コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ミリオン学園十人十色 ( No.2 )
- 日時: 2012/04/08 12:47
- 名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)
「・・・えー、では今日から頑張っていきましょう。日課表は昨日配ったプリントの通りです。そしてロングホームルームは係り決めをします。以上」
そういうと担任は、ドアの隙間からしゅるんと廊下へ出ていった。
「あ、やべ」
ブロントの声がした。どうしたとブルースが声をかけると、日課表のプリント無くした、と笑顔で返ってきた。
「いやいやいや、昨日もらったばっかだろ!どこに無くす要素があるんだよ」
「いや、昨日の夜ファイルにちゃんと入れたんだけどなー。・・・まあいいか。1時間目何ー?」
「ん・・、国語だってさ」
「了解ーっ」
コイツ大丈夫かな・・と思いつつブルースがふと目をやると、右隣の女子がカッターを持って机に何か彫っている。
「え、ちょ、何やってんの」
思わず声をかけるブルース。
「あぁ、私ね、自分の席には自分の名前彫ることにしてるんだよねー。」
机をのぞいて見ると、マゼンダ、と彫られている。
「そ、そうなんだ・・・」
いやそれ迷惑だろ学校に、とブルースは心の中でツッコんだ。
「おぉ、それ面白そうだな!!」
と、ブルースの背後から文字通り首を突っ込んできたのはブロントだった。
「俺もやってみようかな!」
「いや、やめとけよそれは。席替えの度に2人の彫った後が増えるんだぞ」
「いいじゃん。記念記念」
「何の記念だよ」
2人が会話をしていると、右隣の女子、マゼンダが笑い出した。
「2人って面白いね!コントみたい!同じ学校出身なの?」
違うよ、と首を振ると、マゼンダは驚いた。
「えっ、なのにもうそんなに仲がいいんだ。すごいなー」
「全てはコイツのツッコミから始まったんだぜ」
「・・・そうだったか?」
そんなこんなで2人がわーわー言っていると、ドアの隙間からあの先生がにゅるんと入ってきた。
- Re: ミリオン学園十人十色 ( No.3 )
- 日時: 2012/04/08 13:28
- 名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)
「はーい席につけー。・・・ってもう皆ついてるか。初日だもんな」
そういうと蛇、いや担任は教卓の上にジャンプして乗っかった。これなら後ろの席の人も見える。
「えーと、授業しようと思ったんだが、自己紹介とか先にしたほうが係りとか決めやすいかなーということで自己紹介をするぞー」
クラスメイト達は机の上に出しておいた教科書類をしまう。
緊張するなーとブルースがブロントに話しかけると、え?俺自己紹介で緊張したことないぞ、と返された。
「じゃあ出席番号順なー。1番のクロウから」
あ、出席番号1番ってア行じゃないのかよすげーなと心の中でツッコむブルース。
横の方で椅子を引く音がして、
出席番号1番のクラスメイトが教卓の前に歩いてきた。
「んじゃー、名前と趣味とかなんかそーいうのよろしく」
担任がそう言うと、クロウは口を開いた。
「クロウです。趣味は自動販売機の下に落ちている硬貨を集めることです。好きなものはお金です。」
・・・いや、こいつお金好きすぎじゃね?
ブルースは思った。
クロウが礼をすると、パチパチと拍手が起こる。
クロウが席につくと、後ろの方で椅子を引き、そして金属をこすり合わせたようなガシャガシャ言う音が聞こえてきて、次のクラスメイトが前に立った。
・・・え?
ブルースは思った。コイツ・・・鎧着てるよな?
