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Re: いろはにほへと☆わーるど ( No.142 )
日時: 2012/07/25 21:31
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: vuXCwYqs)

九話 〜若き王女との別れ〜

「あたし、死ななきゃいけないかも……」

 泣き出しそうな顔で、サジュさんは言う。「どうして……?」あたしは驚いて、小さくて暗い声でこう言った。

「あたしとクリスタルステッキは、繋がってるの」
「は?」

 クッキーが、目を丸くして言う。

「……理由はここでは言えないの。……突然だけど、最後までよろしくね、クッキー、いろは、…………ユート」

 サジュは妙に改まった表情で言うと、クリスタルステッキを抜いた。…………どういうこと? サジュさん。今の、冗談だよね? 「嘘だよ」って言ってよ、サジュさん。さっきみたいに、笑ってさ……!

「サ ジュ ……!」

 右沢くんが、消え入りそうな声でつぶやいた。体を起して、すばやくサジュに飛びつこうとする。

「…………こんなあたしに協力してくれてありがとう。じゃあね……」

 その瞬間、あたしの目の前が青色の光に包まれたと思ったら、次の瞬間、サジュさんの姿は消えていた。
 長い沈黙。

「…………うわああぁぁぁぁぁぁ!!」

 次の瞬間、右沢くんが顔を両手で覆って泣き崩れる。だけど、あたしとクッキーには、右沢くんを止める気力もなかった。
 ……嫌だよ、そんなの。
 さっきまで一緒に笑ってきたサジュさんが、今この瞬間、あたしたちの目の前で、消えてしまうなんて。


 そして、数分後。あたしたちは、リリジアス王国に向かって歩き出した。
 サジュさんを犠牲にしてまで、あたしたちはクリスタルステッキを手に入れたんだ。


 リリジアス王国のリゲルタ城につき、あたしはクリスタルステッキを天に掲げ、天界まで届くような大きな声で言った。




「…………ありがとう、若き王女、『サジュチネ・リリジアス』——」

 あたしたちの髪や、草木が、風に大きく揺れる。「あ、あれ? ボクたちは今まで、なにをしてたんだろう——?」あちこちから、こんな声が聞こえた。
 ……リリジアス大国が、元の活気あふれる市場に、草原に、森に————! 今このとき、リリジアス王国が、本当のリリジアス王国に戻ったんだ……!





次回でついに最終回です^^
遅れてしまってごめんなさい……今日中に、最終話をかきます!