コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.9 )
- 日時: 2012/03/18 08:49
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 私沖縄県民なんですけど、本島の人って手袋して学校行くのでしょうか
「んひょい!」
奇声をあげながら、勢いよくソファから立ち上がってみた。別に誰かがこっちを見るわけでもない。さっきまで皆が朝食を食べていたテーブルには、人一人居なかった。朝は皆忙しいんだよねー。
危うく寝てしまうところだった、ふう。と安堵する。眠気と憂鬱を振り切って、なんとか前を向く。別に振り切れたわけでもないけど。
ソファの上に置いておいたジャージとスクールバッグを片手に持って玄関まで歩く。だらだらと。さきほど携帯を覗いたところ、時刻はもう七時半だった。
玄関前で、ジャージを羽織ってから靴を履く。玄関のドアを開けて、ちょっとだけ小走りになる。暖かかった中とは違って、外の温度は私の肌を強く刺激してきた。ジャージのポケットに、手を入れる。勿論、カイロは持参している。手に暖かい温度がじわり、と伝わってくる。暖かい、というよりは熱いの方が合っている気がするけれども。
こういう寒い日は雪が降っている情景を想像しそうだが、想像も想像。現実ではただ風が吹いているだけだった。あと風邪菌も。
「あ、忘れてた」
私の後ろに立っている一軒家の家に目をやって、思い出した。
何を忘れたかというと、挨拶である。行ってきますの一言。ただそんだけ。
挨拶必須、なわけでもないけれども、それでも挨拶は大事なので、私はちゃんとおはようからおやすみまで欠かさないつもりだったが、つい寒さに忘れてしまったらしい。
——行ってきます。
今更、外に出て言うのも何だか変な気分なので、とりあえず心の中だけで言っておいた。
顔の真正面に風が吹く。あー、寒いなあ。
だるい気分で、足を前に進めた。
通学路途中に建っているコンビニに入る。暖かい、とはいえないぬるいぐらいの温度を感じながら、お弁当コーナーに向かう。私はそこで、しばらく立ち尽くして考え、からあげ定食なる物を手に取り、飲み物のコーナーへと歩き出した。飲み物はいつも通りのカフェオレを手に取って、レジに並ぶ。
このコンビニには日頃からお世話になっていて、店長とは顔見知りぐらいの仲だ。弁当作ってくれる人も起きてなければ、作れる人も居ない朝の家なので、毎朝このコンビニに向かうのが私の習慣だ。
温かそうな肉まんを見つめていたら、目の前に並んでいた人がそそくさと出口に向かっていった。
私は、やる気なさげな店員の前に立ち、カフェオレとからあげ定職、をカウンターの上に置いた。その疲れている表情に対して、慣れた手付きで商品のバーコードを読み取り、袋に詰めていく。いやまあ、どうせ弁当と飲み物だけなんだけど。
「六百八円です」と言う店員の声を聞いて、私は財布から六百十円を取り出した。店員にお金を渡すと、店員はレジからおつり分の二円を取り出し、私の手に乗せた。「ありがとうございましたー」と、やっぱりやる気なさげな店員の声を尻目に、私はコンビニから外に出た。
強い風が吹き抜ける。私は、やっぱり寒いなあ、と白い溜息を吐き出して、歩き出した。