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運命☆改革 ( No.48 )
日時: 2012/08/11 18:35
名前: みお (ID: VEcYwvKo)


結局、吼弼の訳のわからない本は使えず、子の刻は終わりに近づいていた。

「あーもー、なんでこんな事で俺の貴重な脳みそ使わなきゃいけねーんだよー」

俺はやる気喪失。
吼弼も眠たそうだ。

蓮巳はちょくちょく時計を気にしている。
残り5分。
無理だよ、俺、じじぃの血なんか…。


〜♪

時計が軽快な音楽を鳴らした。

「うるさいですね」

吼弼が片目を開け、前髪をかきあげた。
蓮巳は、フッと笑った。

「笑っ—————!!!」
「すまんがの、もうタイムリミットでな、惜しかったな。では、———」


蓮巳の言葉を聞いて、今度は俺が笑う羽目になった。
この勝負、勝った。




「今更ですけど、その時計、10分早いんだよな。だから、まだ、子の刻って訳」
「なに!?」

蓮巳の顔色が変わった。

「という訳で、蓮巳、笑ったからな」

俺は胸をはった。
まさか、母親の癖で設定してある時計が役に立つなんて知らなかったぜ。

「時書を開くがよい」

蓮巳はしぶしぶ言った。
俺は、子の刻のページを開く。

蓮巳が軽く息を吸った。

「子の刻、解放」


強風が吹き、辞書がばさばさと音をたてた。
目を開けると蓮巳の姿はなかった。


何気なく、辞書を開く。

「解放…」
子の刻のページには、『解放』という紅色の印があった。



…やったんだ。
俺は、俺の子の刻は解放されたんだ。

安心した途端、体中の力が抜け、俺は重力に逆らえなくなった。


「吼…弼っ…」
蓮巳が去る時に完全に目を覚ました吼弼の名を呼ぶ。

「無理をなさらないでください。番人を呼び出すのでさえ、力がいるのですから、短時間で番人と契約を結ぶのは相当な体力がいるのです」

「…はぁ、はぁっ」

吼弼に言いたいことはあったが、口が思うように動かない。
全身の筋肉が自分のものではなくなった気がした。


少し落ち着き、ページをめくると、子の刻の次のページに、今までなかった文字があった。


『 ウシノコクヲ ソウスルモノハ ワガミヲ イタミツケル 』