コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.1 )
日時: 2012/04/08 12:23
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

4月10日、午前11時。
ミリオン学園の入学式が終わり、自分のクラスでホームルーム的な事が行われている。
プリント配布、担任の紹介などなどが行われる中、青髪の少年、ブルースは思っていた。

・・・担任が蛇?つーか誰もツッコまないのか?

ブルースは担任がドアの隙間からにょろりと入ってきた時からずっと気になっていた。
そして担任がしゃべり出すとしこたま驚いた。
全然気にするそぶりを見せないクラスメイトにもそれ以上に驚いた。

右隣の赤色の髪の毛をした女子も、左隣の金髪の男子も、何食わぬ顔で担任の話を聞いていた。

・・・俺がおかしいんだろうか?

いろいろ考え込んでいるうちに、ホームルームは終わった。もちろん誰も担任にツッコまない。
不思議で不思議でたまらなかった。

家に帰り着くとブルースはつぶやいた。

「・・・俺、明日から大丈夫かな」


4月11日、午前8時ジャスト。
ブルースは靴箱を通り、廊下を曲がり、自分のクラスのドアを開けた。
まだ入学当初ということもあり、教室はぎこちない雰囲気につつまれていた。
ブルースは席に着くと、机の中に教科書を詰め込んだ。
それと同時に、教室におっはよーうッ、と大きい声が響き渡った。
ブルースがドアの方を見ると、声の主は自分の左隣の金髪の男子だった。

「返事なしかよー、まあいいや」

口を尖らせてそうつぶやくと、その男子は自分の席に座った。

あ、そうだ、とブルースは思うと、ブルースは思い切って隣の男子に話しかけてみた。

「あのさ、担任・・・って蛇だよな?気にならなかった?」

そう言うと彼は目を輝かせて言った。

「あぁー!それ俺も少し気になったんだけどさ。まあ世の中にはいろんな人もいるよなって特に気には留めなかったんだよな!」

「いや、アレ人じゃなくね?」
ブルースは思わずこうツッコんだ。

「あ、確かに!ナイスツッコミー!つーか面白いなお前ー。俺さ、初日に友達は作れないだろうなーとか思ってたんだけどさ!
まさかこんな近くにいるとは!!あ、名前教えて名前」

「えっと、ブルース。よろしく」

「そっかー。よろしくなー。俺はブロント!」

それから担任が来るまで、2人はコントのような会話を続けたのだった。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.2 )
日時: 2012/04/08 12:47
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「・・・えー、では今日から頑張っていきましょう。日課表は昨日配ったプリントの通りです。そしてロングホームルームは係り決めをします。以上」

そういうと担任は、ドアの隙間からしゅるんと廊下へ出ていった。

「あ、やべ」

ブロントの声がした。どうしたとブルースが声をかけると、日課表のプリント無くした、と笑顔で返ってきた。

「いやいやいや、昨日もらったばっかだろ!どこに無くす要素があるんだよ」

「いや、昨日の夜ファイルにちゃんと入れたんだけどなー。・・・まあいいか。1時間目何ー?」

「ん・・、国語だってさ」

「了解ーっ」

コイツ大丈夫かな・・と思いつつブルースがふと目をやると、右隣の女子がカッターを持って机に何か彫っている。

「え、ちょ、何やってんの」

思わず声をかけるブルース。

「あぁ、私ね、自分の席には自分の名前彫ることにしてるんだよねー。」

机をのぞいて見ると、マゼンダ、と彫られている。

「そ、そうなんだ・・・」

いやそれ迷惑だろ学校に、とブルースは心の中でツッコんだ。

「おぉ、それ面白そうだな!!」

と、ブルースの背後から文字通り首を突っ込んできたのはブロントだった。

「俺もやってみようかな!」

「いや、やめとけよそれは。席替えの度に2人の彫った後が増えるんだぞ」

「いいじゃん。記念記念」

「何の記念だよ」

2人が会話をしていると、右隣の女子、マゼンダが笑い出した。

「2人って面白いね!コントみたい!同じ学校出身なの?」

違うよ、と首を振ると、マゼンダは驚いた。

「えっ、なのにもうそんなに仲がいいんだ。すごいなー」

「全てはコイツのツッコミから始まったんだぜ」

「・・・そうだったか?」

そんなこんなで2人がわーわー言っていると、ドアの隙間からあの先生がにゅるんと入ってきた。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.3 )
日時: 2012/04/08 13:28
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「はーい席につけー。・・・ってもう皆ついてるか。初日だもんな」

そういうと蛇、いや担任は教卓の上にジャンプして乗っかった。これなら後ろの席の人も見える。

「えーと、授業しようと思ったんだが、自己紹介とか先にしたほうが係りとか決めやすいかなーということで自己紹介をするぞー」

クラスメイト達は机の上に出しておいた教科書類をしまう。

緊張するなーとブルースがブロントに話しかけると、え?俺自己紹介で緊張したことないぞ、と返された。

「じゃあ出席番号順なー。1番のクロウから」

あ、出席番号1番ってア行じゃないのかよすげーなと心の中でツッコむブルース。
横の方で椅子を引く音がして、
出席番号1番のクラスメイトが教卓の前に歩いてきた。

「んじゃー、名前と趣味とかなんかそーいうのよろしく」

担任がそう言うと、クロウは口を開いた。

「クロウです。趣味は自動販売機の下に落ちている硬貨を集めることです。好きなものはお金です。」

・・・いや、こいつお金好きすぎじゃね?
ブルースは思った。

クロウが礼をすると、パチパチと拍手が起こる。

クロウが席につくと、後ろの方で椅子を引き、そして金属をこすり合わせたようなガシャガシャ言う音が聞こえてきて、次のクラスメイトが前に立った。

・・・え?
ブルースは思った。コイツ・・・鎧着てるよな?
そう思うと同時にさっき聞こえた金属音はこれか、とひらめく。

「ジルバです。趣味は特にありません。好きな食べ物はそばです。よろしく」

パチパチと拍手が起こる。
担任が次ーと言うと、緑の髪の毛をした、小さな女子生徒が宙を飛んで教卓の前に立った。

「ティンクです。趣味は空を飛ぶことです。よろしくお願いします」

・・・妖精?RPGに出てくるような。夢じゃないよなこれ。
ブルースは気が遠くなりそうだった。

その後も自己紹介は続く。
ブルースはもうツッコみ疲れていたが、このクラスはかなりキャラが濃かった。

「テミです。趣味は本を逆さまに読むことです。好きな食べ物は特製野菜ジュースです。
ちなみに材料は、ミカンと牛乳と青汁と卵と冷蔵庫の残り物です」

・・・どんな味なんだよそれ、つーか一見まともそうなのにどうしたんだこの人は。
ブルースは頭を抱える。

「なあ、次お前の番じゃね?」
ブロントの声に、ブルースは顔を上げ、教卓の前に歩いていく。

「ブルースです。趣味は音楽を聴くことです。よろしくお願いします。」

パチパチと拍手がする中、ブルースは席に戻った。

「ブロントです。好きなテレビ番組は笑点です。よろしくー」

ブルースの次はブロントの番だった。
笑点か・・・珍しいな、とブルースは思う。

「マゼンダです。趣味は料理です。特技は彫刻です。よろしくお願いします」

ああ、机に彫ってるうちにうまくなったのか?ブルースはさっきのやりとりを思い出す。

「リンです。去年は、カンニング・アイのリンって呼ばれてました。得意な教科は体育になると思います。よろしくお願いします」

・・・カンニング・アイ?

