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- Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.79 )
- 日時: 2012/05/17 18:20
- 名前: 怡執 ◆i0yxwOSY66 (ID: l2kw0s63)
- 参照: http://id9.fm-p.jp/392/nanaco07/
薬品の臭いがする。
瞼が重くて開けない。
微かに、誰かの話し声が聞こえる。
その声が自分の仲間のものだという事に安堵して、レイチェルは再び深い眠りについた。
次に彼女が目を覚ました時、一番初めに視界に入ったのはシーナだった。
レイチェルが瞼を開いたのを確認すると、シーナは部屋の外へ出て行ってしまった。
「キャロルさーん、レイチェルが目を覚ましましたー!!」
部屋の外から、そんな声が聞こえる。
寝起きの後の、ぼんやりとした頭でレイチェルは考える。
ここはどこだろう。
さっきまで、わたしはなにをしていたのだろう。
たしか、キャロルさんといっしょにクニアむらにかえってきて、
倒れたんだ。
「大丈夫かい?」
キャロルが、シーナを伴って部屋に入ってきた。
「はい。 でも、ここはどこですか? それよりも、どうしてわたし」
言いかけたレイチェルをキャロルは制し、
「一気に質問されても答えようが無いから、僕の方から説明するよ。
まずはじめに、ここは村長宅の医務室」
レイチェルが、はぁ、と受け答えるのを見てからキャロルは続けた。
「次に、君は倒れた。その理由は、“初期魔法の副作用”とよばれるものに関係するんだ」
「ショキマホウノフクサヨウ?」
聞きなれない言葉に首を傾げ、シーナの顔を見る。
レイチェルが倒れている間に聞いたのか、その表情に驚きの色は無い。
「“反動”と言った方が分かりやすいかもしれないな。
魔力を使うのには膨大な体力が必要なんだ。
魔法を何回も使っていれば慣れるんだけど、
初めて使った人とか、まだそんなに使っていない人には大分、負担がかかる。
しかも力にムラがあるものだから、どうしても余計な力がかかる。
その結果、失神したり、身体のどこかに傷を負ったりとかする事があるんだ。
これが“初期魔法の副作用”。」
なるほど、とレイチェルは頷く。
頷いて、はた、と止まる。
「え、ちょっと待ってください。
それじゃあまるで、わたしが魔法を使って“初期魔法の副作用”の所為で倒れたって事に」
「そうだよ?」
あれ、まさか気づいてなかったの、と言うキャロル。
「君の魔法は、身体能力の幅を変える魔法。
そう、名付けるなら“身体能力変更魔法”———。
あのロボットと戦って、シーナさんを守る時に、速く駆ける事ができたでしょう?
それも、身体能力の幅を変えたからできたことだよ」
おめでとう、と言う声なんか、レイチェルの耳には入らなかった。
——わたしが、魔法を、使えるようになった。
その事実が、あまりにも大きすぎて。