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——最後の一人を壁際に追い詰め、首筋に刀の切先を向ける。


「あなたを助けられる仲間はいないわよ」
最後の１人——とても華奢な男であった——の視線が、
倒れている仲間たちに向けられているのを見て、レイチェルはきっぱり言った。
男の目に、レイチェルの姿が映る。

瞬間、男が、ふにゃり、と崩れるように倒れた。

「‥‥‥？」
レイチェルは男の脈を計る———脈打つことは、無かった。

サッと素早く後ろを振り返る。その顔はどこか、蒼ざめているようだ。
何が起こったか分からない、という表情で立ち尽くすシーナに、

「わたくしが倒した人たちの脈を計ってちょうだい」
と、震える声で言った。　
シーナは首を傾げはしたものの、
「うん」
と頷いた。
レイチェルとシーナの二人で５０人くらいの人の脈を計るのに、
そう時間はかからなかった。

嘘でしょ、とシーナは呟いた。


「なんで——レイチェルは殺してなんかいないのに、外傷も見当たらないのに——、
全員、死んでいるの？」