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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 聖なる夜の贈り物 ( No.6 )
- 日時: 2012/01/02 00:35
- 名前: 烏兎 (ID: JDkUYYgc)
六.
それだけではありません。
王子様が街の方へ目を遣ると、双子の光る輪っかが
屋根の上をすいすいと走っていくのが見えました。
お姉さんの金色の輪っかが走った後には金色の星が灯り、
妹の銀色の輪っかが走った後には銀色の花が舞っているのです。
やがて、街中を飾り終えた双子の輪っかは、
小高い丘の向こうにある、ステラとフロラのお屋敷にたどり着くいたところで、
すうっと消えて無くなってしまいました。
「これが君達からのプレゼントなのかい?」
「はい。あたしが蝋燭に消えない火を点けるおまじないを掛けました。」
「はい。あたしが空から解けない雪を降らすおまじないを掛けました。」
王子様は窓の方を向いたままなので、
二人は王子様の様子を見ることができません。
二人は胸をドキドキさせながら、どうか王子様が喜んでくれますように、
と心の中でお祈りをしました。
「お父様の部屋にあった絵と同じだ。
僕はずっとこれが見たかったんだ。
ありがとう、小さな魔女達。」
そう言って振り返った王子様の翡翠色の瞳が
あまりにも優しく微笑んだので、二人の胸は嬉しさでいっぱいになりました。
やがて、口を噤んで我慢していたフロラの青い瞳からポロッと涙が零れると、
同じようにステラの赤い瞳からも涙が一粒、零れました。
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