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Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.15 )
日時: 2012/04/08 18:27
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: ふざけてます。

「体育の授業って、試合より練習の方が時間とってる気がするよねー」

咲がそう言って、ボールを蹴り飛ばす。あ、と咲が声を出した頃には、勢いよく蹴られたボールは、私の横を通り過ぎ、それでもスピードを緩めずに直進した。
 
「ごめん、朝生!」
「いや、大丈夫。ボール取ってくるね」

そう言ってから、ボールを取りに走った。
 確かに、試合は五分ぐらいしかないのに、その分練習の時間は多いよな。そういう錯覚なだけとか、単に人数が多いから試合の数が少ないだけかもしれないけど。
 正直どうでもいいことか。試合も練習も、真面目にやってるわけじゃないし。どうせ体育の授業だし。

「ボール取って来ました隊長」
「なら蹴りなさい隊員さん」

咲に言われ、私はボールを蹴る。ボールは土の上をころころと転がって、咲の足元に到達した。

「咲、蹴りまーす!」
「勢いつけすぎないでねー」
「そっか、そうだった。んでは」

咲は、先ほどの出来事(ボールかっ飛ばしたこと)を思い出して、ちょん、とボールを弱く蹴り出した。つーか忘れるなよ。迷惑なのはこっちだよ。
 弱弱しく蹴られたボールは、私の足元に届かなかった。軽く駆けて、ボールを取りに行きながらも、大きい声を出した。

「今度は弱い!」
「あーもー、力の調節難しい!」

咲はちょっとだけ苛立ったのか、土を蹴り声を出す。そして二人で笑った。

「なにそれ、マジギレ?」
「うるさい! だって難しいんだもん」

と、口を尖らせた。ああもう、怒る仕草も可愛いなあ。美少女は何しても似合うって本当だな。

「はい、練習やめー!」

しっかりした女の先生の声がグラウンドに響いた。
 この先生は短気な先生と学校で有名なので、パス練習をしていた生徒は一斉に集合する。私と咲も論外ではなく、走って皆が集まってる場所へと向かう。
 列になり、座って先生に注目する。先生は辺りを見回し、お喋りがないか確かめる。基本、このクラスはうるさいので、後ろの方の女子が注意されていた。隣のクラスは静かなのに、どうしてこんなにうるさいんだろうか。……大して気になってもないけど。
 静かになったのを見た先生が、口を開いて話し出した。ああ、かったるいなあ。