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Re: ☆CLOVER☆ ( No.12 )
日時: 2012/05/04 11:03
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)

○o。. 八話 ぶいえすアップルパイ .。o○

「えー、アップルパイ作りは、四人の班で分かれて、一つのパイを作ります。下手だからって、負けという訳ではありませんので、皆さん頑張りましょう!」

 先生の指示に、あたし達のグループと、メランのグループ以外の人がはーい、と返事をする。

 さあ、いよいよアップルパイ作り!

「では皆さん、班を四人決めてください」

 家庭科の先生、ファザー先生が言った。

「先生、皆決めました」
「そうですか」

 エルザの返事に、先生が答える。決めるの、早いね。

「では、一班に一つずつ小麦粉を渡します。電子レンジは、魔法を使うので入りません」

 へー! 魔法使っていいんだ!
 何だか、面白そう!

「ワクワクするね、リリー!」

 隣にいたミリアちゃんが、こっちを向いて、ニコニコ言う。
 あたしは、うんと言おうとしたが、また何者かに遮られた。

「あら、あなた達はあたし達に負ける運命にあるのよ?」

 げ、またメラン!
 全く! せっかくの調理実習ぐらい楽しもうよ・・・・・・。

「へー、そんなに自信あるんだ?」

 ミリアちゃんも! 先生に怒られちゃうよ!
 そんなことを思っている内に、前のリンネちゃんからアップルパイのレシピが配られてきた。

 その中には、こんなことが書いてあった。

『アップルパイなのでリンゴはもちろん、家庭科室にある他の食材を使っても構いません』

 先生のいる大きな調理台の上を見ると、籠の中にバナナ・チェリー・オレンジという、様々な果物が置いてあった。

「では、アップルパイ作り、初めっ!」

 ファザー先生が、何かの試合を始めるように言う。

「ねーねーリリー。ぼく、シーラカンス使いたいな!」

 斜め前にいたシフォンちゃんが、こんなことを言った。

「シーラカンス・・・・・・何それ?」
「え〜? リリー、そんなことも知らないのぉ!?」

 あ〜あ、なんかフェアリー学園に来てから、世間知らず呼ばわりされてる・・・・・・。

「シーラカンスって言うのは、生きた化石って呼ばれてる魚の一つなんだよ!」
「ふ〜〜ん・・・・・・」

 とりあえず、凄くてグロいってことだよね。

「お〜い、二人とも! 食材の話は良いけど、先にスポンジ作りだよ!」

 あ、はいはい。ミリアちゃん。

「ボール持ってきたわよ! 誰が作るの・・・・・・?」
「一人でやったら疲れるから、四人で少しずつやろうよ!」

 ミリアちゃんの案に、皆が賛成した。

「最初は、一番疲れやすそうなリリーからね!」
「それ、どういうこと〜?」

 あたし達の漫才みたいな発言に、リンネちゃんとシフォンちゃんがクスクスと笑った。
 ま、さっさと終わらせちゃお!

「・・・・・・出来た!」

 よーし、料理は得意だもんね♪

「早っ!」

 リンネちゃんが、以外そうにこちらを見た。

「次は、クリームを塗るんだよ! ぼくがやるー!」

 し、シフォンちゃん! そんなにやる気あんの?

 数分後、シフォンちゃんのクリームの出来栄えを見ると、そこらの下手なケーキ屋さんよりも上手に仕上がっていた。

「クリーム塗るの、だ〜いすきなんだ!」

 シフォンちゃんは、クリームを鼻に着けて無邪気に笑った。

 ふと隣の班------メランの班を横目で見ると、もう完成間近になっていた。しかも、クリームの盛り付け方も、フルーツの種類もほとんど完璧と言っていいほど、整っている。

「皆、もう少しスピードアップしよう!」
「え、あぁ、うん」

 対決するのは完成したパイだけど、やっぱり最初から勝ってみたかった。
 魔法で温めた後、中にいれる食材を話し合う。

「やっぱ、王道のマグロ!」
「シーラカンスって言ったじゃん!」
「そんなの絶対まずいって! ボクのフェアリーが好きなキノコでしょ!」

 と皆から、様々な意見が出される。

「リリーは、どうなの?」

 リンネちゃんが、こちらを見てうかがう。

「あたしはなんでも・・・・・・」

 あたしは、曖昧に笑いながらこう言った。

「じゃ、マグロで決まり!」

 リンネちゃんが弾けたような笑顔で、こう言う。

「しょうがないなあ。今回は特別にマグロにして良いよ」
「マグロも一応、魚類だしね!」

 えええええええええ!?
 ・・・・・・もうなんでも良くなってきた。

「じゃあリリー、あそこからマグロ取ってきて!」

 ミリアちゃんが、先生のいる調理台を指差して言った。

「はーい」

 マグロを入れた後、あたしはメラン達がいない間に少しメランパイを、味見をしてみた。

「な、何これっ! まず!」

 あたしはスプーンを放り投げて、ゴホゴホとむせた。
 生臭いし、パイじゃないし、リンゴ入ってないし、あり得ない!

 食材として高級なパイナップルやマンゴーを使ってるから見た目もきれいだし、クリームの盛り付け方も綺麗だよ。
 だけど、まずい・・・・・・。
 そんなあたしの心情に比べてメラン達は、

「あたし達の班、絶対あっちに勝つわよね!」

 とか言ってるし。

数分後-------

 皆が、家庭科室からアップルパイを持って出て行ったころ。
 あたし達の班と、メランの班だけが残った。

「あら、まだいたの? 早く帰りなさい」

 ファザー先生が、驚いたようにこっちを向いて言った。

「あの、先生に用事があるんです!」

 ミリアちゃんが、代表して言う。

「ボク達、対決して作ったんだけど・・・・・・どっちが上手く出来てるか、見て欲しいんです!」

 そう言って、マグロが入った見た目がグロいパイを、先生に渡す。

「あたし達のも!」

 メランも、同じようにパイを渡す。

「良く分からないけど・・・・・・とりあえず、どちらがおいしいか言えばいいのね?」
「はい!」

 そう言いながらも、ファザー先生はマグロが入ったパイを見て、少し怪訝そうな顔をする。

 先生はあたし達が作ったパイを口に運んだ。

「おいしい!」

 え・・・・・・?
 先生、今何て言った?

 メランもあたし達も、ポカンとした顔をした。

「おいしいわ! 見た目に関わらずに!」

 先生は、こっちを見て笑顔を浮かべる。

「見た目はちょっと・・・・・・アレだけど、味がしっかりしていて、とってもおいしい!」

 そう言って、次にメラン達のパイを口に運んだ。
 噛んでから間もなく、コホコホとむせる。

「あ、あの・・・・・・ちょっと言いにくいんだけど、まずいわ」

 あらら、『まずい』という言葉がメランにストライク。
 石化しました。

「ということで、今回はあなた達の班がゆーしょー♪」

 そう言って、あたしの頭にポン、と手を乗せた。

「じゃーね♪」

 と言って、ニッコリしながら奥の部屋へと向かった。
 その数秒後。メランが、鬼のような形相で「絶対に許さないんだから!」と言い、女子を引き連れて戻って行った。

 あーあ、決着付けるどころか、ますます仲悪くなっちゃったよ・・・・・・



今回は、書き過ぎましたw
いつもより千百文字多いです←