そう思うと同時にさっき聞こえた金属音はこれか、とひらめく。
「ジルバです。趣味は特にありません。好きな食べ物はそばです。よろしく」
パチパチと拍手が起こる。
担任が次ーと言うと、緑の髪の毛をした、小さな女子生徒が宙を飛んで教卓の前に立った。
「ティンクです。趣味は空を飛ぶことです。よろしくお願いします」
・・・妖精?RPGに出てくるような。夢じゃないよなこれ。
ブルースは気が遠くなりそうだった。
その後も自己紹介は続く。
ブルースはもうツッコみ疲れていたが、このクラスはかなりキャラが濃かった。
「テミです。趣味は本を逆さまに読むことです。好きな食べ物は特製野菜ジュースです。
ちなみに材料は、ミカンと牛乳と青汁と卵と冷蔵庫の残り物です」
・・・どんな味なんだよそれ、つーか一見まともそうなのにどうしたんだこの人は。
ブルースは頭を抱える。
「なあ、次お前の番じゃね?」
ブロントの声に、ブルースは顔を上げ、教卓の前に歩いていく。
「ブルースです。趣味は音楽を聴くことです。よろしくお願いします。」
パチパチと拍手がする中、ブルースは席に戻った。
「ブロントです。好きなテレビ番組は笑点です。よろしくー」
ブルースの次はブロントの番だった。
笑点か・・・珍しいな、とブルースは思う。
「マゼンダです。趣味は料理です。特技は彫刻です。よろしくお願いします」
ああ、机に彫ってるうちにうまくなったのか?ブルースはさっきのやりとりを思い出す。
「リンです。去年は、カンニング・アイのリンって呼ばれてました。得意な教科は体育になると思います。よろしくお願いします」
・・・カンニング・アイ?
- Re: ミリオン学園十人十色 ( No.4 )
- 日時: 2012/04/08 15:06
- 名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)
ツッコミ所満載の自己紹介が終わり、休憩時間。
ブルースはふう、とため息をついた。
・・・なんかもう、すごいなこのクラス。
少々疲労感を感じながら、次の時間割を確認する。
「あ、次ロングホームルームか。係り決めって言ってたよな!俺何になろうかなー」
ブロントが横から首をつっこんできた。
よく見ると片手にポテトチップスみそ汁ワサビ味、と
書かれたお菓子の袋を持っている。
「・・・みそ汁ワサビ?おいしいのかそれ?」
「俺的には普通だな!ワサビワサビ味の方が美味いぞ」
聞きなれない単語、ワサビワサビ味という言葉に、
ブルースは疑問を抱く。そしてツッコんでみる。
「ワサビワサビ?ワサビ味じゃないのかよ!」
「いや、ワサビワサビだってば。袋にそう書いてあんだよ」
どんな味なんだろう?ワサビの味がめっちゃするのかな、とブルースは納得することにした。
「あっ!!それみそ汁ワサビ味のポテトチップスですよね!!」
ブロントのすぐ後ろの席から声がした。
逆さま読書が趣味のテミだった。
テミは目をキラキラ輝かせて続けた。
「私それ大好物なんですよ!でも友達に言っても今まで誰も共感してもらえなかったんですよー。
あ、でもワサビワサビ味もクセになっちゃいますよね」
「だよなー!ワサビワサビ味超美味しいよな!!このツーンとなる感じ!」
「たまりませんよね!ヒュルルルーってなりますよね!」
「あー、わかるわかる!!でもってピカってなるよな!」
「ですよねー!そして最後にはドーン、ですね!」
「いや、わかんねーよ2人とも!花火かそれ!!花火だろ!」
ボケ同士の会話にこらえきれなくなったブルースがツッコむ。
おお、確かに花火っぽいよなとブロントは手をうつ。
でも違うんですよねーとテミが笑う。
ワサビワサビ味、買ってみようかなとブルースが思ったところで、
2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
- Re: ミリオン学園十人十色 ( No.5 )
- 日時: 2012/04/08 16:47
- 名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)
ドアの隙間から担任のキラースネーク、縮めてキラスがしゅるーと入ってくる。
いや、正確には入ってこようとした。
だがドアの隙間をすり抜けることが出来ず、ぐはっと小さい悲鳴を上げた。
「す、すまん・・・ドアを少し開けてくれ」
ドアに一番近い席にいたマゼンダがドアを開けてやる。
すまんな、とキラスは言うと隙間から抜け出し、教卓の上に飛び乗った。
「んじゃーさっき言った通り、係り決めな。最初は委員長から決めるぞー。誰かなりたい奴」
はーいッという声と同時に手が挙がった。
ブロントだった。
「はいはーい、俺委員長やります!!」
「んじゃ、決定ー。今日から号令とかリーダー的な仕事頑張れよ」
「らじゃー!」
こうしてブロントは委員長になった。
「んじゃー次・・・雑用」
・・・え?雑用?
