コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ☆CLOVER☆ ( No.46 )
日時: 2012/05/24 17:42
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)

○o。. 十九話 ペンダントの謎 .。o○

 あたしはわき目もふらずにその場から走り出した。
 ゆっくりと、ペンダントのことを考えたかったんだ。

「ちょ、ちょっとリリー!?」

 リンネちゃん達の声も無視して・・・・・・。
 寮のドアに着いた時、あたしはゼイゼイと肩で息をした。
 もう、自分の部屋に戻ろう・・・・・・。
 今日は学校、休みだし。
 あたしは、ドアを引いて自分の部屋へとゆっくり歩いて行った。
 ごそごそと、いつもの私服へ着替える(休日は私服ok)

「リリー!」
「!?」

 思いがけない声に、あたしは反射的に振り向いた。

「・・・・・・ミリアちゃん」
「リリー、校長先生が、お話あるんだって!」

 お話・・・・・・?
 てか、ミリアちゃん、全然怒っていないように見える。

「あ、校長先生の部屋って、久しぶりに来たかもー! リリーを初日に送ったっきり!」

 校長室の前まで来ると、ミリアちゃんは額に手を当てて、こう言った。
 金色の『校長室☆』の文字に、豪華な扉。
 ちっとも変ってないな。
 そう思っているあたしをよそに、ミリアちゃんは、コンコンと扉をノックして、「失礼しまーす」と明るい声で言った。
 すると、「あ、オッケーっす!」と、誰かのチャラそうな声がする。
 ギギーッ・・・・・・。

「校長! リリーちゃん、来たみたいっすよ!」

 そう言ったのは、後頭部に手を当て、ニヤニヤとこっちを見ている短髪の男子生徒。
 背の高さからして、三年生ぐらいかな?

「あれ? ミリアちゃんじゃん! ラミア、元気か?」
「あれ? ライトお兄ちゃんじゃん! 元気だった?」

 二人とも、ほとんど同じタイミングでこう言った。
 仲、よさそうだね・・・・・・。

「あは! ハモった。お姉ちゃんは、バリバリ元気なんだよー!」
「・・・・・・ミリアちゃんも、大変そうだね・・・・・・」

 大笑いするミリアちゃんに、背の高い男子生徒は、苦笑いしながらこう言った。
 その時、コホンという大きな咳払いが二人の会話を遮った。
 その方向を見ると、でっぷりとした体格の校長先生が、杖をつきながらこっちをじーっとみている。

「・・・・・・会話は、そのくらいに抑えておいてください」

 髭をさすりながら、校長先生は静かに言う。
 言い終わった後、校長はあたしの方を向いて、口を開いた。

「リリー・ミクルさん。貴方は、『呪いのペンダント』を持っているのですか?」

 その瞬間、あたしはグラッと視界が歪んだ。
 ど、どうして・・・・・・。ミリアちゃんしか、知らないはずなのに・・・・・・。

「ついさっき、貴方の同級生のメラン・リジーヌさんが報告に来て下さいました。持っていますね?」
「あ、あの・・・・・・?」

 メラン、あたし達のあの会話聞いてたんだ・・・・・・。
 だけど、今は怒ることすら考えられない。
 あのペンダントが没収されるなんて・・・・・・。
 大好きな、お母さんがくれた・・・・・・。
 「私が持っています」なんて、言えるわけがない。

「持ってませ・・・・・・」

 嘘をつく覚悟を決めたあたしが、「持っていません」と言い終わらないうちに、ドタドタと廊下を走る音がした。
 あまりにもうるさかったので、その場にいた皆が振り向いた瞬間、校長室の扉がバタンと乱暴にあく。

「あの、校長先生・・・・・・!」

 肩で息をしながら入ってきたのは、茶色のショートの髪を後ろで一つに結んだ女の子。

「おや、サトミさん。今は、少し静かに・・・・・・」
「その話に関係することなんです!」

 大人しそうな顔の割に、大きな声を出すと、サトミと呼ばれた女の子は、手を胸の前に差し出した。
 その手のひらの中に入っていたのは、あたしが持っているのとそっくりな形をした、小さなペンダント。

「これって・・・・・・」

 男子生徒が驚いた声を出すと、校長先生は「呪いのペンダントのようですね・・・・・・」と小さくつぶやいた。
 サトミちゃんは、あたしの方に体を向けると、

「リリー・ミクルさん、ごめんなさいっ!」

 すばやく上半身を下に向けてこう言った。
 えっと・・・・・・。
 何のこと?

「サトミ・・・・・・ちゃん。何かあったんですか?」

 不思議に思ったあたしは、サトミちゃんにこう聞いてみた。

「はい。呪いのペンダントは、実はリリーさんが持っているものではなく・・・・・・私が持っているものなんです」

 半泣きになりながら、小さな声でこう言った。

「これ、商店街の小さな骨董品屋さんで見つけたんです。商品名も見ずに・・・・・・。あまりにも綺麗だったんで。不思議な力が、私を呼び寄せているような気がしたんです」

 サトミちゃんは、顔を下に向けて、小さくこういう。

「だけど、それが呪いのペンダントだったんです。そのあともう一度骨董品屋さんに行こうと思ったら、もうなくて・・・・・・。少し怪しいな、と思いながらも綺麗だったんでそのままずっと持ってたんです。本当に、ごめんなさい!」

 サトミちゃんは、何回も何回もぺこぺことお辞儀をしながら、部屋を出て行った。
 しばらくの沈黙。

「・・・・・・見つかったみたいで、良かったですね」

 男子生徒が、おずおずと口を開いた。

「はい、でも・・・・・・」
「でも?」

 あたしがこういうと、皆が反応してあたしの方を見る。
 ・・・・・・やっぱり、言わなきゃよかった。

「・・・・・・なんでもないです」

 皆にこれ以上心配は掛けたくない。
 あたしは、胸のペンダントを見ながら、心の中でこうつぶやいた。
 それなら・・・・・・。

---------このペンダントは、一体何なんだろう?