コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: いろはにほへと☆わーるど ( No.106 )
- 日時: 2012/04/14 20:52
- 名前: かがみ (ID: JkjZHF0x)
十話 〜桜の木の下で〜
う〜・・・・・・寒い。
向日葵公園の、大きな桜の木の下。無数の薄ピンク色の小さい花が、儚げに咲いている。
やっぱり、東京の夜はひんやりする。もうちょっと厚着してくれば良かった。
「良いよね〜・・・ クッキーは。」
「え? どうして?」
実は、クッキーも心配だからって、ついてきたんだよね。
まあ、まだ高校生だし。
ちょっとは心強いけど・・・。
「だって、人形だったら、熱いとか寒いとかないんでしょ? 羨ましいよ〜。」
「ふふ〜ん、まあね。人間じゃないし。」
あたしがそういうと、クッキーは勝ち誇ったように言った。
やっぱり、羨ましいというかうざい!
「それにしても、右沢君、まだかな〜・・・・・・、もう、帰っちゃおうかな。寒いし・・・・・・。」
「もうすぐ来ると思うよ。じゅ〜う、きゅ〜・・・は〜ち、な〜な。」
クッキーが数字を数え始めた。小学生かよ・・・。
「よ〜ん、さ〜ん、にー・・・いち・・・・・・あ、来た!」
え?マジで?
あたしから見て右、公園の入り口を見ると、くせ毛が目立つ髪と、黒ぶち眼鏡の人がいた。
遠くてよくわからないけど・・・
すると、その人もあたしに気付いたようで、こちらを見ると(頭がこっちを見た)、小さく手を振ってきた。
「お〜い、右沢君、こっちだよ〜! 来て〜!」
あたしも右沢君が分かりやすいように、大きく手を振った。
「藤崎さん、来てくれてありがとう。」
決して大きくはないけれど、凛とした声が響く。
今まであまり聞いたことはなかったけれど、右沢君の声って、結構かっこいいんだ・・・・・・。
すると、右沢君はこちらに早足で来た。
「こんばんは、右沢君。それで、用事って何?」
笑顔であたしが言った。ふと横目でクッキーを見ると、かしこまったというか、用心をした顔をしている。
ちょっと変わった人だからって、そんなに警戒することないのに。一見すると、クッキーはあたしとお姉ちゃん以外の人には見えないみたい。一安心・・・
そして、右沢君は口を開いた。
「俺、俺は・・・実は、魔法使いなんだ。」
「・・・は?」
一瞬頭の中が真っ白になった。あたしのことがバレていたの?どうしてあたしに言うの?
そんな単純なことも思いつかない。
「・・・・・・ははっ! 何でそんなこと・・・嘘をつくの?」
わざとらしいことを言う。右沢君がもし、本当の魔法使いだったら、きっとあたしの事を見破っている。
それも、最初から・・・。
「・・・・・・ごめんね、右沢君。もう帰る・・・!」
「え・・・!?」
右沢君の答えも聞かずに、背を向けて走り出す。クッキーも肩に乗って付いてきた。
あり得ないんだもの、こんなの・・・!
今まで同じクラスメイトだった男の子が、『魔法使い』だなんて-----
ようやく公園の外に出た時、クッキーが言った。
「いろは、ちょっと待て! もう少し、こいつの事を聞いてみようよ・・・!」
クッキーがあわてながら言う。
「や、やだ。聞きたくない・・・。怖いもん。多分、嘘だけど。」
「は? どっちだよ。じゃあなおさらじゃん。」
クッキーが呆れたように、肩をすくめて言う。
「え、どうして?」
「・・・いろは、右沢がもし、嘘をついていたらどうするの? いろはは、騙されたことになるんだよ?」
あ、そうか・・・。
今頃右沢君は、小さく笑っているのかもしれない。
そんなの、あたしの体は言うことを聞かないに決まってるじゃん。
再び公園の中に体を向けた。
そして、走り出す。
「右沢く〜ん!」
右沢君は口を閉じて、うつむいていたっぽい。首をこちらに向けた。
笑ってはいなかった。
二章が終わりました^^
中途半端ですね・・・orz
さて、次はいよいよ最終章です!(多分)
いや、仮なのでw
もしかしたらまだ続くかもしれませんが・・・・・・
十話地味に長かったですね・・・www