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Re: 目指せ! 一流魔法使い☆ ( No.80 )
日時: 2012/05/18 22:26
名前: 怡執 ◆i0yxwOSY66 (ID: CACdmHRe)
参照: http://id9.fm-p.jp/392/nanaco07/

レイチェルが目を覚ます、30分前。

「君の魔法について、言っておきたいことがあるんだ」
キャロルは真剣な表情で、シーナに話しかけた。



「君の魔法は、使うと君の命を削るものだよ。
……使えば使う程、身体に通常の何百倍もの負担を与える」



「………………」
「………………」


「……そう、ですか」
長い沈黙を破ったシーナの言葉に、キャロルは、え、と戸惑った反応を返す。
シルヴィアの話だとシーナは一流の魔法使いになりたがっているという事だったが……。
自分が魔法を使えないと言われたのと同じ様なことなのに、
あまりショックを受けていない様子だ。

彼女の中で、“一流の魔法使いになる”という夢は小さな存在だったのだろうか?

そんな疑惑も、うまれてきた。

シーナの頬を、涙が伝う。
「あれ……あたし、泣いてる」
袖で涙を拭い「どうしよう」と言った。

……違った。 夢が小さかったから薄い反応をした訳ではなかった。
夢が大きすぎて、すぐに事実を飲み込めなかったらしい。


シーナにキャロルが渡したのは、一本の杖だった。
「“創造の魔法”は、本来は神の力。人間が扱う事は不可能とされている。
それ故、その魔法を使う人の身体に負担がかかる。
これは体内にある魔力を何かの力に変える事ができる杖だよ。
君にあげるから、自分の夢に向かって進みなさい」

いいんですか、とシーナはキャロルに問うた。
「もちろん。 ただ、その杖は他の市販の杖とは違ってね」

市販の杖は、炎や水、雷など予め魔力と引き換えられるものがきまっていて、
魔法を扱う者なら誰でも使える。
だが、その効果はとても薄い。
微弱なものしか得る事ができないので、あまり杖は使われていない。

しかし、シーナが貰った杖は違う。
魔力をあらゆる力と交換でき、その効果は絶大なものとなる。
そのかわりに、杖が使う者を“選ぶ”らしい。

「この杖に、君の手を触れてごらん」
言われた通りに、杖に触れてみる。

途端に、

「!!」

ごおぉっ、という音がして、杖にはめ込まれた赤い石が輝く。

「うん。やっぱり杖は君を選んだね。
今までこの杖が選んだのは、僕と君しか居ないよ」

思わせぶりな台詞を言い、

「使い方は、杖が教えてくれるだろう。
——さぁ、そろそろレイチェルさんが目を覚ますかもしれない」

あ、とシーナは杖を片手にレイチェルの所へ向かった。
そしてキャロルの予想通り、レイチェルが起きました、とシーナが彼を呼びにきた。





【第三章 “発動” 終わり】



<作者>
 シーナの性格が行方不明な気がする今日この頃(ぇ