コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: CLONE ( No.3 )
- 日時: 2012/01/06 17:56
- 名前: ミルクチョコレート ◆/QnEJQqynw (ID: BboXR9dT)
第弐話『失敗作』
初めまして。
僕の名前は…ない。
まあ、NEO(ネオ)とでも名乗っておこう。
僕はこの建物から脱出したい。
その為には服を着なければいけない。
手紙に書いてあった通り服は銀色のロッカーに入っていた。
僕は服を手に取った。
何故か血が付いている…
こんな気持ち悪いもの着たくはないが、そんな事をいっている場合ではない。
足音が聞こえる。
僕は急いで服を着た。
そして僕は耳を澄ませてみた。
すると足音が段々大きくなっている。
この部屋に向かっているようだ。
何処かに隠れた方がいいのか?
それとも何か武器を取ればいいのか?
どうしようか考えているうちに、ドアの開く音が聞こえた。
ドアを開けた先にいたのは6歳ぐらいの体つきのポニーテールの小さな少女だった。
「君は…?」
「私の名前は無いわ、それよりも自分の名前を先に言うのが礼儀ってものじゃない?」
瞳が蒼い少女は見かけによらず大人びた口調だった。
僕は少女に自分をNEOと名乗ってから少女に質問した。
「さっき名前が無いって言ってたけど、君はCLONE?」
事務机に置いてあるポットを手にし、わずかに残ったお茶を少女に入れ、話を始めた。
僕はもしも相手がCLONEではなかったことを考え自分がCLONEとは言わなかった。
「そう、私はCLONEよ」
少女はお茶を一気に飲み干し、きっぱりと言いきった。
僕は自分の事を素直にCLONEと受け止めらる少女を見て、驚きながらも質問を続けた。
「その根拠は?」
「ビデオカメラに私が生まれるところが映っていたの」
少女は肩から下げていたバックを事務机に降ろし、ビデオカメラを取り出した。
ビデオカメラには10人ほどの研究員が映っていた。
すると、大声で笑っている男が映った。
その男はNEOがいた個室にあった眼鏡をかけ、目薬をポケットに入れようとしていた。
この個室はこの男の物だったのだろう。
男は髪の黒さ、茶色の瞳、鼻や口の位置、全てがNEOと同じだった。
「遂に!!遂に完成するぞ!!私達の最高傑作が!!」
NEOに似た男は大声で叫んでいた。
「ですが、昨日創ったCLONEはどうするのですか?」
研究員がNEOに似た姿の男に話しかけた。
「あ?あいつか?あんな奴放っとけばいつか飢え死になる」
NEOに似た姿の男は人間と思えない冷たい言葉を発していた。
NEOはその言葉で心を痛めたが、次の言葉でトドメを刺した。
「あいつは失敗作だからな」
NEOはショックで立ち直れなかった。
少女はNEOの事を静かに見つめていた。