キラスの言葉に皆、疑問を抱いた。
「先生、雑用って何あるか?」
エセ中国人っぽい口調でリンが聞いた。
なぜそんな口調なのかは今のところ不明だ。
「んー、保健委員から他の係まで全部請け負う何でも屋だ。・・・てか君そんな口調だっけ?」
「今ティンクとエセ中国人ごっこしてるあるよー。
ねーティンク」
「楽しいあるよーっ。マゼンダもやるあるねーっ」
ティンクはすぐ前の席のマゼンダに声をかける。
マゼンダは振り返るといいあるよーと答えた。
「おいブルース俺達もやろーぜねある!」
この妙なノリにブロントも乗っかってきた。
微妙に口調がおかしいが。
「つーかお前使い方間違ってね?ていうかこのノリなんだ?」
ツッコむブルース。
なんだよノリ悪ィなーそんなんじゃ社会に適応できないぜ、とブロントは口をとがらせ、テミに話しかけた。
「聞いてくれよブルースが反抗期あるー。ワサビワサビ味もわかってくれないしこのノリについていけないって言うねあるよー」
ブロントがそう言うと、テミはいきなり流暢な中国語を話し始めた。
「本物だよこの人!無駄にすげぇ!!」
テミの流暢な中国語にブルースは思わずツッコんだ。
え、中国語とか習ってるあるの?と
ブロントがエセエセ中国語で聞くが、テミはニコニコするだけだ。
- Re: ミリオン学園十人十色 ( No.6 )
- 日時: 2012/04/08 21:11
- 名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)
「なあクロウ、俺達もやったほうがいいあるか?」
ジルバがすぐ前の席のクロウに言うと、
クロウは振り返り、片手を差し出しこう言った。
「金さえ払えばこのノリに乗っかってやるが・・・どうだ?」
「いえ、遠慮するある」
「オイオイオイジルバ!金ないのかお前ー。仕方ないな!俺が払ってやるからクロウも乗っかれよ!」
そう言うとブロントは自分のポケットから1円玉を取り出し、左隣のクロウに向かって差し出した。
1円で動くわけないだろとブルースは内心思ったが、なんとクロウはそれを受け取った。
「しょうがないある。俺も乗っかってやるね」
こうしてブルース以外のクラスメイト全員が変なノリに乗っかることになった。
「さあ後はお前だけあるブルース!お前も乗っかれねある!」
ブロントの言葉に顔をしかめるブルース。
「えー、俺もやるのかよ!」
「ここまできたらやるしかないあるよ」
とマゼンダ。
ニコニコしているテミ。
期待の眼差しでブルースを見るリンとティンク。
「乗っかっちゃえあるよ」
「ひと思いにやればいいあるよ」
とジルバとクロウ。
全員にじーっと見つめられると、もう観念せざるを得ない。
ブルースは言った。
「・・・仕方ないあるな。俺も乗っかるね」
・・・だが、皆の反応は薄いものだった。
「なんか、面白くないな!お前ツッコミのほうが向いてるわ」
とブロント。
「右に同じー」
とマゼンダ。
「ブルースさんにボケはむいていないようですね」
とテミ。
「なんか・・・微妙ねぇー」
「だねぇ」
リンとティンクはぼそっとつぶやいた。
「・・・微妙だなクロウ」
「・・・そうあるなジルバ。あまり面白くないある。迷惑料を払ってほしいあるね」
クラスメイトのしらけっぷりに、ブルースは叫んだ。
「なんなんだよこの空気!!なんかすげー恥ずかしい奴みたいになったじゃん俺!」
「おー、やっぱブルースはこうでなくちゃな」
そういうとブロントはブルースの肩をぽんぽんと叩いた。
雑用係が決まらないままチャイムが鳴ってしまったが、
クラスメイトたちの結束はなんとなく強まったようだった。
第一話 えんど。