コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.10 )
- 日時: 2012/04/23 18:56
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 癖っていう漢字と避けるっていう漢字似てますよね
——心の中に、憂鬱という名の感情が埋まっていく。そして私は、俯きながら通学路を歩く。
毎日がつまらないなんて思った事はない。ゲームもできるし、漫画も読める。お菓子も食べれるし、友達とも遊べる。それでも、何かが足りないと思ってしまうのだ。何か、一つだけ。
昔、どっかに落としてきた落し物の名前なんて思い出すだけで気分が暗くなる。幼い記憶を思い出す度に、私は泣きたくなる。
成長した気になってただけで、まだ子供だった私。あの頃に比べたら今は成長している。……気のせいだったなら、悲しいけど。
早く登校する癖がついてしまった。皆からの目を避けるようになった。何かを想って心配されるのが痛くなった。優しさが怖かった。嘘じゃないって分かってるけど、それでも。私は愛を信じられなかった。
もやもや、霧がかかって見えなくなる感情。とぼとぼ、気にしないふりして歩いていく私。
ふと、自分の左隣に目をやる。何も変わらない日常。何も変わらない心情。何も変わらない情景。堤防の向こうに見える町並み。気付けば学校に行く時に、必ず通る下り坂。帰る時が一番きつい。
…………もう、こんな所に来てたんだ。ちょっと考え事していただけでも、時間を忘れてしまう。
私は小走りして、坂道を下っていく。風が頬にあたる。冷たくても気持ちよく感じた。目覚めた、とでもいうのか。別に大した意味はないんだけどね。
校舎内に入る。靴箱に向かって靴と上履きを変える。学校に来て最初にすることと言えばこれだろう。本当に当たり前のことだけど。
校舎の中は暖房がちゃんと効いているのか、どこぞのコンビニなんかよりずっと暖かかった。
あと十分ぐらいしたらうるさくなるこの学校も、今では人が少なく、非常に静かだった。この時間帯に来る人は、きっと宿題を学校に忘れただとか、学校で宿題やる人だとか、そんな人が大半だろう。私みたいな、早めに学校に来て暇を持て余す人なんか、そうそう居ない。
教室も校舎内と同様に、静かである。来ている人は二、三人ぐらいで、その来ている人も、先程私が言ったよう、勉強に勤しんでいる。
……そんな必死にやるんなら、家でやってこいよ。
思ってみただけなので誰かに聞こえるはずもない。別に悪いだとかは思わないけどさ。
自分の席に座り、やることもないから机に突っ伏せる。