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Re: 暴風警報!のちのち生徒会!!【完結版】 ( No.3 )
日時: 2012/04/22 14:51
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: GHOy3kw9)

ヒーロー、という言葉は聞き捨てならない気がした。

それは、自分にとって一番当てはまらない気がするものだったから。
ヒーローになる側というより、ヒーローを求める側だったから。
そんな二つのどちらの理由でもなく、何の縁も所縁もない言葉だったから。

いくら考えたとして、答えは見つかるわけもない。誰がどうなろうと思うかなんて、凄く簡単なことで。それを実現するかどうかが、非常に残念愉快でまた来週考え直そうぜって話だった。

まあそんな考えを持つ俺なわけだけど、何でこんな考えを持つに至ったか、少しばかり話してみようじゃないか。

自分の運命的なものに気付いたのは本当に昔のことだった。
よく遊ぶ幼馴染がいて、その幼馴染と毎日を共に遊んでいた記憶がある。その子は女の子で、とても泣き虫だった。
当時の俺はそこまで不幸少年ですって感じでもなく、いわば普通に、強気な男の子だったわけで、毎度の如く幼馴染を泣かせる原因を取っ払う役目を担っていたわけだ。
それはそれで楽しい毎日だった。毎度のように小さなことでも泣く、泣き虫の幼馴染の傍にいて、一緒に遊んで、まあそれなりにエンジョイだったさ。
しかし、それも終わりが訪れる。

「……引越し?」

耳を疑った。ずっと一緒に暮らしてきたとも言える幼馴染の女の子が俺の目の前からいなくなるのだから。目の前が真っ暗になった、というのはこういうことを言うのだろうか。本当に、何だか先が見えない闇に放り込まれたかのような、順風満帆だったこの生活が音を立てて崩れ去っていった。

……まあ、そんなわけで。そこから俺には度重なる不運が待ち望んでいた。
小学校といい、中学校といい、俺は不幸であいつは幸せ、みたいな。そんな人生の幕開けのようにも思えた。

あぁ、不幸だ不幸だって思うからダメなんだと。そう思い直して駆け出してみれば、上空から鳥のフン。地面からは犬のフン。なるほど、神様は俺に喧嘩を売っているんだ、と思ったほどだった。

いざこざいざこざがあって、何とか俺も高校生。一応高校には進学できた俺だが、今日から高校の寮暮らしとなるハメとなった。
俺の通うことになった高校は、元いた俺の家からは随分遠くにある。地元の高校を選びたくなかったのは、小学校中学校と同じ顔馴染みが傍にいるのが気に入らなかったからだ。それは度重なる俺の悪運によって生み出された邪心みたいなものだと思う。
というか、家庭状況的に、両親は単身赴任とか何とかでどっか高飛びしているわけで、両親の母方のお姉さんが妹と喫茶店を切り盛りしている。俺も手伝えよ! という話なんだが、母方のお姉さんから

「あぁ、飯代浮くし、お前がいたら皿とか何やら割れたりするから。うん、行ってくれた方がいいわ」

こういう仕打ちが返ってきた。



そんなわけで、俺は今日から高校一年となるわけで。最初の入学式……には、残念ながら出れなかった。その前に何とかしとけよって話なわけだが、寮手続きが少し遅れてしまって、というか俺が原因じゃない。運悪く、そういうことになってしまったんだ。こういうことにも不運は現れるのか、俺は。
ちなみに、寮といっても学校の敷地内にはない。少し離れたところには別に作ってあるらしい。

今日、初めてその寮に行くわけだが……何も起こらないように願うばかりだ。
そんなことを思いつつ、眠気が俺を襲い、揺られる電車の中で眼を閉じた。



——これから起こる、この波乱万丈っぽい学校生活が送られてしまうなんてこと、俺には全く想像出来ませんでした。