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.4 )
日時: 2012/04/08 15:06
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

ツッコミ所満載の自己紹介が終わり、休憩時間。
ブルースはふう、とため息をついた。
・・・なんかもう、すごいなこのクラス。
少々疲労感を感じながら、次の時間割を確認する。

「あ、次ロングホームルームか。係り決めって言ってたよな!俺何になろうかなー」

ブロントが横から首をつっこんできた。
よく見ると片手にポテトチップスみそ汁ワサビ味、と
書かれたお菓子の袋を持っている。

「・・・みそ汁ワサビ?おいしいのかそれ?」

「俺的には普通だな!ワサビワサビ味の方が美味いぞ」

聞きなれない単語、ワサビワサビ味という言葉に、
ブルースは疑問を抱く。そしてツッコんでみる。

「ワサビワサビ?ワサビ味じゃないのかよ!」

「いや、ワサビワサビだってば。袋にそう書いてあんだよ」

どんな味なんだろう?ワサビの味がめっちゃするのかな、とブルースは納得することにした。

「あっ!!それみそ汁ワサビ味のポテトチップスですよね!!」

ブロントのすぐ後ろの席から声がした。
逆さま読書が趣味のテミだった。
テミは目をキラキラ輝かせて続けた。

「私それ大好物なんですよ!でも友達に言っても今まで誰も共感してもらえなかったんですよー。
あ、でもワサビワサビ味もクセになっちゃいますよね」

「だよなー!ワサビワサビ味超美味しいよな!!このツーンとなる感じ!」

「たまりませんよね!ヒュルルルーってなりますよね!」

「あー、わかるわかる!!でもってピカってなるよな!」

「ですよねー!そして最後にはドーン、ですね!」

「いや、わかんねーよ2人とも!花火かそれ!!花火だろ!」

ボケ同士の会話にこらえきれなくなったブルースがツッコむ。
おお、確かに花火っぽいよなとブロントは手をうつ。
でも違うんですよねーとテミが笑う。
ワサビワサビ味、買ってみようかなとブルースが思ったところで、
2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.5 )
日時: 2012/04/08 16:47
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

ドアの隙間から担任のキラースネーク、縮めてキラスがしゅるーと入ってくる。
いや、正確には入ってこようとした。
だがドアの隙間をすり抜けることが出来ず、ぐはっと小さい悲鳴を上げた。

「す、すまん・・・ドアを少し開けてくれ」

ドアに一番近い席にいたマゼンダがドアを開けてやる。
すまんな、とキラスは言うと隙間から抜け出し、教卓の上に飛び乗った。

「んじゃーさっき言った通り、係り決めな。最初は委員長から決めるぞー。誰かなりたい奴」

はーいッという声と同時に手が挙がった。
ブロントだった。

「はいはーい、俺委員長やります!!」

「んじゃ、決定ー。今日から号令とかリーダー的な仕事頑張れよ」

「らじゃー!」

こうしてブロントは委員長になった。

「んじゃー次・・・雑用」

・・・え?雑用?
キラスの言葉に皆、疑問を抱いた。

「先生、雑用って何あるか?」

エセ中国人っぽい口調でリンが聞いた。
なぜそんな口調なのかは今のところ不明だ。

「んー、保健委員から他の係まで全部請け負う何でも屋だ。・・・てか君そんな口調だっけ?」

「今ティンクとエセ中国人ごっこしてるあるよー。
ねーティンク」

「楽しいあるよーっ。マゼンダもやるあるねーっ」

ティンクはすぐ前の席のマゼンダに声をかける。
マゼンダは振り返るといいあるよーと答えた。

「おいブルース俺達もやろーぜねある!」

この妙なノリにブロントも乗っかってきた。
微妙に口調がおかしいが。

「つーかお前使い方間違ってね?ていうかこのノリなんだ?」

ツッコむブルース。
なんだよノリ悪ィなーそんなんじゃ社会に適応できないぜ、とブロントは口をとがらせ、テミに話しかけた。

「聞いてくれよブルースが反抗期あるー。ワサビワサビ味もわかってくれないしこのノリについていけないって言うねあるよー」

ブロントがそう言うと、テミはいきなり流暢な中国語を話し始めた。

「本物だよこの人!無駄にすげぇ!!」

テミの流暢な中国語にブルースは思わずツッコんだ。
え、中国語とか習ってるあるの?と
ブロントがエセエセ中国語で聞くが、テミはニコニコするだけだ。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.6 )
日時: 2012/04/08 21:11
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)



「なあクロウ、俺達もやったほうがいいあるか?」

ジルバがすぐ前の席のクロウに言うと、
クロウは振り返り、片手を差し出しこう言った。

「金さえ払えばこのノリに乗っかってやるが・・・どうだ?」

「いえ、遠慮するある」

「オイオイオイジルバ!金ないのかお前ー。仕方ないな!俺が払ってやるからクロウも乗っかれよ!」

そう言うとブロントは自分のポケットから1円玉を取り出し、左隣のクロウに向かって差し出した。
1円で動くわけないだろとブルースは内心思ったが、なんとクロウはそれを受け取った。

「しょうがないある。俺も乗っかってやるね」

こうしてブルース以外のクラスメイト全員が変なノリに乗っかることになった。

「さあ後はお前だけあるブルース!お前も乗っかれねある!」

ブロントの言葉に顔をしかめるブルース。

「えー、俺もやるのかよ!」

「ここまできたらやるしかないあるよ」

とマゼンダ。
ニコニコしているテミ。
期待の眼差しでブルースを見るリンとティンク。

「乗っかっちゃえあるよ」

「ひと思いにやればいいあるよ」

とジルバとクロウ。
全員にじーっと見つめられると、もう観念せざるを得ない。
ブルースは言った。

「・・・仕方ないあるな。俺も乗っかるね」

・・・だが、皆の反応は薄いものだった。

「なんか、面白くないな!お前ツッコミのほうが向いてるわ」

とブロント。

「右に同じー」

とマゼンダ。

「ブルースさんにボケはむいていないようですね」

とテミ。

「なんか・・・微妙ねぇー」

「だねぇ」

リンとティンクはぼそっとつぶやいた。

「・・・微妙だなクロウ」

「・・・そうあるなジルバ。あまり面白くないある。迷惑料を払ってほしいあるね」

クラスメイトのしらけっぷりに、ブルースは叫んだ。

「なんなんだよこの空気!!なんかすげー恥ずかしい奴みたいになったじゃん俺!」

「おー、やっぱブルースはこうでなくちゃな」

そういうとブロントはブルースの肩をぽんぽんと叩いた。
雑用係が決まらないままチャイムが鳴ってしまったが、
クラスメイトたちの結束はなんとなく強まったようだった。

第一話 えんど。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.7 )
日時: 2012/04/08 21:16
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

第一話が終わりました。無茶苦茶なままで。

こんな小説に笑ってくれる方ははたしているのでしょうか。

皆さんが苦笑(( げふんげふん笑顔になって下さったらうれしいです。

あとワサビワサビ味ポテチ食べたいです。←

感想お待ちしていますよー。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.8 )
日時: 2012/04/09 16:59
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

2時間目が終わり休憩時間を迎えた。
だが、1時間目の終わりのそれとはまるっきり違っていた。

「なーなーお前鎧の中どーなってんの?」

ブロントはそう言いながらジルバの兜を外そうとする。

「ちょ、外そうとすんなよお前。ハゲるぞ、俺が」

お前がハゲるのかよ!とブルースはジルバにツッコむ。

「金を払えばジルバの中身を絵に描いてやるぞ?
1回1万円だ」

クロウは右手を差し出す。

「高ぇよ!!つーか中身知ってんの?」

ブルースの言葉にクロウはこくんと頷く。

「お前なんで知ってんだよ!?俺誰にも教えた事ねーよ!」

ジルバはかなりビックリした様子だ。
ブロントが10円じゃだめか?とクロウに10円玉を差し出すと、
クロウはそれを受け取り、髪の色は茶色ちなみに地毛だと答えた。

一方女性陣は何をしているのかと言うと、
リンの席に集まって、地道にドミノを並べていた。

「この机をドミノで埋め尽くすわ」

マゼンダは慎重に慎重にドミノを並べ続ける。
テミとリンとティンクはわくわくしながらそれを見守っている。

「もういいだろ俺の鎧は!そんな不思議でもないだろうが!」

「ダメだ!委員長命令でその兜をすぐに取れ!それか1万円出せ!」

「やなこった!」

その時、教室のドアが勢いよく盛大な音を立てて開いた。
その振動で、カタカタカタとドミノは倒れ、マゼンダは片手にドミノを持ったまま硬直していた。
他の女性陣も口をあんぐり開けたまま動かない。

教室は静まり返り、教室に入ってきた誰かに全員の視線が向けられていた。

「数学担当のオーガーだ!!よろしくな!」

オーガーはそう言うと教卓の上にドシン、と教科書類を置いた。
彼がふと前を見ると、赤い髪の女子生徒から、
ものすごくドス黒いオーラが放たれていた。
それはもう、誰が見ても明らかなものであった。

「お、オイどうしたそこ、なんか怖いぞ」

恐る恐る声をかけてみるオーガー。
だがその一言でマゼンダの怒りの炎に大量の油を注いでしまった。

「私のドミノ、よくも倒してくれたわね!!
私の『机をドミノで満たそう』計画、略してTDM計画が台無しじゃない!
何が数学担当よ!見た目確実に体育担当じゃん!!このハゲ!意味わかんないんだけど!
リンッ!!NKO作戦よ!!」

