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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.35 )
- 日時: 2012/04/01 22:53
- 名前: 果実 ◆i0yxwOSY66 (ID: U3CBWc3a)
【断章2】
時刻は夜中の2時半くらいだろうか。
甘い果実の香りが漂う、山々に囲まれた村。
そこに立つ少年は、後ろに[何か]の気配を感じた。
だめだ、振り返ってはいけない。
そんな気がしたものの[何か]を確認したいという欲望に負け、振り返ってしまった。
彼の瞳に後ろの[何か]が映る、少し前————
少年の夢が、醒めた。
「夢、だったのか‥‥‥‥」
真夜中、フォレスタ城下町の宿屋の小さな部屋にて、
少年は無意識の内に掛布団を掴む手に力を込めていたことに気づき、手を楽にさせた。
この夢はきっと、[あそこ]にいた時の思い出が元となっているのだろう。
速く、見つけ出さなくては。
あの腕輪を持つ人——シーナという名前だったか——を。
翌日、少年はフラーレの町の魔法相談所を訪ねた。
シルヴィア、という人が対応に出てくれた。
「こちらはフォレスタ王国立フラーレ町支局です。何か御用でしょうか?」
「ここに、シーナさんはいませんか?」
そう聞くなり、シルヴィアは頬を赤く染めて、
「まあ、あなたシーナちゃんの彼氏なの?」
となぜか嬉しそうに聞いた。
「かれし? いえ、辛いのは嫌いです」
「それは芥子ね。 ‥‥‥わたしが言っていたのは彼氏。恋人、って事よ」
「ああ、そういう事ですか」
少年は「僕はただの親戚です」と嘘をついた。
シルヴィアは己の考えが勘違いだった事に気づき、
「なんだ、違うの」
残念そうに、そう言った。
「シーナちゃんなら、クニア村に行ったわ」
少年は礼を言い、急ぎ足でクニア村に向かう。
道中、少年はロケットを開いた。
そこには、亜麻色の髪の少女と少年が映っていた。
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