コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.11 )
日時: 2012/03/11 11:25
名前: 果実 ◆i0yxwOSY66 (ID: w1dOosot)

〜断章1〜

初めて見る、フォルスタ城下町の人の多さに少年は目を丸くした。
「…賑やかな町だなぁ」
一瞬、少年は驚きの思いに“目的”を忘れそうになったが、すぐに思い出す。

…忘れる訳にはいかない。 
なんとしても、見つけ出さなくては——

「あの、すいません」
通りすがりの人に、声をかけた。
「この町にいる、魔法検定を受ける人ってどこにいますか?」
通りすがりの人は、
「その子たちなら、昨日旅立ったばかりだよ」
と教えてくれた。
「…そうですか」
少年は心の中で、そっと溜息をつく。

…やはり、そう簡単に見つからないか。

少年の落胆が伝わったのか、通りすがりの人は、
「誰か、尋ね人でもいたのかい?」
と言ってくれた。少年は、ええ、と頷いた。
「桃色の腕輪を身に着けた人、です」
通りすがりの人は目をぱちぱちと瞬きした後、合点がいったようで、

「ああ、シーナちゃんの事か」

手を叩いた。

[シーナ]…僕の探すべき人の名前か。

「その人、どこへ行ったか分かりませんか?」
分かったら、追いつけるだろう。そうして、“あの人”の許に連れていくのだ。
それが僕の、旅の“目的”。

だが、そんな少年の思い空しく、
「さあ…それは分からないなあ」
返ってきた答えはつれないものだった。

「そういえば、シーナちゃんはあの腕輪をまるで宝物のように扱っていたけど…
何か関係——」
通りすがりの人が、前を向いた時、そこに少年はいなかった。