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「‥‥‥‥で、‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥だ‥‥‥」

暗い洞窟の中——かなり奥まできたとき、明かりが漏れていて、話し声が聞こえた。
レイチェルは唇に人差し指を置き、シーナに“喋るな”と合図をした。
シーナが頷くのを確認し、岩陰から様子を窺う。

お世辞にも身なりが良い、とは言えない男が二人。

こいつらが人攫いか、と考えるレイチェルだが、後ろで聞こえた

「レイチェル」

自分を呼ぶ声に振り返る。
「何よ、静かにしてなさ——」

絶句するしかなかった。
彼女たちを、数十人の男が囲んでいたのだ。
彼らも二人の男同様、身なりが良いとはいえない。
‥‥‥二人の仲間かしら？

と考えたのと同時に、人攫いの短剣が首をかすめる。
レイチェルはそれを避け、抜刀する。
無論、切るのではない。鳩尾に当て、気絶させるだけだ。


「数なんて、関係無いわ」
己に言い聞かせるように、低く、小さく呟いた。

刀片手に、敵の陣中に飛び込んでゆく———