マゼンダがそう叫ぶと、リンはオーガーの元へダッシュした。
そしてオーガーの体をつかみ、作戦実行!と教室の外へぶん投げた。

「うおおあああーッ!!」

オーガーの悲鳴がした直後に、彼が壁にドン、とぶつかる音がした。
リンは教室のドアをピシャリと閉め、マゼンダに向かってVサインを出した。

「作戦成功だよマゼンダ!」

ティンクがそう言うと彼女は、今は隊長と呼びなさい、と言った。

「ちょ、ヤバいだろコレ!!つーかNKO作戦って何!?」

ブルースは焦る。教師に暴力を働いたのだから当然だ。

「投げて教師を追い出す作戦、略してNKO作戦」

マゼンダの答えに、そのまんまだなとブルースは拍子抜けする。

「つーかこれでこの授業無くなったぜ!」

ひゃっほう、とブロントは嬉しがる。
いや喜んでる場合じゃねーからとブルースは言うが
聞く耳を持たないのであった。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.9 )
日時: 2012/04/09 19:51
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

先生の居なくなった教室というのは実にフリーダムな感じになる。
おとなしく自習をする生徒なんて、このクラスには1人も居なかった。
本来なら委員長が他の先生を呼んでくるべきだが、
残念なことにこのクラスの委員長は自分から率先して騒ぎまくる奴だった。

「俺の紙飛行機マジよく飛ぶんだって!」

そう言いながら紙飛行機を折るブロント。
俺の紙飛行機の方が断然すげーしなめんな、と
それに対抗するジルバ。

「いや、お前委員長だろ!?他の先生呼んでこなくていいのかよ」

真剣な表情で紙飛行機を折るブロントにブルースは言う。

「え?ほら、もうあと45分しか時間無いし、もう授業できないだろ?俺が出る幕じゃないって」

「十分じゃねーか時間!!つーかお前の出る幕だよ!」

ガヤガヤガヤガヤとクラスは私語の嵐に包まれる。
いつの間にかブルースも紙飛行機を量産していた。

他のクラスメイトはというと、空から金が降ってこないかなぁと物思いにふけっていたり、
今日から学園防衛隊結成よ、おー!と謎の組織を結成していたり、自由気ままに過ごしている。
授業時間は残り30分となってしまった。

「コラ、何を騒いでいるんだ!!」

教室が一瞬で静寂に包まれる。
ドアの方を見ると、隣のクラスの先生、ゴブリンが立っていた。

「担当の先生はどうした?あと廊下に倒れているオーガー先生は何なんだ?」

クラス全員が真相を知っている。が、全て話せばめっちゃ怒られるだろう。
誰か、言い訳とかフォローとか得意そうな奴・・・!

ブルース以外の全員が、同じ答えに行き着いた。
アイツだ、ブルースだ。ツッコミ役、および常識人の彼ならきっとやってくれる。
皆はそう思い、ブルースに視線を送る。

・・・なんか、すっごい視線感じるんだけど、と
そのころブルースは思っていた。
え?もしかして俺が言い訳しろってこと?無理無理無理!!

だが、クラスメイトの視線はますます強くなる一方だった。
・・・やんなきゃダメなのか?
ブルースは観念して口を開いた。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.10 )
日時: 2012/04/10 17:18
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「ええと、僕たちさっき廊下で倒れてるオーガー先生を発見したんですよ。
それで、みんな気が動転してしまって・・・」

「気が動転して紙飛行機を作っていたのか?」

しまった、とブルースは慌てた。
机の上にはさっきまで生産していた紙飛行機が大量に積み重ねられている。
今思えば何でこんなに作ってたんだバカか俺は、と後悔する。
どうする、どうする、と脳をフル回転させるブルース。

「ボトルメールの陸上バージョンです。この紙飛行機にメッセージを書いてその辺に飛ばすんです。
朝のホームルームで僕たちの担任がお前らもやってみろ、と配ってくれたんです」

・・・なんて無理矢理な言い訳なんだ、と皆が思った。
ヤバい絶対バレるよこれ、と言った本人も思った。そして後悔した。

だが、幸運の女神はブルースに微笑んでくれた。

「ああ、そういえばここの担任はキラス先生か。あの人なら確かにやりそうだな。・・・じゃあお前らは何も知らないんだな?」

一同がこくこくとうなずくと、ゴブリンはじゃあ自習して待機してろ、と教室を後にした。

「・・・よかった、バレなかったっぽい」

ブルースは長いため息をついた。

「すげーなお前!途中はひやひやしたけど、うまく誤魔化せたなー!」

ブロントはブルースの肩をバシバシ叩く。

「学園防衛隊の出番は無かったわね」

「残念だね隊長!」

出番が無くて残念そうなマゼンダとティンク。

とりあえず目先の危機からは免れたブロント達であった。

第二話 えんど。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.11 )
日時: 2012/04/10 17:19
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

第二話が終わりましたねー。

短いですが^p^

このNKO作戦にはちゃんと続編もありますのでご安心を。

最後に一言。

お友達、コメント、欲しいです((

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.12 )
日時: 2012/04/10 17:21
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)




なんやかんやで時間は過ぎ、昼休み。
オーガーはまだ気絶でもしているのかブロント達の悪事、正確に言えば学園防衛隊の悪事はバレていないようだった。

机輪にしよーぜ輪に!という委員長の提案は面倒くさいので却下されたが、
前列の机を後列の机にくっつけるという形で微妙に実現されていた。

皆はお弁当だったりコンビニのおにぎりだったりを食べながら、
ゆるい会話を繰り広げていた。

「なあなあブルース、自転車とチャリどっちが速い?」

ブロントが真面目な顔でアホな事を聞いてくるので、
ブルースは飲んでいたお茶を気管に詰まらせそうになった。

「どっちも自転車じゃねーかそれ!!」

あ、確かに!と納得するブロントに、このクラスの行く末が不安になるブルース。
コイツに委員長が務まるのかな、と心配になってきたブルースの視界に、妙なものが写った。

右斜めに座っているテミの弁当だ。
容器は普通だ。可愛らしいデザインの2段になっている弁当箱。
だが中身は可愛らしさの欠片も無かった。

1段目。そこには普通にご飯が入っている。
だが中央には梅干し、ではなくてあの四角いおなじみのカレー粉が埋め込まれていた。
そして2段目。
右半分がピーナッツとマカダミアナッツで埋め尽くされている。
左側はキュウリ、キャベツの千切り、そして何故か青いプチトマトが入っていた。

そして本人はと言うと、隣のリンの話に耳を傾けながら、タコの足を丸々一本むしゃむしゃとスルメのように食べていた。

アレおかしいよな絶対おかしいよな?俺がおかしいんじゃないよな?
ブルースはひどく混乱していた。
どれもものすごく気になるが、ブルース的には青いプチトマトが気になっていた。
別に自分の髪が青いからとかそういう理由ではない。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.13 )
日時: 2012/04/10 17:22
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

タコの足を食べ終わったテミに、ブルースは聞いてみた。

「あのさ、それプチトマトだよな?青いよな?真っ青だよな?」

「あー、これはですね。うちの庭で採れたプチトマトなんですよ。
珍しいですよね。これバキューンって味がするんですよ」

「それ味を表す言葉じゃなくね?」

ブルースのツッコミにそうですか?と笑顔で返すテミ。
この人の味覚にはついていけない、とブルースは思った。


「今から、お昼の放送を始めます」

天井に取り付けられたスピーカーからBGMと共に、
校内放送の始まりを告げる挨拶が聞こえてきた。

「今日の曲は、2年生からのリクエストです。
ミリオンズの、 『寝て起きたら夜だった』です」

♪午後4時に ふいに眠気に襲われる

そして僕は そのまま目をつぶった

ちょうどいい温度だったんだ

暑くなくて 寒くもない

何者にも代えがたい この心地よさ

宿題が出来なかったのは 仕方なかったんだ

午後10時に ふいに目が覚める

そして僕は 時計を見て驚いた

こんなに寝るつもりは無かったんだ

ご飯を食べて お風呂に入って

気が付くと 午後11時半だった

暑くなくて 寒くもない

何者にも代えがたい あの心地よさ

宿題が出来なかったのは 仕方ないよね

宿題が出来なかったのは 仕方ないよね


「なんつー歌だよ!!経験あるけど!!」

ブルースは堪えきれずにツッコむ。

「でもさー、なんか親近感わくよね」

マゼンダの意見に皆はうなずく。

「つーか売れてんの?この曲」

「昨日ランキング120位だったよ」

リンの答えにブルースは売れてねーし!と驚く。

「今日の放送はこれで終わりです、ありがとうございました」

本日の校内放送は、これで幕を閉じた。

休憩 えんど。(続いて第三話に続きます。)

