コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Re:主人公になるには【合作小説】 ( No.4 )
- 日時: 2012/02/14 22:06
- 名前: 遮犬 ◆.a.RzH3ppI (ID: /HF7gcA2)
カーテンから垣間見れた太陽の光が朝を教えてくれた。毎朝、定められたかのように太陽は朝を迎えさせる。その太陽が、どうにも眩しすぎて、僕にとってはあまりいいものではない。
ベッドから起きると、まず初めにため息が出てくる。怠惰という言葉が一番似合うのかもしれなかった。
僕の心は自分で分かっている以上にどうしようもないのかもしれない。
今日も、学校があり、そしていつものように学校へ行く。——幼馴染の、涼代 護(すずしろ まもる)と共に。
僕の名前は古坂 雄一(こさか ゆういち)。この主人公的な存在にして、僕の幼馴染である涼代 護は毎朝僕の家へと来て、一緒に学校へ行く。僕の家の方が学校から近く、護の家は僕の家よりも遠い。だから僕の家に毎度のように寄ってくる。
前までの僕はそのことを有難く思い、それよりも友人でいてくれて、信頼できて、頼もしい限りだった。けれど、今はどうしてか、護に拒絶感がある。それは、昨日ふと思いついた"あのスレ"をたててしまったことが関係していた。
"主人公になるには"
その言葉を打ち込んできた時、自然と僕は手が震えていた。どうしてこんなものを作ったのか。ただ、護という存在がどういうものなのか、知りたかった。
——主人公。その名の如く、彼には力がある。超能力とか、身体能力云々じゃない、もっと特別な力が彼にはある。
それを僕は知っている。人一倍、そのことに敏感なのかもしれなかった。
「はぁ……何を考えてるんだよ、僕は」
バカじゃないのか、と僕は思いをかき消した。胸の奥にそっとしまいこむ。いつも臆病の僕は、そうして生きてきた。どんな時も、そうして心の中に思いを閉じ込めて生きてきたんだ。
「用意しないと……」
パンパン、と軽く頬を両手で叩くと、支度をすることにした。余裕のある時間、今の内に。
それもこれも、これから後に訪れてくる護の為にだった。
支度はすぐに終えることが出来た。寝る前にベッドの横には必ず支度の用意をしておくようにはしてるし、他に朝やることといえば、朝食と歯磨きやらのその他の支度だけだった。
父さんは仕事の都合上で単身赴任、僕と母さんの二人でこの家に今現在住んでいる。兄弟はいたことはいたが、生まれてすぐに死んでしまった。僕の弟となる子だったそうだ。
そのことについて、僕本人は何も覚えておらず、ただ弟になり得る子がいたということぐらいだった。父さんと母さんは悔やんでいたが、僕の前ではそのことはあまり言わない。弟のことを聞いたのも、随分前だったような気がする。
母さんと僕で二人暮らしなのだが、母さんは料理教室の先生をやっていたりするので、朝早くに出かけてしまう。なので、朝食は一人、晩は二人で食べるという感じだった。
誰もいない広々としたリビングのドアを開くと、早速朝食の準備をし始める。毎朝のように決まってメニューを変えていき、今では母さんからも料理を教えてもらったりして、多くの料理を作ることが出来るようになった。
「うーん……今日は簡単に、スクランブルエッグにベーコンとトーストでいいか……」
といっても、その料理の多くは朝に本領を発揮せず、夜に本領を発揮する。母さんが作る料理と僕が作る料理で一つか二つずつ、それでご飯を作る。時に連絡せずに帰ってくる父さんの為にも、母さんは密かに多めに作っているということも僕は知っていた。
朝、母さんが作っていってもいいと話してくれていたが、僕がそれを断った。頼りきりは嫌だったし、何しろ、母さんの朝は忙しいことを理解してきたからだった。
適当に朝飯を作り終えると、早速それを食べる。食べながら、時間配分を考えて、いつも護が来る時間なども——
あれ? 何で僕は、こんなにも護の為にこんな時間配分なんて考えてるんだろう?
食事をとりながら、不思議に思う。きっとそれが護の力なのだろうか、と。
自分でもとてもバカらしかった。そんなの、あるはずないし、第一それは漫画とかアニメの話だと思われるし、護がそうだと限られたわけでもない。
ただ、そんな気がしただけ。その確定もない"そんな気"によって、僕は最近悩まされているということになる。
「……バカバカしい」
呆れたように、誰もいないリビングの中、僕はトーストを頬張って呟いた。
すべての朝食を食べ終えると、軽く自分自身の用意(歯磨きなど)を行い、護が来るのをリビングで待つ。すると、思った通りの時間に家のチャイムが鳴った。
荷物を抱えて、外に出ると、そこに待っていたのは——
「よっ、雄一!」
「あぁ、おはよう、護」
護が鞄を肩越しに持ち、片手をあげて人懐っこい笑みを浮かべて僕へと声をかけてきた。
僕はそれに対応し、返事を返す。勿論、笑顔で。
「さすが雄一。ちゃんと用意出来てるな」
「はは、もう慣れたよ」
「よしっ、じゃあ行くか?」
「うん、そうだね」
毎度のように、こんな会話をする。どうして護はこんな僕と一緒にいるのだろう。そんなことを考えたりしたことがある。
何をするにしても、周りから好かれる護は、僕と一緒に学校へと行かなくても全然いいのに、と思うのだ。
僕という脇役を、護は無意識に利用しているだけなのかもしれない。
この朝は、特にそんな変なことを考えてしまった。