コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: バカ執事!! ( No.20 )
- 日時: 2011/11/07 17:00
- 名前: 麻優 (ID: 3eop5mZb)
第二章「病気」#4
あれから、私たちは手をつないだままでいた。
放すのもいやだし、「手離そう」なんて恥ずかしくていえない。
「どこ乗る??」
片手でパンフレットを持ちながら聞いてきた。
「え!?あ、何があるの??」
顔、近い……。
なんか恥ずかしい。
「んーとなぁ〜、ジェットコースターとか……あ、お化け屋敷とか!!」
「え、お化け屋敷?」
お化け屋敷と聞いて後ずさりする。
暗闇とか幽霊とかだいっ嫌い。
「あれ?お化け屋敷嫌い??まぁ確かに女子向きじゃねぇよなぁ〜」
?? バカにしないの?
いつもならゼッッタイ
「お化け屋敷苦手なわけ??うわにあわねぇ」
とか言うでしょ!!
「映画とかみる?」
マップの一箇所を指差す。
- Re: バカ執事!! ( No.21 )
- 日時: 2011/11/07 17:34
- 名前: 麻優 (ID: 3eop5mZb)
今日の智歳、なんか優しい。
ちょっとドキドキしちゃうジャン。
ちょ、ちょっとだよ?ホンのちょっと。
「映画、どれ見る?恋愛とか……ホ、青春とか!!」
「ホラーでいいよ」
だって智歳、ホラー好きでしょ??
私だって、映画のホラーくらい見れる。
「え?大丈夫か?これ、相当怖い奴だぞ」
な、何で決心を揺らがせる!!
「だ、大丈夫だよ。映画くらい見れるって!!」
「ホントに?変えてもいいんだぞ??」
「良いってば!!ホラー見よ!!この映画、人気あるからチケット売り切れるよ。ホラ、急ごう」
私は智歳の腕をつかんで歩き出す。
「っ……」
智歳は何か言おうとした。だけど、途中で口を閉じる。
?? 気になるなぁ〜。
* * *
「ほら、急いで正解だった!最後の二枚だったじゃん」
気を紛らわすために喋り続ける。
「おい、桜……ホントに良いのか?なんなら、今からでも変えるぞ」
「良いってば。気にしないでよ。ホントに心配症なんだからぁ!!」
ホントは怖いよ。足が震える。
チケットのイラストを見るだけでも泣きそうになる。帰りたくなる。
でも、私のために智歳の見たい映画我慢させるわけにもいかない。
いっつも我侭ばっかりだから、これぐらいしないといけないし。
「あ、あと五分だって。早く席へ行こう!」
私は暗い会場へ足を踏み入れる。
え、映画館って嫌いなんだよねぇ〜特に開演前の。
暗いし寒いし……。
「大丈夫か?桜」
智歳、いつの間にか私のこと呼び捨てにしてる。
パパに言われるのと少し違う感じ。なんだろう?この感じ。
「わっ……」
「おい!」
ボーっとしてたから目の前の段差に気づかなかった。
思わずつまずいちゃった。
「席、ここの奥」
「そっか……」
手を引かれて席へ誘導される。
その位置へつくと、ストンと座らされた。
『開演、二分前です。携帯など、電源を切るか、マナーモードに設定をしてください』
お決まりの放送。
なんか、足元の光まで消えちゃって……。
智歳の腕にギュッとしがみ付く。
「クス……ごめんな」
「え?」
謝りながら私の頭を撫でる。
「ほら、始まるぞ」
「うん。でも、こうしてていい??」
「どうぞ」
智歳は笑顔で答えてくれた。暗闇なのに笑顔って分かってしまう。
——もうすでにこの時には智歳は特別な存在だった。
