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田園風景が広がる村———そこがクニア村だった。
「のどかだね」
桃色髪の少女、シーナはのんびりと言った。
「町よりも静かね」
金髪碧眼の少女、レイチェルは少しつまらなさそうである。
「よし、さっそく魔法の専門家的な人の所に行こう！」
走りだすシーナ。
「ちょっ、いきなり走るのやめなさいよ！」

どんっ！

シーナと誰かがぶつかって、転んだ。
「言わんこっちゃないわね‥‥‥‥」
レイチェルは呆れぎみに彼女たちを見た。

シーナとぶつかったのは、５歳くらいの男児。
銀色の珍しい髪だ。

「うわあっ、ごめん！　大丈夫？」
シーナは急いで謝った。
「ほろひれはれふる‥‥‥‥‥」
男児は目を回してしまったようで、意味不明な事を言っている。
「‥‥‥‥大丈夫じゃ、ないみたいね」
レイチェルは男児を抱きかかえる。
と、そこに、

「すいませんっ、」
シーナやレイチェルと同じくらいの年齢の少女が走ってきた。
彼女の髪の色が銀だという所を見ると、どうやら男児と姉弟らしい。

「きゃあ、ウィル！？」
正体を無くした男児に驚く少女。
「ちょっとあなた達、何してるんですか！？」

「あー‥‥‥‥これは、その‥‥‥‥‥」
何と説明しようかと言葉を濁すシーナ。これがいけなかったのか、
「ちょっと家まで来てもらいますよ？」
面倒な事になってしまった。