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- Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.33 )
- 日時: 2012/04/01 21:02
- 名前: 果実 ◆i0yxwOSY66 (ID: U3CBWc3a)
その場所に行く理由としては、
なんとなく、というよりは、第六感、と言った方が格好良い気がする(ぉぃ
‥‥‥‥というどうでもいい事を考えていたシーナは、
町の外に出て、そのままフォレスタ城下町に向かった。
帰る訳ではない。
ただ、なんとなく——げほげほっ、第六感を信じてその道を辿ったのだ。
「レイチェルっ!」
シーナは、フォレスタ城下町に向かう道に立つ、探していた人物の名前を呼んだ。
レイチェルは振り返り、
「何よ」
と言った。
「なんで、帰ろうとしているの?」
「‥‥‥‥やめるわ」
「え?」
「魔法検定受けるの、やめるわ」
疲れた様な声色で、魔法検定を受ける事を辞める、と———、一体何があったのだろうか?
シーナがそう考えるよりも早く、レイチェルは静かに話した。
「わたくしには、向いていないみたいなんですもの。
どうせ、魔法検定を続けた所で、わたくしは皆に迷惑をかけてしまうだけだから—————」
ぱんっ!
風船が割れるような、そんな音があたりに響いた。
シーナがレイチェルの頬を平手打ちした音である。
「なっ、なにするのよ!」
「あんたは、馬鹿かぁっ!?」
レイチェルは、見たことの無いシーナの怒りの雰囲気に驚き、目を見開いた。
「初めて会った時、あんたは自信満々に言ったでしょ!?
“わたくしの方が有能な魔法使いになる”だの何だの色々言っていたくせに、
たった1度失敗をしただけでやめるの?」
「たった1度? その1度が命を奪うかもしれないじゃない!」
「奪うかもしれない? でも今回は奪われなかったでしょう?
何? あんたは、また同じ失敗を繰り返すからやめるって事?
あんたの中に同じ失敗をしないように対策取って旅を続けるっていう選択肢は無いの?」
シーナは俯いたレイチェルを見て、言葉を止めた。
「‥‥‥‥ってる、わかっているわよ、そんな事くらい‥‥‥‥。
でも、誰かの命を間接的にでも奪ってしまうかもしれないって考えると、怖くて‥‥‥‥」
溜息をつく音が聞こえたけれど、まだ俯いたままでいた。
顔をあげる気には、ならなかったのだ。
「失敗を繰り返さないために、仲間がいるんでしょ?
あの時は、お互いに信じあっていなかったからダメだったんだよ。
あたしはレイチェルを裏切らない。信じるよ。
それが地位もお金も関係無い、[ほんとう]の仲間なんだ、ってわたしは思う。
‥‥‥‥戻ろう、シルヴィアさんが待ってる」
俯いた顔を上げる。涙目で、それでも笑った。
「ええ。わたくしも、シーナの事、信じますわ。
だから、わたくし以上の魔法使いになりなさいよね!」
「いつものレイチェルに戻って、よかったよ」
シーナは町に戻る最中、
「レイチェルって以外とツンデレなのかも」
と呟き、レイチェルに殴られていた(もちろん、手加減はしている)。