に」
「そこらの森にって……。凄すぎ、だってそれボク達の間で噂になるぐらいの名剣だよー!」
「そんなに凄いもんだったんだな。——あ」
フォンシエが何かふと思いついたように言った。
「そういや、この剣の正式名称ってなんなんだ?」
すると、少年は自慢げに

「そんなの【ブラックオーラを纏った大剣】に決まってるじゃないか!」
と言った。








硬直。

フォンシエは昨日の会話をもう一度頭の中でリピートさせる。


「そ、それって名前とかあんのか?」

「ふん、そんなの【ブラックオーラを纏った大剣】に決まってんだろks!!」
「ッグフッッッッ」






「————は?」

フォンシエは無意識にそう呟いた。
「ほーらやっぱり! 俺様は正しかったんだよ!」
ギルベルトは嬉しそうにそう言う。
しかし、フォンシエは納得がいかないような表情をしていた。
「なんでそんな有名な剣がそんなテキトーな名前なんだよ!」
「ふっ、名前に意味なんてないのさ……」
「なんでそこでかっこつけるんだそこで!」
「いいじゃねーかよ下僕。細かい事にいちいち文句つけてたら老けるぞ」
「お前は黙ってろ! あーもう、訳わかんねえ!」
フォンシエはそう叫ぶと、頭を抱えてうんうん言い始めた。




「——キミのお連れさんって愉快だねぇ」
「全くだっつーの。頭おかしいんじゃねえのまじで」
「お前等に言われたくねえ……」