コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆CLOVER☆ ( No.4 )
- 日時: 2012/04/28 22:38
- 名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)
○o。. 四話 フェアリーはいろいろ .。o○
そう言って、エルザが見せたものとは・・・・・・。
「・・・・・・妖怪?」
三匹の、個性的な形をした・・・・・・フェアリー。三匹とも、体調が合うような網目の箱の中に入っていた。
「きゅー?」
一匹目は、つぶらな瞳に薄ピンクの可愛らしい尾羽。どうやら、鳥の妖精のようだ。こちらを見ると、首をかしげた。
「るっちゃ! ・・・・・・るきゅー」
二匹目は目つきが悪い、緑のネズミ。籠の中で、ちょこちょこと動きまわった末、疲れて寝てしまった。
さあ、いよいよ三匹目・・・・・・と思い、小さめの箱の中をのぞいたら、何もいなかった・・・・・・いや、いないように見えた。
フェアリーは小さく、箱の隅っこに丸まっていた。小刻みに、プルプルと震えている。丸まっているので、茶色の毛以外には、何も分からない。
「校長先生、この子・・・・・・」
あたしは三匹目のフェアリーを指差した。
「ああ、この子・・・・・・この子にしない方が良いですよ。このフェアリーは、人に会うとすぐに動揺して、慣れるのには時間がかかります。大抵の人はこの子を選ばなかったんですよ。それに、この子が近くにいると、ときどき私の腰が痛くなります」
「・・・・・・そうなんですか」
・・・・・・それはフェアリーのせいじゃないんじゃ。
あたしはもう一度、子羊のように丸まっているフェアリーを見た。すると、フェアリーの方も恐る恐るあたしの方を見る。・・・・・・子犬のフェアリーなのかな。
・・・・・・可愛い。
一匹目のフェアリーのような丸い目。二匹目のフェアリーのような無邪気な顔。
あたしはこの子に、一目ぼれしてしまった。
もう一度、あたしは一匹目、二匹目のフェアリーをちら見する。
二匹とも、可愛いけど・・・・・・
あたしは、哀れな容姿に、ビビッときた。
「校長先生、やっぱりあたし、この子にします!」
「そうですか・・・・・・? 本当に?」
「はい、可愛いんです!」
そう言って、三匹目のフェアリーを拾い上げた。ファリーは顔を近づけて、興味深そうに(でも警戒して)あたしの顔を覗き込むと、驚いたように顔をそらした。
「まあ、これは私が口出しすることではありません。では、リリーさん、このフェアリーに名前を付けてください。男の子ですよ」
「はい、う〜ん・・・・・・」
あたしは少しの間、フェアリーの体を見続けて、「決めた!」と叫んだ。
「あたし、決めました! 『もっふー』です!」
「・・・・・・変わった名前ですね」
すると書記のエルザはカリカリと、手元の手帳に何かを書いた。
エルザがシャーペンを持った隙に表紙を覗き込むと、銀色の文字で『生徒手帳』と書かれていた。
「はい、これで用事は済みました。地図を渡しておきます。これを見ながら、「リリー・ミクル」と書きこんである部屋へ行ってください。それが、君が今日から世話になる寮です」
「はい」
・・・・・・この学校って、寮なんてあるんだ。
あたしは校長先生から受け取った、薄い本を見て場所を確認し、パラパラとめくった。
「フェアリーは、後から君の部屋へ送っておきます。待っていてください」
「ありがとうございます」
あたしは礼を言い、校長室を後にした。
・・・・・・もっふー、よろしくね!!