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Re: ☆CLOVER☆ ( No.20 )
日時: 2012/05/10 15:54
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)

○o。. 十二話 妖精じゃなくて要請ですか? .。o○

「きゅうん・・・・・・」

 ナップザックの中から、ひょこっともっふーが顔を出すのを感じられた。

「どうしたの、もっふー?」

 あたしがこう聞き返しても、もっふーは何も答えない。
 どうしたんだろう・・・・・・。

 ポン。

 少し間をおいて、肩に軽い衝撃が掛かった。また、誰かに肩を叩かれた・・・・・・? だけど振り返ってみても、誰もいない。やっぱり、気のせいかな?

「あ、すごーい!」

 いつの間にかミリアちゃんが、遠くで紫のキノコを見て明るい声をあげた。
 その瞬間、そのキノコのかさ?が、ぶわっと広がった。

「わー!」

 ミリアちゃんは、髪を逆立ててこちらに全力疾走をする。そして、「あーびっくりした・・・・・・」と小さな声で呟いた。
 もう一度その紫キノコを見てみると、もうかさは元通りになっている。
 あんな一瞬で、どうしちゃったんだろう・・・・・・。
 少しの間、あたしとミリアちゃんは無言で顔を見合っていた。
 その瞬間、肩がまた叩かれる。
 あたしは、その瞬間に後ろを見た。そこには・・・・・・、

「あ、見つかっちゃった☆」

とふざけて舌を出す、緑の葉っぱの服を着た妖精っぽいものがふわふわと宙に浮かんで、あたしの肩をキックする体制で固まっていた。

「・・・・・・あなた、誰?」

 その子は、良く見てみると、耳や目がつりあがっていて、草原にいたのとは違う破れかけた羽根を持っている。
 あっけにとられているあたしに、ミリアちゃんが記憶を探るようなしぐさをして、こういった。

「なるべくその妖精に近づかない方がいいよ」
「え、どうして?」
「う〜んその子は、さっきのキノコが爆発すると生まれてね、そのキノコは毒キノコで、妖精に四回触られると死んじゃうって、キノコ図鑑で読んだ」

 え・・・・・・とあたしは声に出す余裕もなく、その場をさっと離れる。
 ミリアちゃん、そういうことは、先に言ってよ!

「とりあえず、ここは出た方がいいね・・・・・・」

 ミリアちゃんが、少し震えた声でこういうと、毎度のように、あたしの腕をつかんで元の道に戻ろうとした。
 一瞬、視界の片隅で妖精の口元がニヤッと歪んだのが見えたような気が・・・・・・。

「リリー、どうしよう・・・・・・」

 ミリアちゃんの声に我に返ると、目の前には、さっきの妖精が何百匹も、獲物を追い詰めたトラのような表情で、こっちをジロジロ見ていた。
 リュックの中で、もっふーが「ウーウー」と、低い声で唸っているのが聞こえる。

(誰か、助けて・・・・・・!)

 あたしが目をぎゅっと瞑った瞬間、瞼の中で青い光があるのを感じた。
 あたしはそろそろと目を開ける。
 目の前で、妖精達がポカンとした顔であたしの胸元を見つめている。仲には、ギロッと睨んでいる者さえいた。
 あたしが胸元に目を落とすと、お母さんがくれたペンダントが、淡い光を放っている。
 その光が、急に強くなった。
 反射的に、目を瞑る。

「あれ、リリー・・・・・・」

 ミリアちゃんの声が聞こえた。
 あたしがそろそろと目を開けると、そこには、緑の草原が広がっていた。

「ここは、フェアリー草原・・・・・・?」

 遠くからファザー先生が、「皆、しゅうごー!」と言う小さな声が聞こえる。
 何が何だか分かんないけど・・・・・・。
 あたしとミリアちゃんは顔を見合わせて同時に、

「行こう!」

 と明るい声で言った。