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Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.29 )
日時: 2012/03/31 20:27
名前: 果実 ◆i0yxwOSY66 (ID: VnjWzITU)

「創造の魔法?」
シーナはココアを一口飲み、そう言った。

シルヴィアは「ええ」と頷き、
「フレ遺跡で、あの時起きた事はすべて、シーナちゃんの望む事——
そういう様な魔法に心当たりがあって、図書館で調べてきたの」
色あせた表紙の本を出した。

「これは“ヴィノア・シュループ”‥‥‥‥現代語に訳して、“創造と魔法”」

「[現代語に訳す]?」
「そうよ。遠い昔、フォルスタ王国が建国されるよりも昔、
この国のどこかにアリーアという都があり、とても栄えたらしいわ。
アリーアの都があった時代に使われた言葉が、“アリーア語”で、古代語と呼ぶ人もいるの」
「へぇ‥‥」

「この本はその時代に書かれて、著者はアリーアの都に住まう者で唯一[生き残った]者」
「え‥‥‥‥生き残った‥‥‥‥?」
「栄華を極めたアリーアの都は一夜にして滅び、
その際にただ一人生き残る事ができた彼は、この本にこう書いたの」

シルヴィアは息を吸って、本の一節を音読し始めた。

———どんな敵にも災害にも屈しなかったアリーアの都は、炎によって一夜で死んだ。
大火災により、王や私の妻子はおろか、都の者は私を除き全てこの世の者ではなくなった。
何故私だけが生き残れたのか、それは私が大火災の理由と下手人を知っているからだ。
下手人は王国に恨みを持つ、一人の青年だった。
青年は火種を持っている訳でもないのに、城や都を焼いた。
彼は私に、己は自分の望む事すべてを具現化できる魔法を使えるのだと言った。

アリーアの唯一の生存者として、私はその魔法についての記録を残す。


己の望む事すべてを具現化できる魔法、それ即ち“創造の魔法”———

「シーナちゃん、あなた、もしかしたら“創造の魔法使い”かもしれないわ」