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.14 )
日時: 2012/04/11 07:11
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

昼休みは終わり、各々は机を元の位置に戻した。
そして次の授業、英語の準備をし始めた。

「ジルバー、お前の兜で目玉焼き焼けたりしねーの?」

「しねーよ!夏は少し焼けるかもしれねーけど」

「マジ?じゃあ夏焼かせろよな」

「イヤ、無理だぞ?俺、夏は鎧着ねーし」

ジルバの言葉にブロントはかなりビックリした表情で後ずさる。

「・・・マジで?鎧脱ぐのか」

「イヤ、だって暑すぎて死ぬだろ」

「じゃあ夏になればお前の正体が・・・!」

夏楽しみすぎるぞー!早く来い、とブロントははしゃぐ。

その時、ふいに教室のドアが開いた。
まだ授業が始まる5分前にも関わらず。

「えーと、少し早いですけど事情があって早くはじめまーす」

入ってきた先生は、薄い青色の長い髪を持った、
物腰柔らかそうな先生だった。

起立、礼、着席、とブロントは委員長の仕事を初めてこなす。

「えーと、自己紹介からいきますね。
私は英語担当のルファです。よろしくお願いします」

パチパチと拍手が起こる。

「さて、今日なぜ早く始めたかと言うと、
緊急のお知らせがあるからです」

教室はざわつく。

「今日の午前中に、ある先生がが不審者によって怪我を負いました。
幸い命には別状は無いそうです、が」

ざわついていた教室は静まる。

「不審者がまだ校内に潜んでいるらしいです。
その先生によれば、赤い服を着ていて、かなり力があり、
『ミッションはこなした』と恐ろしい表情でつぶやいていたそうです」

ミッション?この学校狙われてるのか?ヤバいんじゃない?警察は?

教室は再びざわめきだす。皆不安を隠せない。

「警察の方には連絡を入れています。
あと、これから緊急の会議があるので、皆さんはここで待機していてください。
あ、教室のドア、そしてベランダや窓の鍵は閉めておいてください」

そう言うとルファは教室を後にした。
残されたクラスメイト達は、とりあえずドアの鍵をしめ、窓を閉め切った。

「・・・大丈夫なんでしょうか」

心配そうな表情のテミ。

「とりあえずホウキとか持って武装しといたほうがいいんじゃねえの?」

「いいわね、それ。なんかRPGみたい」

乗り気なマゼンダ。そしてホウキを掃除用具入れから持って来るブロント。
こうしてクラスメイトはホウキを装備することになった。

———約1名を除いて。

「ほい、これブルースの分な」

そう言われて、ブルースが委員長から渡されたのは、
ちりとりとゴミ箱のフタだった。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.15 )
日時: 2012/04/11 19:59
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「いや、俺ホウキとちりとりの区別ぐらいつくから」

ちりとりでペシッとブロントの頭を叩くブルース。

「いや、ゴメン。あのさ、ホウキ7本しかなかった。
でもさ、このゴミ箱のフタ盾みてーじゃん?」

うるせーよ!ゴメンブルース!何これ超カッコ悪い装備じゃん!いやいやカッコイイって。黙れ!

「あのさー、学園防衛隊からの要望があるんだけどいい?」

マゼンダの意見に、言い争いを一時中断する2人。

「犯人見つけに行かない?暇だし」

ニヤっと笑うマゼンダ。

「え、でも危険じゃね?相手かなり強いみたいだし」

「心配ないよブルース!最終兵器あるから!」

そう言ってリンが指さしたのは、ジルバだった。
ジルバはええ俺!?、とビックリしている。恐らく打ち合わせも何もなかったのだろう。

「コイツならどんな攻撃でも跳ね返せる」

クロウはジルバを指差す。
だが、ブロントは何故かダメだ、と首を振った。
何でー?、とティンクが聞くと、ブロントは言った。

「いや、犯人は赤い服なんだろ?見るからに炎属性じゃん?
俺さ、ジルバが魔法攻撃にめっちゃ弱いような気がするんだよ。なんとなく」

「いや、赤い服イコール炎属性って・・・」

ゲームのやりすぎだろ、とブルースは思った。

「まあでも集団で行けば1人が相手なんだし負けることはないだろ」

集団戦法で行く気のブロント。

「でも8人全員で動くと目立つと思います隊長」

テミの言葉にあー確かに、と納得するマゼンダ。

「じゃあ学園防衛隊とその他で分かれようよ」

こうしてティンクの提案で、学園防衛隊とその他の人々に分かれて犯人探しをすることになった。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.16 )
日時: 2012/04/12 17:41
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「じゃ、私達は1階、っていうかこの階を調べるね。終わったら一旦ここに戻ってくるから」

そう言うと学園防衛隊隊長はメンバーと共に教室を後にした。

「つーかホントに・・・ってブロント?」

ブルースはビックリした。
ブロントが何やら真剣な表情で考え込んでいる。
普段のゆるみきった表情からは考えられない。

「おーいブロント、どーした?」

ジルバが声をかけると、
ブロントは真剣な表情のまま、俺達のチーム名何にする?と聞いてきた。

「お前そんなことでそんな真剣に考えてたのかよ!
ちょっと心配したじゃねーか」

ブルースはベシベシとちりとりでブロントを叩く。

「学園防衛隊とかカッコいい名前付けられたらさー、なんか悔しくね?」

ブロントはいつもの表情で口をとがらせる。

「じゃーもう適当に決めろよそんなもん」

ブルースが投げやりな感じでそう言うと、
ブロントはしばらく考え、そしてこう言った。

「ミッション野郎を倒し隊ってどうだ?」

「却下」

ブロント以外の全員の声がハモる。

「えええ!?どこが却下なんだよ」

「全部だよ。つーかミッション野郎ってなんだよ」

「その犯人の仮名だよ仮名。だってミッションがどうたらって言ってたんだろ?」

「お前のネーミング微妙なんだけど」

「なあ、俺にいい案があるんだが」

手を挙げてそう言うクロウ。
何だ?とブロントが言うと、クロウは言った。

「フタで防ぐぜ!ちりとり隊ってのは?」

「おい、それ俺のことか?俺のことだろ」

「別にお前のことだとは言ってないぞブルース」

しらばっくれるクロウ。
ブルースを指差して笑うブロント。
ブルースはブロントの頭をつかむと、ジルバの鎧にガツンとぶつけた。
ちょ、鎧は凶器じゃねーよやめろと珍しくツッコむジルバ。

「いでで・・・容赦ないなお前・・・。
でもちりとり隊でよくね?面白いし。リーダーの座はお前に譲るからさ」

「あー、俺もいいと思うよそれで。
つーか面倒だしそれでよくね?」

投げやりなジルバ。
何となく嫌だったが、彼らを納得できるようなカッコいい名前は思いつかなかったので、
ブルースは、リーダーの座はいらねーからとしぶしぶOKした。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.17 )
日時: 2012/04/13 07:14
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「よし、じゃあこの階をぐるっと1周するわよ」

ブロントがチーム名を考えていたころ、
学園防衛隊隊長マゼンダはメンバーの3人を引き連れて、隣の教室の前を歩いていた。
隣の教室の生徒達が、ホウキをもって武装している彼女らを怪しそうな目で見ていたことにはこの際触れないでおこう。
幸いどの先生も職員室にいたため、怒られることは無かった。
2組、1組、階段と通り過ぎ、廊下を曲がろうとした。
その時、進行方向から声が聞こえた。
その声はだんだん近づいてくる。

「隠れて!」

マゼンダのかけ声で、4人は近くのトイレの個室に隠れて、誰かが通り過ぎるのを待った。

「体育の先生だから見回れってそりゃないっての。
大体私はか弱い女性ですぅー・・・はぁ。
ヤダなー。犯人怖ぇなー」

どうやら校内の見回りを頼まれたようだ。
声はトイレから遠ざかっていった。

ほっと胸をなでおろす4人。だが、この気の緩みがややこしい事態を引き起こしてしまう。

もうそろそろいいかなと個室のドアを開けて、マゼンダはトイレの入り口から外の様子をうかがおうとした。
だがその時、不注意で足元のゴミ箱を蹴ってしまった。
ガタン、と静かな廊下に音が響く。
2、3メートルほど遠ざかっていたその先生は、ビクリと肩を震わせる。

「今の音・・・?」

Uターンしてくる先生。慌ててさっき居た個室に戻る学園防衛隊。
鍵を閉め終わるのと先生が入ってくるのはほぼ同時だった。

・・・ええええ犯人?犯人?マジで?
立ち尽くす先生。微動だにしない。
応援を呼ぶ?いやでもそしたら近くの教室が危ないかも?どうするどうする・・・。
ぐるぐる考えこむ先生。4人は息を殺す。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.18 )
日時: 2012/04/13 20:11
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

