コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.3 )
- 日時: 2012/03/09 21:32
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 夕矢=ゆうや
私の妹、夕矢の部屋は、ピンクを基調とした女の子らしい部屋……などではなく、まあ確かにピンクと言ったらピンクなのだが、その部屋の惨状といったら女の子だなんて言ったら恥ずかしいレベルのものである。食べかけのポテトチップスやら、お菓子のゴミやら、脱ぎ捨てたままの服などで床が埋め尽くされている状態だ。
全く、どうしてこんな部屋で生活できるんだろう。妹の生態を理解できない私は、呆れて溜息を吐きながら部屋の中に足を踏み込む。……なんか変なぐにゃっとした物体とか踏まないだろうな……注意しながらおそるおそる歩く。
夕矢の性格は私と違って大雑把な性格で、女の子らしいと言うか、んー、なんだろ。今時の女子高生って感じだ。彼氏も居るし友達も沢山居る。
休日は必ずと言っていい程遊びに出かけていることが多い。高校三年生だから受験勉強とかある私にとって、夕矢のお気楽さは多少苛立ちを感じるほどだ。
髪は茶色に染めていて、ふんわりとパーマをかけている。実際の所は、私と同じく黒髪ストレートだ。地毛で茶髪なのはお母さんだけである。
可愛いか可愛くないかと問われれば、おそらく可愛い部類に入るんだろうなーと思われる私の妹。私も夕矢に似てはいる。しかし、なぜ私には彼氏とか居ないんだろう、とか正直考える。いやもう好きな人があんまりできないから、別に気にしてないんだけどさ。やっぱ、雰囲気とか性格の違いかなー。元気でノリの良い人がいいよなー、高校生は。とか。おばさん臭いことを言ってしまった気がする。
ようやく夕矢がぐごー、といびきをかいて寝ているベッドに辿り着いた。お父さんと私は静かなのに、と思いながら、声をかける。
「夕矢ー、起きろー」
結構大きい声出したつもりなんだけどなー。やはり手強い相手だ。私はターゲットに往復ビンタ(弱)をくらわす。
「起きろよ夕矢ちゃーん」
「うー、分かったー」
夕矢はそう言うが、一向にベッドから立ち上がろうとしない。その場しのぎが得意な夕矢ちゃん。流石である。しかし私は騙されない。
「アンタが昨日並んでまで買った、あの美味しそーうなカスタードプリン、私が食べていいのかなー? 私食べたいなー」
「だめッ! 絶対だめ!」
お茶目を装って夕矢に訊ねると、返事は勿論だめだった。まあ普通か。並んでまで買ったんだし。その代わり、夕矢はちゃんと目を覚ました様で、「食べないでよ!」と私に釘を刺してから、このゴミだらけの部屋をスタスタと超高速で出て行った。おお、やっぱり部屋の主は足場をちゃんと理解しているのか……と、正直自分でも意味が分からないが感心。
ま、プリンは食べたかったけれど私のダイエットのためだ、我慢しよう。と心に決めた。