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- Re: 暴風警報!のちのち生徒会!!【完結版】 ( No.7 )
- 日時: 2012/05/06 20:55
- 名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: GHOy3kw9)
「後半、あまりに適当な回想すぎて、こちら側もビックリだわ」
「いや、何か回想するのも飽きたんで……」
生徒会に入れ、といわれてから何分経っただろうか。いまだにこうした臨戦態勢の状態が解けずにいる。
俺的に、何でこんなところにいるのかもわけが分からないし、さっさと帰って影薄く学校生活をそれなりに過ごせたらいいな、あはは。ぐらいにしか思ってないわけで……
それを何だ? 生徒会? おいおい、冗談は俺のこれまでの人生だけにしてくれよ。
「何度も言ったが、生徒会には入らない! ていうか、何者だよ! 何で俺はパンツ一丁で手足縛られた状態なんだよ! 放置プレイか! 何なんだこのプレイの名前は! えぇ、このプレイ魔が! どういうプレイが好みだ畜生! このプレ——」
「うるっさいわぁぁっ!! プレイプレイって、人をそんな数あるプレイをやってきた猛者みたいなキャラ位置にしたてあげないでくれないかな!?」
目の前の少女は、髪に結ばせてある鈴をチリンチリン、と鳴らして怒鳴った。それから腕を組み、多少先ほどより不機嫌な顔をしつつ、ふっと鼻で笑った。
「まあいいわ。じゃあ簡潔に、大胆に説明してあげる!」
「簡潔なのに大胆っていうのがどんなものかさっぱり分からんけど、説明はしてくれ」
俺の言葉に順応するが如く、大きく胸を張っていつの間にかあったダンボールみたいな箱の上へと右足を置き、スカートが少したくし上げられてちょっと見えるんじゃないか、と思いつつ中に勿論スパッツを穿いていてガッカリしたことはさておき——少女は俺へと指を差していった。
「私の顔、覚えてないわけ?」
「……は?」
突然何を言い出すんだ、と思いながら俺は少女の綺麗に整い、誰がどう見ても童顔だろうと言わざるを得ないその顔をじっと見つめた。
確かに、どこかで見たことある気がする。というか、凄く懐かしいような……いや、もしかして?
「あー……」
「……何?」
「いや……名前、教えてくれるか?」
「思い出して当てなさいよ」
そう言われて、またぼやけている残酷な思い出ばかりの中に見つける、まるで楽園のような記憶。それを探り出して見つけた時には、俺は既に驚きを隠せずにはいられなかった。
「ま、まさか……! お前……!」
唾が詰まりそうになる。慌ててその唾をゴクリと喉へと通しきり、なんとか声を出す。指が自然に少女の——いや、幼馴染の顔へと向いていた。
「桜月 夕姫!?(さくらづき ゆうひ)」
そう、その名前は俺が勝手に残念な記憶の中でも最高の思い出だったと認識している幼少時代の頃。突然引っ越してしまったあの泣き虫の幼馴染が、目の前にいた。
そういえばそうだった。こいつの顔、よく見るとあの幼少時代のあの顔から——あんま変わってない? 少し大人になって、体の感じがふっくらと成長した感じ? まあ何にせよ、もう会えないだろうと思っていた幼少時代オンリーの幼馴染が今目の前にいるのであった。
「今頃気付いたの? まあ、涎垂らしながら回想してたから気付く暇もなかったのかもしれないけど」
「垂らしてない垂らしてない! 嘘を混ぜるな!」
ふふふん、と何故か得意げな笑みを見せる夕姫は、何か懐かしくも、違う感じがした。
昔はもっと泣き虫で、気弱な性格だったはず。こうしてダンボールの箱の上に片足を乗せて、胸を張って人に指を差して……なんて行動は取れなかったはずだ。
やっぱり、変わってしまうものなんだな、とどこか寂しく思えた。俺としては、綺麗な、純粋な記憶としてとって置きたかったからだった。
あんな楽しい思い出はもう二度とないだろうと過ごしてきた過去の人生。俺は今高校一年生として、その幼馴染と対面することになろうなどとは、想像出来るはずもなかった。
「引っ越した所って、この地域だったのか……?」
「まあ、そうね。でも、来るのは分かってたよ、この学校に」
「どういうことだ……?」
俺がこの学校に来ることを分かっていた? そんなテレビに出ているマジシャンみたいなことを言われても困る。そんなの分かるわけがないし、そもそも俺自身、行き当たりばったりな感じでここを選んだから、そんなはずは——
「行き当たりばったりな感じでここを選んだから、そんなはずはない……なんて思ってるんでしょ?」
「な、何で分かったんだよっ」
「ごくごく単純で、君みたいな残念おつむしてたら誰でも分かるよ」
「残念おつむで悪かったですねぇっ!? ……あのな、それより、何でお前がここにいるかっていうのはおいといて、どうして——」
「生徒会やら何やら言ってんのって言いたいんでしょ? さすがスーパー残念おつむ、話が単純で助かる」
「やかましいわ!」
夕姫は散々人の神経を逆撫でした後、ゆっくりと俺の周りを回ってから口を開いた。
「それじゃあまあ、ここから先は色々面倒な話も多いってわけで……椿君にこっからバトンタッチー」
「へ? 椿?」
夕姫が言った傍から、どこから現れたのか椿が俺の目の前に出てきた。勿論、ニッコリとした表情はいつでも崩していない。
「それじゃあ、説明しますね♪」
「いや、その前に俺のこの状態をどうにしかしてくれ。逃げ出したりしないから」
「ふむ。残念ですね〜……その姿、お似合いですよ?」
「パンツ一丁の姿が!? 全く嬉しくない褒め言葉とはこのことだよ!」
「褒めてもないですしね」
「見事な辛口ッ!」
こんな会話を繰り広げ、数分後。俺はとりあえず縄を解かれ、制服を着る。生徒会に入らないと解かない、とか言っていたけど……ドアとか千錠されているみたいで、帰ろうにも帰れなくなってやがる、畜生。
「それでは、説明しますね。——この学校の仕組み、生徒会占拠制度のことについて」
「生徒会占拠制度……?」
嫌な予感しかしなかったのは歴戦の勘というものなのか。