トイレが緊張感に包まれる少し前。
ちりとり隊は3組の教室から出て行こうとしていた。
一足先に廊下に出たジルバは、1組の教室の向こう、トイレの方に人影を見た。

「おい、誰かトイレに入っていったんだけど」

ジルバの声に、他の3人は慌てて廊下に飛び出す。
3人が廊下に出たころには、人影は見えなくなっていた。

「え、え、どんな奴?」

ブロントが聞くと、なんか赤っぽいジャージだったような・・・?とジルバは言う。

「犯人決定だな。よし、皆隊長に付いて来い」

4人はそれぞれ武器を構えてトイレの方へと進む。

隣の2組や1組の教室を通る時、かなり大勢の視線を感じたのは言うまでも無い。

「なんか一人だけホウキじゃなくてちりとりと・・・ゴミ箱のフタじゃね?」

2組の前を通る途中ボソッと教室からこんな声が聞こえたので、ブルースは顔を赤くした。

1組の教室前で、ちりとり隊は立ち止まった。
トイレは1組の教室のすぐ隣にあるからだ。

「・・・よ、よし。突入するぞ」

ブロントのかけ声で、4人はトイレの入り口前に駈け寄った。
そしてちりとり隊は、犯人らしき人の姿を右側の女子トイレの入り口に見つけた。

「うおわぁぁああ!?」

その人は驚いた表情で振り返る。
緑の髪、そして赤いジャージ。服装は犯人の特徴と一致している。

「なんだ生徒か・・・。お前らさぁ、教室待機って言われなかった?」

4人を睨む赤ジャージ。

「あの、ひょっとして先生・・・ですか?」

ブルースは恐る恐る聞いてみる。

「・・・あぁ、新入生ね。だったら知らないよな。
私はミドリ。体育担当な。
・・・で、なんでお前らここに?危ないんだよマジで」

威圧感を出すミドリ。
まずい、興味本位で出てきたとか言ったら新入早々説教だ・・・。
4人はごくりとつばを飲み込む。
だが意外にもブロントが口を開いた。

「あのっ、女子達が興味本位で教室抜け出して、
俺委員長だし、そいつら止めようとこいつら連れて後を追いかけて・・・」

ブロント以外のちりとり隊は思った。
あ、コイツ仲間売りやがった、と。

当然この会話は個室に隠れている学園防衛隊にも聞こえているわけで。
後でダメ委員長がどうなるかは想像が付くだろう。

「そうか。なら仕方ないな。
・・・でもいい所に来たよ。実は犯人がこの中にいるんだ」

この展開にちりとり隊は驚く。学園防衛隊は焦る。

「一人じゃ歯が立たなそうだったからな。
・・・ちょっと協力してもらうよ。ちょうどいい武器も持ってるし。
あ、ちりとりとそのフタみたいなのはいらねーから」

教室に置いてくるんだった、とブルースは激しく後悔した。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.19 )
日時: 2012/04/14 10:03
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「じゃあ、私がドアを開けるから、ホウキで距離を取りつつ取り押さえろ」

ヤバいどうしよう、と防衛隊はさらに焦る。
ミドリがドアに近づく。そして取っ手を握り締め、
思いっきり引っ張った。
だがドアには鍵がかかっており、ガタンと盛大に音を立てただけだった。

「あ、クソッ鍵かけてやがる・・・ッ」

ミドリはドアに顔が当たるくらい近づき、何とか力ずくで開けようと何度も何度も引っ張る。

その時マゼンダはふと、いいアイディアを思いついた。

「皆、私に急いでついてきて」

小声で防衛隊隊員にそう言うと、鍵を開けて一気にドアを開け放った。
ドアは外開きだったので、かなり接近していたミドリは顔を思いっきりぶつけた。
いでッという声と共に、ミドリは顔に手を当てたまま床に倒れた。
当然、トイレから出てきた4人の顔は見ることが出来なかった。

防衛隊はダッシュでトイレから飛び出し、そして入り口に立っていたちりとり隊を押しのけ、
一目散に逃げ出した。
当然ちりとり隊は、まさかクラスメイト4人が出てくるとは思っていなかったため、あ然としていた。

ミドリは立ち上がったが、個室には当然誰も居ない。

「オイ、どこ行った犯人!」

ミドリの問いに、階段上っていきましたと適当に答えるブロント。

「ちらっと赤いものが見えたからな・・・。犯人確定だ。お前らは教室にいろ。他の生徒は私が連れ戻すから」

ミドリはそう言うと、ダッシュで階段の方へと急いだ。

「アレさ、赤いものってマゼンダの髪の毛だよなあ?」

ブロントの言葉に、ちりとり隊は苦笑いする。

「また先生が学園防衛隊の被害にあったな」

ブルースは言う。4人はNKO作戦を思い出す。

・・・あれ?
ブルースはふとその時の、リンのセリフを思い出した。
“作戦実行!”と言ってた。
そして先生を投げた。・・・かなり力があるよな。
あの時・・・3時間目。午前中。
マゼンダの赤い髪。あの時はなんかすげー怒ってた。
怪我を負った先生。・・・オーガー先生。

ブルースの中で、何かがつながった。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.20 )
日時: 2012/04/14 21:11
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「・・・なあ、大変なことに気づいたんだけど」

いつになく真剣な表情のブルースに、雑談していた他の3人は静かになった。

「犯人の特徴は赤い服で力があって、ミッションがどうのってセリフ、そして恐ろしい表情。時間帯は午前中。
・・・俺達犯人見てるぞ」

思いがけないブルースの言葉に、驚く3人。
ブルースは続ける。

「今日の午前中、NKO作戦でオーガー先生がぶっ飛ばされただろ?
多分被害者の先生はあの人だ」

その時3人は同時に理解した。
ミッション野郎は・・・学園防衛隊だったのだ。
まだいまいち納得いかないジルバは、ブルースに質問をぶつける。

「でもよ、赤い服とかミッションがどーのこうのって何なんだよ?」

「多分オーガー先生、記憶がごっちゃになってるんだろ。頭壁にぶつけただろうし。
赤い髪はマゼンダの髪。ミッションがどうたらっていうのはリンのセリフ。
恐ろしい表情ってのはキレたマゼンダ」

4人の顔が青ざめていく。
あの事件がこんな大事になるとは。マジやべぇ。
入学早々こんな事件を引き起こしたと知れたら。
・・・恐らく3組の評判は地球の裏側まで落ちることとなるだろう。

「・・・と、とりあえず謝りにいこうぜ・・・。
職員室・・・どこだ?」

ちりとり隊はとぼとぼと職員室へ向かった。いつもより足を重く感じる4人。

職員室の前に着くと、ブロントは恐る恐るドアを開けた。
そこには、驚くべき光景が広がっていた。

赤い服を着た、柄の悪そうなおっさんが学園防衛隊と先生、そして警察官に囲まれている。
どういうことだ?
ちりとり隊は顔を見合わせた。

「あ、ブロント達じゃんっ、犯人捕まえたよ」

ティンクは4人に向かって手を振る。
わけがわからず固まったままの4人。

「君たちは教室に戻っていなさい」

そばに居た先生にうながされ、とりあえず8人は教室へ戻った。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.21 )
日時: 2012/04/15 18:51
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)



「でさ、どーゆーことなんだよ」

ブロントはホウキやちりとりを元の場所へ片付けながら聞いた。
テミの説明によると、2階の空き教室でコソコソしていた不審者を、
学園防衛隊が取り押さえたと言う。
なんとグッドタイミングな不審者。
だが教師はまだ殴ってない、と午前中の事件については否定しているらしい。・・・そりゃそうだ。

「ま、どーせ嘘ついてるだけでしょーよ」

嘘じゃないんだマゼンダ、とちりとり隊は思ったが、
当然言えるわけもなく。
真実は闇の中にぶん投げられましたとさ。

しばらく雑談していると、チャイムが鳴った。
時計を見ると6時間目の終わりの時間帯だった。

「うわ、なんか早くね?5時間目終わりのチャイム気が付かなかったわ」

ブロントは時計を指差しながら言う。

6時間目が終わると掃除の時間だが、まだ掃除の分担が決まってなかったので、
8人はとりあえず教室で待機することにした。

窓から風が吹き込みカーテンが揺れた。
外は晴天で、グラウンドの桜の木にはまだ花が少しだけ残っている。

彼らの日常は、始まったばかりだ。

第三話 えんど。

Re: ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.22 )
日時: 2012/04/15 18:53
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

