コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: いろはにほへと☆わーるど ( No.116 )
- 日時: 2012/04/20 20:11
- 名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)
三話 〜そっくりな王女様〜(いつもより長いです!調子のって^^;)
あたし達は少し急ぎ足で、王女様、サジュチネ=リリジアスの元へ急いだ。
「ねえ右沢君、クッキー! あそこの部屋には『ワインの部屋』って書いてあるよ!」
あたしが指さした先には、紫色のくねくねした文字が踊っていた。
「・・・・・・あの部屋には、その名の通り、高級なワインが保管してある・・・・・・正確には、保管『してあった』場所だ。今は、頭の狂った使用人が荒らしまわっているからな」
ふ〜ん・・・・・・。
思った以上に重傷だね。
てか、ワインの部屋って名前、そのまますぎじゃ・・・・・・
「あまり時間がかかってしまったら、街がメチャクチャになってします。急ぐぞ」
・・・・・・ここが、
ここが、サジュチネ=リリジアスの部屋か・・・・・・
いろんな部屋を見てきて、その突き当たりにあった部屋には、こう書かれていた。
『サジュチネ=リリジアスの部屋-----』
重そうな鉄の扉には、王女の名に恥じない、ルビーやダイヤモンドなどが埋め込まれている。
だけど、その扉も、今や掃除する人がいないのか、若干埃をかぶってるけど。
「・・・・・・藤崎君。このいろはにほへとわーるどには、王女様しかまともな人間(?)がいないの?」
「・・・・・・完璧とは言えないが。そうでなかったら、ここに来たりはしない」
はいはい。
藤崎君は、扉を二・三回ノックしてから、
「王女様、失礼します。特別の子、いろはと、いろはにほへとわーるどの住人、ユート=リズカルです。あ、後、いろはの飼い犬でもあり、忠実な魔法使いでもあるクッキーもいます。今日は、サジュチネ様に少しお話がございまして・・・・・・」
と言った(クッキーは「なんでボクが!」と言っていた)。
「・・・・・・良いわ、お入りなさい!」
高くて可愛いけれど、どこか大人っぽい声が響く。
すると、ひとりでに扉が開いた。
異世界だから、なんでもアリなのかな。
目の前には、中世の貴族の部屋のような、モノトーン重視の豪華な部屋が、広がっていた。
「・・・・・・ようこそ、人間界のみなさん」
手を抑えるところに水色の花弁がついた、豪華な椅子に座って、王女様らしき人が背を向けて座っていた。
「あたしが、この世界の王女、サジチネ・・・・・・じゃなかった。サジュチネ=リリジアスです。」
王女様がこちらを向いた。淡い青の髪をポニーテールにして、とっても華奢で可愛い。
でも、自分の名前を間違えるなんて、あたしより天然かも。
「・・・・・・んでみなさん、あたしに何の用ですの? あたしはと〜っても忙しいんですの! ま、ちょっとだけなら聞いてやっても良いですけど・・・・・・」
何このムダに生意気な王女様。見た目は可愛いのに。でも、よく見ると、ドレスも青で、やっぱり可愛い。
この子のイメージカラーは、青かな。
「・・・・・・この王女様、いろはに似てるよな」
クッキーがあたしだけに聞こえる声で言った。そ、そうなの?
「お気に召さなかったのなら申し訳ございません。王女様もご存じとは存じますが、最近街や街の様子がおかしくて・・・・・・。王女様なら、何か手掛かりを知っているかと思いまして」
「そんなの知りません! あ〜あ、眠くなってきました。おやすみなさ〜い!」
(まだお昼だよ!?)
すると、王女様は青のカーテンに包まれた大きなベッドに、ボフッっと倒れこんだ。
そのベッドには、たくさんの人形が置いてある。
・・・・・・一人で、寂しいのかな。
「王女様・・・・・・ベッドがボロボロで・・・・・・」
右沢君が控えめに言う。
あ、ホントだ。カーテンとシーツが、ズタズタに引き裂かれていた。
「・・・・・・ストレス発散のためなの! あんまり気にしないで〜・・・・・・」
く、口調が・・・・・・
でもこれ、自分でやったんじゃないでしょ。これなら少なくとも、使えの人が変えるはずだよ。
まさか、これも使用人が・・・・・
あたしは、ことの重大さが初めて分かった気がした。
「・・・・・・変えなくてもよろしいのでしょうか?」
「うるさいうるさいうるさ〜い! あたしはゆっくり休みたいの! どっかへ行って!」
「・・・・・・申し訳ございません。では、日を改めて・・・・・・明日もう一度まいらせてもらいます」
「・・・・・・おっけー・・・・・・すー・・・・・・」
王女様が、寝るなあ!
あたしたち一行は、街の中の宿屋に泊って(比較的ましな)、一日休んだ。
明日に向けて。