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どこからともなく、拍手する音が聞こえた。
「‥‥‥‥‥？」

暗がりから身を現したのは、
「ご明察ですよ、お嬢さん」
白いスーツをまとった、胡麻塩頭の男性——

「誰よ、あんた」
左手でシーナを自分の背に隠しつつ、右手の刀を男に向けて、言った。
「相手の名を尋ねる時は、己から名乗るのが常識ではありませんか？」
男は笑顔を絶やさなかった。

が、

「レイチェルよ」

その言葉に男は目を見開き、口をあんぐりと大きく開ける。
「‥‥‥まさか、ティペット伯爵の」
レイチェルが不審げに、
「だったら、何よ？」
と聞き返すと、男は再び笑顔を作り、

「私の名はレジナルド。仇名は“死神の魔法使い”です」

彼女の問いを無視した。

「おや、その表情は‥‥‥驚いているようですねぇ。
でも安心してください。あなたがたを殺しはしませんから。
私は［計画］に邪魔をする者しか、消しませんよぉ」

「ッ！？」
男から出された殺気に、レイチェルは身を震わす。
思わず後ずさろうとするが、動けない。

蛇に睨まれた蛙のような彼女たちに、男は笑う。
「ですが、レイチェル嬢——あなたは、中々いい推理でした。
ご褒美に、［チャンス］をあげましょう」
男は楽しげに、左腕を振り上げた。
彼の掌が、

「なに‥‥‥？」

黒く、眩しく、光る（なんだか矛盾しているが、それが最も相応しい言い方であった）。

シーナは、自分の意識が遠のくのを感じた。