第三話が終わりましたあははのは((

自分ギャグもいけるかもと思ったこの頃です。

ところで中学生活面倒くさいね^p^

コメント、アド、お友達ばんばん募集です!(`・ω・´)

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.23 )
日時: 2012/04/16 19:51
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

入学してから1ヶ月の月日が経った。
4月にはいろいろあって行われなかったが、この学校にも、アレはある。
・・・そう、1ヶ月に1、2回の全校朝礼。別名、校長の話だ。

午前8時15分。全校生徒は体育館に集まっている。
1クラス10人から8人。それが1学年3クラス。
全校で72人から90人。
小規模だが、これだけ人が集まると私語が出る。
・・・はずなのだが。

「なあブルース、1年生以外静かじゃね?」

すぐ後ろにいるブルースに、小声で話すブロント。

「そうだよな。普通私語が少しくらいはあるんだけど」

ブルースもそれは気になっていた。

起立、気をつけ、礼。そして表彰などをした後、
いよいよ校長の話となった。

「それでは、校長先生の話です」

生徒会長がそう言うと、何やら黒い、妙なオーラをまとった何かがステージに上がった。
そしてマイクの位置を調整し、しゃべり始めた。

1年生全体がざわついた。皆同じ事を思った。・・・あれ人間?
その時、校長の赤い眼のようなものが細められた。
背筋がなぜか凍りつき、金縛りのような状態になる。
途端にざわめきは収まった。
校長は何事も無かったかのようにしゃべり続ける。

「・・・皆さんには、夢に向かって頑張ってほしいです。終わります」

一礼すると、校長はステージから降りた。
そして降りたところでふっと姿を消した。まるでマジシャンだ。

教室に戻ると、皆さっきの校長の話題で持ちきりだ。

「多分2,3年生も同じ目に遭ったんだろうな」

「そうだろうな・・・。怖ぇよなあの校長。クロウが借金取りになるのと同じくらい怖ぇよ」

妙なものに例えるジルバ。確かにいい勝負だけれども。

「あれ絶対人間じゃないよ!」

「でもティンクも妖精じゃ」

「違うの!妖精じゃないの!人間なの!」

マゼンダの鋭いツッコミに、断固人間だと主張するティンク。
背中に虹色の羽の生えた人間なんているのだろうか。

とりあえず校長の正体は、今のところ謎のままだ。

休憩 校長 えんど。(続いて第四話です

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.24 )
日時: 2012/04/17 20:08
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「あー、バス・・・マジで苦手・・・」

「お前、俺の隣で吐くなよブロント」

「ちょっとは心配しろよ鎧野郎・・・」

今日はいつもの教室での授業ではない。
8人はバスに乗って、ある場所へと向かっていた。
もちろん先生も同伴だ。ちなみに修学旅行ではない。
多分どの学校でも1回くらいはやる、教育合宿という奴だ。

バスがブレーキを踏んだ。着いたぞ、と先生の声が聞こえるので、到着したようだ。

バスを降りた1年生は、ぐだぐだと長い先生の注意事項を聞く。
そして各々玄関で靴を脱ぎ、自分の班の部屋へと移動していった。

ちなみに1年3組は、
女子は1階の「菊の部屋」で、男子は2階の「謎の部屋」だった。

「こういう合宿のときって、先生達いつもより怖いですよねー」

テミの言葉に、他の3人はうんうん、とうなずく。
菊の部屋の女子達は、しおりを見て今後の動きを確認していた。

「絶対先生のうちの1人や2人がキレるよねー」

リンの言葉に、確かにー、と3人は返す。

「でも結局さ、最後には成長したな、みたいな感じになるよねぇ」

ティンクの言葉に、3人は笑う。

一方、謎の部屋の男子達はというと、自分達の部屋の名前に疑問を抱いていた。

「つーかさ、なんで『謎の部屋』?」

「なんか他のクラスの男子の部屋の名前も変だったよな」

ブロントの問いに、ブルースは返す。

「1組が『変な部屋』で、2組が『部屋部屋』だったな」

クロウは携帯をいじりながら言う。

「『部屋部屋』が一番謎だよな。何だよ部屋部屋って。・・・つーかクロウ、携帯いじるなら扉閉めとけよな」

ジルバはクロウに文句を言いつつ、扉を閉める。

「帰れるのは明後日かー。テレビ見れねーつまらねー」

「携帯で見ればいいだろ」

クロウの言葉に、ブロントの眼は輝きを取り戻す。

「あ、圏外になった」

だが、直後のクロウの言葉で再びテンションがガタ落ちするブロント。

「つーかお前ら、しおり見とけよなー。特に班長兼委員長のお前」

ビシッと丸めたしおりでブロントを差すブルース。
えー、と面倒くさそうなダメ委員長。

「こういう時の先生達はなんか怖ぇし面倒なんだからな」

ブロントはしぶしぶ、しおりの日程のページを開いた。

こうして、ミリオン学園の2泊3日の教育合宿が幕を開けた。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.25 )
日時: 2012/04/18 19:21
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

体育館では、めっちゃつまらないレクが行われていた。
主に仲間集めゲーム。そして最終的には校歌の練習や、前ならえの練習。
そこ曲がってるだろ、と先生に注意され、何度もやり直す。
そして最終的には、学校に帰ってもこの状態を作れるようにな、とほめられる。
生徒達のストレスはかなりたまりまくっていた。

なんやかんやでもう6時。夕食の時間になった。
各々クラスごとのテーブルに着き、クラスでそろっていただきますをする。

「あー、ホント疲れる!あんな練習意味ないっての!」

マゼンダは豆腐にしょうゆをかけながら文句を言う。
まあまあ、とテミはそれをなだめる。
・・・豆腐に思いっきり塩とケチャップをかけながら。

「テミの豆腐すごいことになってんぞ」

ブロントはみそ汁に思いっきりしょうゆとケチャップを入れながら言う。

「いや、お前のみそ汁もすごいことになってんじゃねーか」

ブルースはツッコむ。ちなみにブルースの味付けはごくごく普通。お笑い芸人で言えば0点だ。

「クロウ、マヨネーズ取って」

「100円」

「ふざけんなよテメー」

「すみませんジルバさん」

気持ち悪いからやめろ、と言うジルバに、クロウはマヨネーズを渡した。


食後は、風呂に入る時間が来るまで待機だ。
しおりに感想を書き込んだり、友達と雑談で盛り上がったり、割と自由な時間だ。
ダメ委員長率いる3組は何をしているのかと言うと、
女子は次の風呂の準備をしっかり済ませて、雑談をしている。
一方男子はひたすらぐうたらと過ごしていた。

「あーあー、暇だー暇暇」

畳に転がってあーあーうるさいブロントに、
うるさいなだったら女子の部屋にでも行って来い、と冷たく突き放すクロウ。

「クロウ冷てーなお前・・・。お前は暇じゃないのかよー」

「もう宝くじ3億円当たったら、と想像してるから別に退屈しないぞ。ちなみに俺は全部貯金だ」

「うわっ、半分使って半分貯金の奴の次につまらねー奴ー。どーんと使えよ」

「何だと?貯金をバカにすると学校の階段で転んで周りの知らない人に心配されて少し恥ずかしい目に遭うぞ。貯金なめんな」

「うるせーな。パーっと使うほうが楽しいだろ。つーかそれ地味に嫌だぞテメー」

ブロントとクロウはにらみ合う。世界一無意味な言い争いだ。

「お前らさぁ、3億円当たるって仮の話だろ?なんでそんなに真剣なんだよアホか」

だがブルースのもっともなツッコミは、さらに面倒なことを引き起こした。

「じゃあブルースに決めてもらおうぜ?貯金か消費か」

「いいだろう」

ブロントとクロウはブルースの方を向く。
ブルースは焦る。どう答えたらややこしい事態を防げるだろうか。
中立を保つ方法、中立を保つ方法・・・。

さあどっちにするんだ、と2人にせかされ、ブルースは答えた。

「・・・銀行に預けて、利子の分だけ使って元のお金には手をつけない」

一瞬で場の空気がしらけたのが、手に取るようにわかった。

「・・・面白くないな!」

ブロントのバカ正直な発言に、ブルースは顔を赤くして反論した。

「うっ、うるせーな!俺はややこしい事態を避けようと・・・」

「でもさー、なんていうかさー、あそこはボケるべきだよねー」

苦笑いのブロント。

「俺なりに一生懸命考えたんだよテメー!つーか前にもこんなことあったぞ!
そんなにしらけること無いだろーが!
つーか大体お前はボケるばっかで、委員長の仕事全然やってねーしこないだの小テストは10点満点中1点だし時間割のプリントいまだに持ってこねーし
うんたらかんたら・・・」

