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Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.8 )
日時: 2012/04/23 18:51
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: 愛ってどこに行けばもらえますか…(遠い目)

 下に下りてみると、お父さんと夕矢が目玉焼きを食べていた。きっとあの目玉焼きは美味そうだから、お父さんが作ったやつだろう、と推測してみる。
 この家はお父さんの方が料理上手だ。私と夕矢で言ったら、残念ながら夕矢の方が美味しい。形はともかく。私はと言えば、形も味も食べれるもんじゃない、とお母さんから酷評を頂いたぐらいである。将来は料理作れる男子のもとに嫁ぎたいと考えている。
 携帯の時計を見る。ふむ、七時八分か。十分ぐらいならまだ早い方かな。
 携帯から目を離すと、お母さんが私の方を睨んでいた。え、どうしてだろう。困惑していたら、お母さんが怖い口調で言う。

「アンタ、私の料理は……?」

なんだそんな事かよ。てっきり夜の散歩で深夜徘徊してるの見つかったかと思ったよ。警察にも見つかってないのに。

「冷蔵庫に納豆があったから卵かけて食べればー?」

そう言うと、鬼の様な形相をしていたお母さんは、急に明るくなり、「TKGね! 卵かけご飯にしましょ!」と言うとるんるーん、らんらーん、と踊りながらキッチンに向かって行った。……何とも単純である。本当にお母さんなのか不安になる。
 
「あ、お母さん! 私、今日彼氏と遊んでくるからね」
「おみやげ買ってきてちょうだい。シャンプー切れてるからよろしく」
「誰が買うか! て言うか随分と実用的なおみやげだな!」

口悪いな、我が妹は。結構私と似た者同士かもしれない。

 ……ていうか、『彼氏』ねえ。
 夕矢の彼氏の存在は前から知ってるんだけど、ちゃんと顔も見たことあるんだけど、やっぱり、夕矢の彼氏は誠実そうな顔だ。
 ちゃんと愛されてんだろうな、夕矢は。姉には彼氏すら居ないのにねえ。自分で言って、テンションが低くなる。


 『世界は愛でできている』だなんて、どこかの誰かがいつかに言っていた言葉。その言葉が、真実なら、本当なら。私の世界はどこにあるのだろう。そこに人は居るのだろうか。
 何かを想うちっぽけな心を愛情と呼ぶならば、家族に対しての愛情でも、友達に対しての愛情でも、動物に対しての愛情でも、ぬいぐるみに対しての愛情でも、思い出に対しての愛情でも、変わらないのだろうか。世界はできているのだろうか。
 結論なんて分からない。私の世界が在るのかすらも分からないから。
 私の世界に家族は居ない。独りぼっちで立ち尽くしている。それはきっと、私が愛という感情を思い出したくないからだ。
 愛なんて物を持ったとしても、それは結局他人事。

 ————私の理論を唱えたところで、また私が反論する。全く意味の分からない、心情だ。