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Re: ミリオン学園十人十色 ( No.8 )
日時: 2012/04/09 16:59
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

2時間目が終わり休憩時間を迎えた。
だが、1時間目の終わりのそれとはまるっきり違っていた。

「なーなーお前鎧の中どーなってんの?」

ブロントはそう言いながらジルバの兜を外そうとする。

「ちょ、外そうとすんなよお前。ハゲるぞ、俺が」

お前がハゲるのかよ!とブルースはジルバにツッコむ。

「金を払えばジルバの中身を絵に描いてやるぞ?
1回1万円だ」

クロウは右手を差し出す。

「高ぇよ!!つーか中身知ってんの?」

ブルースの言葉にクロウはこくんと頷く。

「お前なんで知ってんだよ!?俺誰にも教えた事ねーよ!」

ジルバはかなりビックリした様子だ。
ブロントが10円じゃだめか?とクロウに10円玉を差し出すと、
クロウはそれを受け取り、髪の色は茶色ちなみに地毛だと答えた。

一方女性陣は何をしているのかと言うと、
リンの席に集まって、地道にドミノを並べていた。

「この机をドミノで埋め尽くすわ」

マゼンダは慎重に慎重にドミノを並べ続ける。
テミとリンとティンクはわくわくしながらそれを見守っている。

「もういいだろ俺の鎧は!そんな不思議でもないだろうが!」

「ダメだ!委員長命令でその兜をすぐに取れ!それか1万円出せ!」

「やなこった!」

その時、教室のドアが勢いよく盛大な音を立てて開いた。
その振動で、カタカタカタとドミノは倒れ、マゼンダは片手にドミノを持ったまま硬直していた。
他の女性陣も口をあんぐり開けたまま動かない。

教室は静まり返り、教室に入ってきた誰かに全員の視線が向けられていた。

「数学担当のオーガーだ!!よろしくな!」

オーガーはそう言うと教卓の上にドシン、と教科書類を置いた。
彼がふと前を見ると、赤い髪の女子生徒から、
ものすごくドス黒いオーラが放たれていた。
それはもう、誰が見ても明らかなものであった。

「お、オイどうしたそこ、なんか怖いぞ」

恐る恐る声をかけてみるオーガー。
だがその一言でマゼンダの怒りの炎に大量の油を注いでしまった。

「私のドミノ、よくも倒してくれたわね!!
私の『机をドミノで満たそう』計画、略してTDM計画が台無しじゃない!
何が数学担当よ!見た目確実に体育担当じゃん!!このハゲ!意味わかんないんだけど!
リンッ!!NKO作戦よ!!」

マゼンダがそう叫ぶと、リンはオーガーの元へダッシュした。
そしてオーガーの体をつかみ、作戦実行!と教室の外へぶん投げた。

「うおおあああーッ!!」

オーガーの悲鳴がした直後に、彼が壁にドン、とぶつかる音がした。
リンは教室のドアをピシャリと閉め、マゼンダに向かってVサインを出した。

「作戦成功だよマゼンダ!」

ティンクがそう言うと彼女は、今は隊長と呼びなさい、と言った。

「ちょ、ヤバいだろコレ!!つーかNKO作戦って何!?」

ブルースは焦る。教師に暴力を働いたのだから当然だ。

「投げて教師を追い出す作戦、略してNKO作戦」

マゼンダの答えに、そのまんまだなとブルースは拍子抜けする。

「つーかこれでこの授業無くなったぜ!」

ひゃっほう、とブロントは嬉しがる。
いや喜んでる場合じゃねーからとブルースは言うが
聞く耳を持たないのであった。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.9 )
日時: 2012/04/09 19:51
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

先生の居なくなった教室というのは実にフリーダムな感じになる。
おとなしく自習をする生徒なんて、このクラスには1人も居なかった。
本来なら委員長が他の先生を呼んでくるべきだが、
残念なことにこのクラスの委員長は自分から率先して騒ぎまくる奴だった。

「俺の紙飛行機マジよく飛ぶんだって!」

そう言いながら紙飛行機を折るブロント。
俺の紙飛行機の方が断然すげーしなめんな、と
それに対抗するジルバ。

「いや、お前委員長だろ!?他の先生呼んでこなくていいのかよ」

真剣な表情で紙飛行機を折るブロントにブルースは言う。

「え?ほら、もうあと45分しか時間無いし、もう授業できないだろ?俺が出る幕じゃないって」

「十分じゃねーか時間!!つーかお前の出る幕だよ!」

ガヤガヤガヤガヤとクラスは私語の嵐に包まれる。
いつの間にかブルースも紙飛行機を量産していた。

他のクラスメイトはというと、空から金が降ってこないかなぁと物思いにふけっていたり、
今日から学園防衛隊結成よ、おー!と謎の組織を結成していたり、自由気ままに過ごしている。
授業時間は残り30分となってしまった。

「コラ、何を騒いでいるんだ!!」

教室が一瞬で静寂に包まれる。
ドアの方を見ると、隣のクラスの先生、ゴブリンが立っていた。

「担当の先生はどうした?あと廊下に倒れているオーガー先生は何なんだ?」

クラス全員が真相を知っている。が、全て話せばめっちゃ怒られるだろう。
誰か、言い訳とかフォローとか得意そうな奴・・・!

ブルース以外の全員が、同じ答えに行き着いた。
アイツだ、ブルースだ。ツッコミ役、および常識人の彼ならきっとやってくれる。
皆はそう思い、ブルースに視線を送る。

・・・なんか、すっごい視線感じるんだけど、と
そのころブルースは思っていた。
え?もしかして俺が言い訳しろってこと?無理無理無理!!

だが、クラスメイトの視線はますます強くなる一方だった。
・・・やんなきゃダメなのか?
ブルースは観念して口を開いた。

Re: ミリオン学園十人十色 ( No.10 )
日時: 2012/04/10 17:18
名前: 77t4 ◆eqNOJ7WetI (ID: acQ6X1OT)

「ええと、僕たちさっき廊下で倒れてるオーガー先生を発見したんですよ。
それで、みんな気が動転してしまって・・・」

「気が動転して紙飛行機を作っていたのか?」

しまった、とブルースは慌てた。
机の上にはさっきまで生産していた紙飛行機が大量に積み重ねられている。
今思えば何でこんなに作ってたんだバカか俺は、と後悔する。
どうする、どうする、と脳をフル回転させるブルース。

「ボトルメールの陸上バージョンです。この紙飛行機にメッセージを書いてその辺に飛ばすんです。
朝のホームルームで僕たちの担任がお前らもやってみろ、と配ってくれたんです」

・・・なんて無理矢理な言い訳なんだ、と皆が思った。
ヤバい絶対バレるよこれ、と言った本人も思った。そして後悔した。

だが、幸運の女神はブルースに微笑んでくれた。

「ああ、そういえばここの担任はキラス先生か。あの人なら確かにやりそうだな。・・・じゃあお前らは何も知らないんだな?」

一同がこくこくとうなずくと、ゴブリンはじゃあ自習して待機してろ、と教室を後にした。

「・・・よかった、バレなかったっぽい」

ブルースは長いため息をついた。

「すげーなお前!途中はひやひやしたけど、うまく誤魔化せたなー!」

ブロントはブルースの肩をバシバシ叩く。

「学園防衛隊の出番は無かったわね」

「残念だね隊長!」

出番が無くて残念そうなマゼンダとティンク。

とりあえず目先の危機からは免れたブロント達であった。

第二話 えんど。