ツッコミ属性の人は常識人であることが多い。
そのため、口ゲンカとかはかなり得意だったりする。
なぜなら言うことは全て真実で、しかもだいぶ前の事をすっごい覚えていたりするからだ。

ダメな所をかなり指摘されたブロントは、反論する元気も奪われ、クロウに泣きついていた。

「・・・クロウ、俺さ、ダメな委員長だよな・・・」

「いっ、いや、そんなことは無いぞ?クラスを盛り上げるのが委員長の役目でもある。
そういう意味では、お前はかなり役に立っているぞ。
・・・ブルース、もうやめてやれ。なんかかわいそうになってきた」

3億円の話は、とりあえずこれで決着した。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.26 )
日時: 2012/04/19 18:46
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「レモンといえばすっぱい」

「すっぱいといえば梅干し」

「梅干しといえばゆでるとおいしい」

「ゆでるとおいしいといえば・・・」

「ストーーーップ!!」

風呂に入った後の時間を連想ゲームに費やしていた学園防衛隊。
テミの梅干しといえばゆでるとおいしい発言に、マゼンダのストップがかかる。
・・・当然っちゃ当然。

「いやいやいや梅干しゆでちゃうの!?」

マゼンダの珍しいツッコミに、テミはうなずく。

「ゆでるだけでなくジャムと一緒に食べてもおいしいですよ。オススメはイチゴジャムです」

こんど作ってきましょうかと学園に兵器を持ち込もうとするテミを、他の3人は慌てて止めた。

「えーっと、じゃあ続きね。リンからー」

「んーと、ゆでるとおいしいといえばパスタ」

「パスタといえばおいしい」

「おいしいといえばお菓子ーっ」

「お菓子といえばポテトチップスワサビワサビ味」

「ポテトチップスワサビワサビ味といえばひゅるるるー」

「ひゅるるるーといえばピカっ」

「ピカっといえばチュウ」

ブルースがこの場に居れば、かなりの数のツッコミが炸裂するであろう連想ゲームを、
4人は就寝時間ギリギリまでやり続けていた。


夜が明け、教育合宿2日目。
午前7時ジャスト。起床時間を知らせるチャイムが鳴る。

「・・・あんま寝れなかった・・・」

そうつぶやき、ため息をつくのはブルースだ。目にはうっすらクマができている。
寝床に枕がめちゃくちゃに散らかっているので、昨晩は枕投げでもしていたらしい。

「ん・・・、グッドモーニングブルース」

そう言いながら起きてきたクロウに、グッドなモーニングじゃねーからクマできてんだろとツッコむブルース。
疲れていてもツッコミは健在のようだ。

「つーかさ、コイツどんだけ鎧好きなんだよ」

ブルースはまだ寝ているジルバの方を見る。
ジルバは寝るときも鎧は欠かさないようだ。

「風呂にもいつの間にか入って、いつの間にか出ていたからな。
・・・1万くれれば似顔絵描いてやる」

「高ぇよ・・・。つーか何で知ってんだよお前・・・」

そんな会話をしているうちに、ガシャガシャと音がしてジルバが起きてきた。
そしてやはりというかなんというか、ブロントはなかなか起きない。

「ジルバ・・・の中身、うあああ気持ち悪ー・・・」

「なあ、一発殴っても別にいいよな?」

ブロントの寝言にイラつくジルバを、ブルースはいやいややめろって、と制止する。

「必殺霧吹き」

クロウはそう言うと、どこから出したのか、霧吹きでブロントの顔に水を吹きかけた。
んごぁ、と変な声を上げて、ブロントは飛び起きた。

「うわーっ、ビックリすんじゃねーか・・・」

「着替えとか急げよ、もう7時15分だし。つーか委員長が率先して寝坊してんじゃねーよ」

ブルースの言葉に、俺夜行性だしーと返すブロント。

ブルースはさっきのジルバの気持ちが少し分かったような気がした。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.27 )
日時: 2012/04/20 07:04
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

午前7時45分。
ミリオン学園の1年生達は、体育館でぐだぐだと長い話を聞いた後、ラジオ体操をやらされていた。

おなじみの音楽が流れ、それにあわせて体操をする。
心なしか、皆だるそうな感じだ。
しかしこの後、皆はさらにだるそうな感じになっていく。

体操が終わると朝食を食べ、
1年生は筆記用具を持ち、クラスごとに多目的室に移動した。

多目的室にはカーペットが敷かれていて、机が人数分置かれており、その上には少し厚めのプリントが置かれている。

「何よこれー」

マゼンダがぱらぱらとそれをめくってみると、5教科全ての基礎問題がずらりと並んでいた。
俺帰りたい、とそれを見て青ざめるブロント。

「おーし、皆、とりあえず適当に机のところに座っとけー」

担任のキラスが入ってきたので、皆とりあえず適当に座る。

「えーと、今日1日中それを解き続けろ。ちなみに残った分は宿題な。以上」

それだけ言い残すと、キラスは部屋から出て行った。

「マージーかーよー」

机にうつ伏せになるブロント。かなり勉強が嫌いなようだ。

「ここに来てまで勉強ー?もうイヤー」

マゼンダは思いっきりだるそうだ。
他の6人も、多かれ少なかれ文句は言っていたが、
10分ぐらい経つと皆黙々とプリントに向かっていた。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.28 )
日時: 2012/04/21 08:59
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

しばらく机に向かい続けていた8人。
だが、徐々に集中力は途切れていく。最初の脱落者はブロントだった。

「あーあーあー、超意味わかんねー。つーか疲れたー」
あーあーとうめきながらその場に寝転がる。

「私も限界だよー。体動かしたいよー」

2番目に脱落したのはリンだ。運動がしたくてたまらないらしい。

「お前委員長だろーが。ちゃんとやれよなー」

ブルースはプリントの束でブロントの顔をペシペシ叩く。

「委員長委員長ってー。俺好きで委員長なったわけじゃ・・・って好きでなったんだっけ」

好きでなってんじゃねーか、とブルースはツッコむ。

「ブロントー、野球やろうよ野球ー」

リンはブロントを野球に誘うが、道具がここにあるわけがない。

「道具ねーしできねーよー」

ブロントの言葉に、リンは意味ありげにニヤリと笑った。

「それがあるんだよねー。・・・じゃんッ!」

リンはプリントの束を丸めてバットのようなものを作り、消しゴムを握り締めた。

「・・・おぉ、ナイスアイデア!!」

ブロントは目を輝かせる。
ブルースは、もう何を言ってもダメだと思ったのか、黙々とプリントに取り組み始めた。

「そぉらーッ!!」
びゅん、と勢いよく消しゴムを投げるリン。
かなりのスピードで飛んできた消しゴムを、ブロントは丸めたプリントの束で打ち返した。
・・・よい子も悪い子もまねをしてはいけません。

打ち返した消しゴムは、黙々と課題に取り組んでいたブルースの頭にクリーンヒット。
こつんと音を立てて床に落ちる消しゴム。
若干イラっときたブルースだったが、課題を早く終わらせたかったので、気にしないことにした。

「くっそー、次はホームラン出すぞー」
プリントバットを構えるブロント。

「そーりゃあッ!!」
先ほどと同じように消しゴムを投げるリン。
うおーっと声を上げ、それを打ち返すブロント。

「おーい、お前らちゃんとやってっかー」
その時、ミドリがドアを開けて部屋に入ってきた。
そして不幸にも、打ち返した消しゴムはミドリの顔にヒット。
2人の顔は青ざめた。・・・マジでヤバい。
ぽとりと床に消しゴムが落ちた。
2人以外のクラスメイトも後ろを少し振り返り、様子をうかがう。

「・・・そこの突っ立ってる2人。・・・隣の部屋まで行こうか」

見るからに怒ってますオーラを出しまくっているミドリに、2人は隣の部屋に連行された。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.29 )
日時: 2012/04/23 07:42
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「・・・マジで怖かったし」

