コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ——恋心綴ります(実話) ( No.6 )
日時: 2012/04/14 00:42
名前: 結縁 ◆J6BQu6v9vI (ID: Panba53C)


名前を見た瞬間、鼓動が早くなって体が熱を帯びた。
ずっと、待ってた人。
その人が目の前に現れたという事実がすぐには理解できなくて……。
戸惑ってだけど、何も言わないのも可笑しいと思い、チャットに一言打ったの。

結縁:こんばんは

って。たった一言だけなのに凄く緊張した。
画面を凝視すること数秒で返事があった。

cacao.:こんばんは

ただの挨拶。
それだけだったのに、夢のように嬉しくてドキドキした。
だけど、少し冷静になってみると、喜んでばかりじゃいられない事に気がつく。
数ヶ月振りにこうして会えたけど、私はハンドルネームも変えてるし……もしかしたら覚えていないかも知れない。それを思うと、不安が一気に押し寄せてきて……気がつくと、チャット画面にこう打ってた。

結縁:えと、お久しぶりで良いんですよね? 多分…

多分とつけたのは、不安だったからだ。
不安な気持ちにいっぱいになりながらも返事を待つと、これも数秒の間に返ってきた。

cacao.:た、多分ね。三年後に来るとか言っていた覚えがあるが、来てみたよ

そう、言われて思い出した。
cacao.さんが前に、次来るのは三年後かもと言っていたことを。
でも、そんな約束よりも今はただ、覚えていてくれたことが、私が翡翠だと分かってくれたことが嬉しかった。


結縁:また会えてよかったです

今の私の素直な気持ちだった。
嬉しい気持ちでいっぱいなのを少しでも伝えたくて、ただ一言、色んな思いを込めて言った。


cacao.:そ、そうか?

戸惑ったようなその言葉が全部が久しぶりで……。
本当に今、話せているんだって実感させてくれた。

結縁:はい、そうですよ
cacao.:そうだな。バイトはもう慣れたかい
結縁:あはは、えーと、いろいろありすぎまして、まだバイト決まってない状況です;

バイトという単語に私は一気に現実へと引き戻された気がした。
そう、私が初めてcacao.さんと話したのは、ちょうど受験が近かったときのこと。
でも、私は元々、高校に受かりたいという気持ちはなくて、勉強もしていなかった。
だから、結果は当然のように不合格。
だけど、私はその結果に満足していて、バイトを見つけて頑張ろうって思ってた。

……けど、それも叶わなかった。
当時好きだった人と別れたり、学校の先生達からも色々と言われて、中学を卒業というときにやる気をなくしてしまった。卒業式、一週間前に運が良かったのか、悪かったのか水疱瘡にかかって出席停止のなり、参加することはなかった。
本当はギリギリで許可が下りていて参加出来たんだけど、母親が上手く先生に言ってくれて休んだんだ。
学校に良い思い出なんてほとんど無かったからちょうど良かったけどね。
そんなことを思い出しながらも、cacao,さんに会えたらこの話しは避けられないと思ってたので、少なからず心の準備は出来てた。

cacao.:わ、わー; どうしたのー。色々か……まぁ、よければ話してみんしゃい

話してみなさいと、そう言われて、一つずつ話すことにした。
最初に話したのは、好きだった彼とのこと……。

結縁:えと、まず、三年後どうのこうのの約束ですが、あれはもう、守れませんね
cacao.:ふっ、何ヶ月前かの約束だが、そうか
結縁:ちょっと、揉めちゃいまして。それが原因で縁を切ることになりました、という感じです

三年後どうこうというのは、私は以前好きだった人と、三年後に会うという約束をしていたんだ。
以前好きだった人も出会いはネットだったから……。
住んでる場所も離れていて、それでお金を貯める期間として三年という風にしたの。
まぁ、お別れした今ではもう、関係のないことなんだけどね。

cacao.:も、揉めたか、まぁ、揉めた原因までは聞かんが……気にはなるケド
結縁:気になるんですか?
cacao.:まぁ……ちょ、ちょっとは

気になる、そう言ってもらえたことが、嬉しかった。
ちょっとしたことがこんなに、嬉しいなんて、今まで知らなかったかもしれない。
そんな風に思っている間にも話しは進んでいった。

結局、私は簡単にだったけれど、どうしてお別れしたのかをcacao.さんに話した。
話していて、あんなに好きだった人のことを話しているのに、胸は少し痛んでもそこまで辛くないことに驚いた。この、数ヶ月の間に本当にcacao.さんの存在が大きくなっていた事を改めて実感した。

それから、この話さなかった数ヶ月のことを話しているうちに時間は過ぎていき、朝の7時過ぎ頃にお開きすることになった。
正直、まだ話していたかったけど、cacao.さんが眠いと言うのだから仕方がない。
私も少し、腕が痺れてきたし……。

cacao.:よし、そろそろ落ちるとするよ
結縁:また、話せますよね……?

落ちると聞いたときに私が一番、聞きたかったこと、それは、またすぐに話せるかどうかということだった。
cacao.さんは、何時も神出鬼没すぎる。
次、何時、話せるか分からないとやっぱり、寂しいと思ってしまうんだ。
それが、自分勝手な気持ちだとしても。

cacao.:どうだろうな。私は気まぐれだからな……次があるかは分からないぞ?

チクリと胸が苦しくなった。
ほらね、前もそうだったけど、はっきりとは答えてくれないんだ。この人は。

結縁:分からないなら、また、待ってます。基本的にはココに居ますし

待つ、それ以外に私に出来ることは無いのだからそうするしかない。
ココが唯一、cacao.さんと繋がりのある場所だから……。
そう、私が言った後、二言程、cacao.さんは発言して落ちてしまった。

話し終えてから、思考を満たしたのは、会えたことに対する喜びとまた会えるかどうかという不安だった。
話せたことは嬉しかったけど、次があるか分からないのはやっぱり、寂しい。
ふと、時間を見れば、もう朝の8時近くで、そんなことを、ぐるぐると考えながら私もチャットを落ちることにした。

その後、布団に潜ってからも暫くの間、寝つけなかったのは言うまでもないことだった。