コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.20 )
- 日時: 2012/05/02 19:24
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: いろいろ省略。
はあ。今日は疲れた。溜息を吐き出すと、白い息が目の前に舞った。吹いた風が頬を撫でる。ふと空を見上げると、冬にしては天気が良く、夕日が浮かんでいた。
「はあー……」
「朝生、ずいぶんと不機嫌な顔してるねえ」
「だって今日は最悪すぎでしょー……厄日?」
手で顔を覆いながら、私は声を低くして隣で歩いてる咲に愚痴る。
そう、今日は一日がとても早かった。と言うより、時間の早さなど感じていない、という方が当てはまっている。
体育の時間では、体慣らしのためのランニングで転んだのは勿論、試合を合わせて五回ほど転んだ。おかげで足に傷がついてしまった。今でも痛い足が、吹く風と触れ合って、更にひりひりと痛みを増す。
体育で疲れてしまったのか、それとも精神的に疲れていたのか、その後の授業は全て眠ってしまい、最終的に起きたのはホームルームが終わって、咲に声をかけられて起きた。ああ、また成績が下がっていくなあ……体はちょっと元気になったけど、気分的には、ああもう最悪。
「まあまあ、明日はラッキーだよ。だって私と遊べるんだから!」
「んー。まあそう思っておこうかな」
「ていうか、朝生でも授業で眠ったりするんだねー! いつも早起きの朝生ちゃんの意外な素顔を発見!」
手をメガネのように丸くして、私の正面に立つ咲。そして、目から手を離し「えへっ」とはにかんだ。まるで心だけ幼い子供みたいな咲は、いつ見ても和む。傷ついた私の心も癒された。
まあいいや、気にしていてもしょうがないことだし。
咲と一緒に、お喋りをしながら歩いていると、いつの間にやら自分の家の帰路が目の前にあった。
「あー、もうお別れだねえ」
「あ、ほんとだ」
「明日寝坊とかしないでよー?」
馬鹿にしたように笑いながら、咲が言う。
「寝坊なんてするわけないでしょーが」
早起きの私にはあまり起こり得ることのない冗談に、私もおかしく笑い、口に出す。
そして「バイバイ」と咲が手を振った。それに応じて、私もバイバイと手を振った。