30分後、2人はようやく説教から開放されたのであった。

「お前らなー。やるならバレないようにやれよな」
うるせーよ鎧、とブロントは言い返す。

「よくぞ帰還した、リン」

「怖かったであります隊長!」

学園防衛隊は妙なノリで盛り上がっている。

「テミが課題を終わらせたから、後は写すだけだよんっ」

ティンクがそういうと、テミは自分の課題プリントをリンに差し出す。
・・・よい子も悪い子もまねをしてはいけません。

「ありがとう皆!」
リンは早速課題を写しにかかる。

「あっ、卑怯だぞお前らー!俺にも写させろよー」

委員長なのに率先して不正行為を働こうとするブロント。

「1000円で写させてやるけど」

「いや、それは高いだろクロウ。ていうかあっちはタダでていきゅ、提供してんだから誰も乗らねーよそんな話」

「・・・今ていきゅ、って噛んだよなブルース」

「・・・悪いか」

8人は、正確に言えばテミとクロウを除いた6人は、
へっとへとになりながら、不正行為は働いたものの、とりあえずは課題を終わらせたのであった。

外の景色はうっすら暗くなり、日曜日で言えば某海の生き物一家のアニメが始まるような時間帯だ。
課題から解放された8人は、寝転んだり雑談したりと思い思いにだらだらと過ごしていた。
その時、ぐぅ、と妙な音がした。

「あー、腹減った。つーか昼飯食べてなくね?」
ブロントのお腹の音だったようだ。
ハンバーグ食べたい、と寝転んだまま背伸びをしながらつぶやく。

「ああ、そういえば食べてないな」
クロウはそう言いつつ、何食わぬ顔でぽりぽりと音を立てながらポッキーを食べている。
その光景を見たブロントは飛び起きる。

「お前、それポッキーじゃねーか!!しかも俺の好きなあの甘いやつ!!」
よこせよ1本くらい、と手を差し出すブロントに、1本100円だ、とクロウは冷たく言い放つ。

「ちょっとは分けてやれよ・・・」
はあ、とブルースはため息をつく。

そういえば今日で合宿終わりか。ふとブルースは思う。
一番最初はどこかよそよそしかったのに、今じゃこんな風になるなんて。まったく予想してなかった。
入学初日の頃を思い出すブルース。
蛇が担任。カンニング・アイ。ワサビワサビ。
このままずっとこのクラスで楽しくやっていけたら・・・。

「あ、ブルース避けろお前!」
ジルバの警告もむなしく、ブルースの背中に何故か飛んできた机がクリティカルヒット。
あ、やっぱりずっとこんな感じはちょっと無理かも・・・。
ブルースはそう思ったのであった。


第四話 えんど。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.30 )
日時: 2012/04/23 07:48
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

第四話が終わりました。

何だこの合宿、って思ったら負けです負け←

コメント少ないのきになるなぁ((

……誰かコメしちゃってもいいのよ?(殴

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.31 )
日時: 2012/04/24 20:47
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

6月の某日。
テンミリ学園は衣替えの時期を迎えていた。長そでから半そでに切り替わる。
今日は特に蒸し暑いので、半そでを着ている人はかなりの人数だった。
そんな蒸し暑い今日、事件は起こった。

「おはよー」
いつもより少し、心なしかだるそうなブロントの声が3組の教室に響く。
あちらこちらからおはよーと返事が返ってくる。

「マジ暑いんだけど今日・・・」
ブロントは自分の席に座ると、半そでをさらにまくりあげる。

「ホント暑いよなー」
ブルースは下敷きでぱたぱたと、ブロントに風を送る。
ブロントがサンキュー、と言いかけた時、教室のドアから見知らぬ生徒が入ってきた。
まだ登校していないクロウとジルバ、そしてリンを除く5人は驚く。
その生徒は、髪は茶色で、少し日に焼けている。
そして何食わぬ顔で、一番左の前から2番目。
・・・ジルバの席に座った。

「・・・え、何この空気?なんで皆静かなわけ?」
その生徒は、しーんと静まり返っている皆を見回して言った。
その生徒の声はジルバそっくり。いや、ジルバそのものだった。
ようやく5人は理解した。・・・ジルバだ。

「ちょっちょっちょっちょ!!ジルバ!?ジルバなのか!?」
ガタンと音を立てて椅子から立ち上がり、ブロントはジルバの元へ駆け寄る。
他の4人も慌てて駆けつけた。

「うるせーな。鎧はずしただけだろ」

「いや、この変わりようはスゴいぞ。ていうか何で鎧取ったんだ?」
暑いから取ったんだよ、とジルバはブルースの質問に面倒くさそうに答える。

「でも、何といいますか、その、鎧を着けてないほうがカッコいいですよねー」

「あ、テミも思った?私も同じこと思ってた」

テミとマゼンダが言うように、鎧を取ったジルバはなかなかカッコよかった。
俳優さんとかまでは行かないけど、クラスに1人はいそうなカッコよさだよね、とティンクは言う。

「・・・そんなにほめても何も出ないぞ」
少し恥ずかしそうにジルバは言う。

「んー、悔しいけど・・・カッコいいなお前」

「アンタは普通だもんね」
うるせーよ普通なめんな、とブロントは言い返す。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.32 )
日時: 2012/05/01 18:09
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「おはよー・・・って、何でジルバの席に人だかり?」
今登校してきたリンは、事情が分からず首をかしげる。

「あ、おはよリン!早く来て来てッ!!」
ティンクが手招きするので、リンはとりあえず皆の所に駆け寄る。

「え、何?転入生?カッコいいねぇ」

「違いますよー。ジルバさんですよー」

テミの答えにリンは思わずええっ、と声を上げる。

「私今までひげ面のおっさんかと思ってたよ」
おっさんじゃねーよ、とジルバが抗議した時、クロウがダッシュで教室に入ってきた。
クロウは時計に目をやると、ギリギリセーフとつぶやいて自分の席に座る。

「あ、お前鎧取ったのか」

荷物を机に掛け終えると、クロウはすぐ後ろのジルバの席の方に向き、そう言った。

「あれ、クロウ驚かないね」
ティンクがそう言うと、コイツは知ってるんだよ、とジルバは言った。

「お前、ずっと外さなきゃ俺が金をもっと稼げたかもしれないのに」

「ふざけんなテメー。あの蒸し地獄に耐えられるかバカ」

「売上の0.01%はお前に譲ってやろうと思っていたのに」

ふう、とクロウがため息をついたとき、ドアの隙間からしゅるろんとキラスが入ってきた。

「今日は暑いなー。皆席につけー」

ぴょこんといつものように教卓の上へ飛び乗る。

「まず、今日の体育は理科に変更だ。間違えるなよ。
んで、6時間目は体育祭のなんやかんやを決めるからな」

「なんやかんやってなんですか先生!」

ブロントが手を挙げて質問をすると、キラスは適当な感じで答えた。

「何の競技に出るか、とか。あーちなみにこの学校、
パン食い競争と校長ほめまくり祭りしか競技ないからあんま意味ないけどな」

校長ほめまくり祭り?何だよそれ?つーかそれで体育祭成り立つの?

ざわつく教室。そりゃそうだ。

「まあ、詳しいことは6時間目な。じゃ」

キラスはそういい残すと、教室を後にした。

Re: 『参照50突破感謝!】ミリオン学園十人十色【コメ求む!】 ( No.33 )
日時: 2012/05/01 18:10
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)



今日はとても蒸し暑い日だが、テンミリ学園にクーラーは付いていない。
理由は単純。そんな余裕(と書いてお金と読む)はないからだ。
さらに不幸なことに、今日は風が全く入ってこない。
1時間目、2時間目と、時間が過ぎる中、暑さはじわじわ増していく。

「次理科室かー・・・。移動面倒ー」

文句を垂れながら机の中から教科書を取り出すブロント。

「今日鎧外してきて正解だなー。つーか地球温暖化進みすぎだろ」

「そうだな。暑くて暑くて死にそうだ」

そう言いながらクロウは、氷が大量に入ったクーラーボックスを抱え、氷をまるでスナック菓子のように食べている。
ちなみに汗は一滴もかいていない。

「テメー涼しそうだなこの野郎」

「ジルバ、親友のよしみで一袋1000円のところを980円にしてやろう」

「高ぇよ!!」

「俺買う買う!!」

そう言ってクロウに10円玉を差し出したのはブロントだった。
クロウはそれを受け取ると、ブロントの手に氷を1つだけ乗せた。
受け取るなり、それを口に放り込むブロント。

「あー。マジ生き返るわー。サンキューなクロウ!」

「・・・いや、いいのかよそれで」

ブルースがツッコむ横で、ブロントは氷をガリガリ噛み砕いている。

「つーか早くいかねーとチャイム鳴るぞ」

「うわッ、ヤベッ」

4人は理科室へとダッシュで急いだ。
しかし、こんなクソ暑い中走るとどうなるか。皆さんはもうお気づきだろう。

「・・・あづぃ」

そう、しばらく暑さに苦しむことになる。
と言っても、ブロント以外の3人は適度に手を抜いて走ったのでそれほど暑くはならなかった。
苦しむのは後先を考えていなかったブロントのみである。