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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.59 )
- 日時: 2012/04/21 22:37
- 名前: 果実 ◆i0yxwOSY66 (ID: vSAcFdge)
机の上に散らかる書物の数々に、キャロルは目を輝かせた。
「聖空57年初版の“星の魔力”、43年の“岩と錬金”、69年の“山が源”」
どれも今は手に入れる事が難しく、絶版になっているものばかりだと、
彼は嬉しそうに言った。
棚には
「水晶でできた三角フラスコ、巨大雀の羽ペン、龍の鱗から作られた黒紙」
が入っており、研究を進めるには最適な環境だった。
が、キャロルの左脚は鎖で、つながれていた。
「はぁ」
彼は溜息をついた。
さらわれてから、2日が経つ。
研究を進めるのには困らないが——寧ろ、ここの方がやりやすかったりする——、
気になるのは、仮面を被った者たちの正体である。
仮面を被っている事と、[ある目的]の為にキャロルに研究をさせようとしている事、
かなり大きな組織である事が分かる。
このままでは、自分の研究を悪用されるおそれがある。
——それは、なんとしても防がなければならない。
研究は人々の幸せの為にあるもの。それを悪用させるのは、研究者の恥だと思う。
「‥‥‥‥」
水晶の三角フラスコに魔樹の葉と龍の鱗から作られた黒い紙を千切りものを中に入れ、
そこに化け猫の唾液と大蛇の毒を合わせたものを注ぐ。
ぼんっ!
そんな音が聞こえ、三角フラスコの中は紫色に光る液体があった。
それを脚の鎖に垂らすと、鎖はジュッと音をたて溶ける。
ドアを開き、外に出る。
しかし彼は、重要な事を忘れていた。
——どこに出口があるか、知らなかったのである。
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