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Re: 暴風警報!のちのち生徒会!!【完結版】 ( No.10 )
日時: 2012/05/25 19:21
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: GHOy3kw9)
参照: 色々色々ごちゃごちゃありまして、更新遅れて申し訳ございません;

——生徒会占拠制度。

その名の通り、生徒会を占拠する為に争うべくして争わなければならない制度のこと。
この学校の校訓である完全自主性を重んじる為に生徒会に入る為、個々の能力を最大限に生かそうというのが表向きの目的である。生徒会は自主性を重んじた者達を取り仕切り、スケジュール等を組み上げ、理想の学校生活を目指すべく努力する義務がある。

「……それで、この制度が何だよ?」

俺が言った言葉を聞くや否や、椿が懇切丁寧に教えてくれた。

「問題はここからです。この生徒会なんですが、ただの生徒会ではありません」
「どういうことだ?」
「先ほどご説明したように、限られたメンバーでしか構成されません。つまり言うと、選挙をして推薦で、となると、結構無理があるんです。人気だけでそれは決まっちゃいますから、能力も必要ってことで……」

何となく分かったような気はしたが、悪い予感だけは拭えない。まだ他にあるだろう、何かに俺は恐れている。
そうだ。先ほど話されたことは"今の所俺には全く関係ない"。ということは、ここからが本番みたいなものだろう。

「ふふ、よく分かってるみたいですね? そうです。ここからが本題ですね♪」
「陽気に言ってくれるが、全然俺は嬉しくないわ……」
「まあまあ、説明しますから、よく聞いててくださいね?」

椿はそう言った後、少し間を空けてから口を開いた。

「能力も必要ということなので、ただ選挙をするだけじゃ決められない。ということで、争わせようということに決定されました」
「思考がどこぞの戦闘民族か! 何で争わせようって考えになっちゃったんだよ!」
「僕に言われても分かりませんけど……その争わせるのは、生徒会の言わずも知れた"5役"と呼ばれる、いわゆる生徒会の重鎮です。会長、副会長、副会長兼雑務、会計、書記……これらがいわゆる5役と呼ばれる役です」

この学校では、この5役を中心とした生徒会が成り立つ方針で、その他の委員それぞれに生徒会が命じた委員長を設け、それで初めて全体的な生徒会とされるわけ……らしい。

「それで……何が言いたい?」
「もう大体分かるでしょ?」

その時、突然夕姫が横槍を入れてきた。この野郎、先ほどまでの存在感の無さでどうして横槍を入れて来やがった。

「存在感あるよ! ずっといたじゃん!」
「何で思ってたことわかったんだよ!」

こほん、と小さく夕姫は咳を鳴らして間を整え、ついでに片方の目を閉じ、人差し指を伸ばしてから口を開いた。

——ちなみに、俺のこれからの高校人生を大きく揺るがす発言だということを、前もって言っておくとしよう。


「奏は副会長兼雑務候補として、私達のメンバーに入ってもらうよ!」


少しの間、理解しかねて、俺は黙りこくった。
うーんと、待てよ? 色々と考えたいことがあるんだが、とにかく、こいつは今何と言った?

「副会長兼雑務候補?」
「うん、そうだよ」
「……いや、待ってくれ。何を言っているのか、俺には理解が……」
「何の為にさっき説明したんですか……僕と桜月さんが言った通りの流れで、こういうことになったわけです♪」
「そんなルンルンな感じで言われても困るわ! 第一、そんなものを入ろうとは思わないし、目指そうとも思わない! 俺は静かに暮らせればそれで……」

と、自分の意思を告げるが、夕姫はそれを鼻で笑い飛ばした。なんだこいつ——非常にムカつく!

「残念ながら、奏に拒否権はまるで無いよ」
「どういうことだ。まさか、既に人ではないからとか言うつもりか? だから人として当たり前の権限が無いとでも——」
「先に言われちゃった……」
「って、言うつもりだったのかよ! やめろよ! そんなことないよ! ちゃんと人だよ!」

隣でまあまあ、と椿が場を取り持ち、再び話を再開する。

「拒否権が無いって言うのは、まあ簡単に説明するよ?」
「あぁ、そうしてくれ。出来るだけ分かりやすくな」
「えっと、奏は元々この高校には来れなかったんだよ」
「……は?」
「つまり、この高校の受験失敗して、本当は入学できていなかったってこと」
「……いやいや、え? じゃあ何で俺はここにいるんだよ?」
「それが問題なのよ。ぶっちゃけちゃうと、私のおかげでもあっちゃうわけなのだよ! ふふふん」
「ふふふん、じゃねぇよ! お前個人でそんなことできるわけが——」

と、そこで思い出したことがある。
そういえば、夕姫の一家のことだ。こいつの家って、確か……桜月グループとかいう、大金持ちだったような……。
もし本当にそうだったとしたならば、俺を一学校に入れることなんてたやすいはず。

「まさか、金とかで……?」
「んなわけないじゃない。ていうか、何でお金払ってまで入れないといけないのよ」
「ぐ……! ごもっともすぎて反論ができん……!」
「条件は勿論あるよ」
「条件……?」

あぁ、何かさ? これだから俺の人生は不幸だって言うんだよね。
こう、なんていうか、予感がすんのよ。

絶対、これはヤバいっていう、予感が。

「生徒会副会長兼雑務にならないと退学処分っていうのが条件で、後は私のチームに入るっていうのも条件で、入学OKってことに……」
「ならないでくれよっ!? 何でそれでOK下しちゃうんだよ! ていうか……それって、もうほとんど強制じゃねぇか!」
「だから言ったじゃん。拒否権ないよーって」
「そ、それなら他の学校に行った方が——」
「色々手続き面倒だし、ここらへんの学校で今から編入するのは無理だよ。少なくとも、一年はここにいないと」
「は、はぁっ!? 一年もっ!?」

何てこった……全力で俺は後悔をした。いや、後悔なんてもんじゃない。もう絶望したね。何がどうなってるのか、さっぱり分からないほどに、某ゲームのゲームオーバーみたいに、目の前が真っ暗になったっていうのはまさにこれ。まさにこれと同じ状態だよ、畜生めが。

「……私のチームって、どういうことだ?」

そういえば、先ほど夕姫が言っていたことを、俺は尻餅をつきながら聞いた。
私のチームっていうのは、つまりどういうことなのかを。

「単純に言うと、生徒会を目指すグループみたいなものよ。部活とか、サークルなどでのグループで生徒会を目指す集団もいれば、個人でもいる。生徒会を目指す専用のグループもこの学校にはあるわけで……」

すたすたと、夕姫は俺の目の前を遮り、そのすぐ隣にあった布で隠されてあるホワイトボードの布を剥ぎ取った。
ばさっ、と布は音を鳴らして地面に落ちるのを見送ると、目の前のホワイトボードには大きな文字でこう書かれていた。


"暴風警報!!"と。


「私達のチーム名、暴風警報に入り、そして後々、生徒会になるのよ!」

夕姫は胸を張って自信満々に答える中、俺はその様子を口を開けて見つめるばかりだった。



これが、俺の仮生徒会に入ることになった理由である。


——END。って、まだ続くよ!?