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第一章「新入り」＃３
「ちょっと!」

昼休み。私と智歳が囲まれていないうちに人手の少ない非常階段へ連れ出した。

「んだよ。俺さぁ、オマエ……桜様の監視を命じられてきたのですが?」
「……。ちょっとぉ!?その『桜様』っての学校ではやめてくれない!?」

私は不満そうに言う。
多分、顔も不機嫌だろうな。だって事実だもん。

「敬語って言ったのは誰でしょうか?」

そういって智歳は顔を近づけてきた。

「ちょっ、顔近い……」
「え?おい」

へナッ座り込んでしまう。
な、なんで!?ひざが立たない。

「大丈夫か?」
「あ、あんまり近寄らないでよ。レズ疑惑があがる」
「そんなこと言ってる場合か」

そういって智歳は立ち上がった。

「ひゃっ……」

私を肩に乗せる。余裕で。

「お、下ろしなさいよ」
「…………ホントに?」

一旦私を肩から下ろすと、顔を覗き込んでくる。

カァ……

自分でも顔が赤くなるのが分かってしまう。

「な、なにがよ?」
「分かってるくせに」

だから、なにが……

「あら、だれかいるのかしら??」

え?先生!?
ヤバッ……

「智歳。どう……」
「シッ。一言も喋るな」

い、意味わかんない!
しかも、人差し指を私の唇に当てるなぁ!
でも、口に出してはいえない。

——あれ?私、智歳に従ってない??