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Re: ☆CLOVER☆ ( No.47 )
日時: 2012/05/26 14:48
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)

○o。. 二十話 ふぇありー反抗期 .。o○

 次の日の夜。何処であたしの部屋を知ったのか、サトミちゃんが部屋を訪ねてきた。

「リリーちゃん。突然押し掛けてきてごめんね。あのね、今日はリリーちゃんに相談があるの」

 サトミちゃんはそういうと、ポケットの中をゴソゴソと探って、何か小さい動物みたいなものを取り出した。
 ・・・・・・ポケットの中にフェアリーって、凄いね。

「この子ね、私のフェアリーでグルトって言うの。・・・・・・それで、相談ってこの子のことなんだけど・・・・・・」

 そのフェアリーは、ハムスターが少し大きくなったようなので、ツンとすましている。
 なんか、いつか見たチェインちゃんみたい・・・・・・。

「この子、少し反抗期みたいで・・・・・・私のいうこと、全然聞いてくれないの。・・・・・・どうかしてくれないかな? リリーちゃん」

 そ、そんなこと言われても・・・・・・。
 あたしは、まじまじとグルトちゃん(かな)を見た。
 良く見てみると、サトミちゃんの髪の色と同じ茶色の瞳に、つやつやした毛。綺麗な子だね。
 おまけに、首周りにはピンクのレースがついた、可愛い首輪をしているし。
 女の子らしくて・・・・・・。

「良いでしょ? この首輪。すっごく高くて、あまり手に入らないものなの。私、思わず一目ぼれしちゃって・・・・・・」

 へえ。
 その時、一瞬グルトちゃんが寂しそうな顔をしたのが見えたけど、あたしは大して気に留めなかった。

「う〜ん・・・・・・。本当に反抗期なのかな・・・・・・」
「え? リリーちゃん、今なんか言った?」

 ほえ?
 あたし、なんか知らないうちに何か言ってた?

「あたし、良くわかんないんだけど、このペンダントを意識しちゃってから、何となく様子がヘンなんだよね・・・・・・」
「え〜?」

 だって、今日も得意科目の体育さえ、リレーで二回もこけちゃったし・・・・・・。
 あたしが考え事にふけっていると、ふとサトミちゃんが口を開いた。

「・・・・・・大丈夫? やっぱり、私お邪魔しちゃったかな?」
「え?」

 サトミちゃんは心配そうな顔で、あたしのことを見ていた。
 あたしったら・・・・・・。
 友達にまで心配掛けちゃったら、最悪じゃん!
 あたしは小さく首を振った。

「サトミちゃんのせいじゃないよ。・・・・・・ところで、グルトちゃんが様子おかしくなったのって、いつから?」
「え〜っと・・・・・・一週間前ぐらいからかな。ちょうどこの首輪をグルトにつけたあたりから」

 サトミちゃんは顎に手を当てて、考え事をするように言った。
 首輪・・・・・・。この首輪は、とっても可愛いけど、逆に考えて・・・・・・。
 もし、可愛いものにあまり興味がないのだったら?
 あたしは、グルトちゃんの頭をゆっくりなでているサトミちゃんに、「グルトちゃんって女の子?」と聞いてみた。

「ううん、違うよ。こう見えても、男の子なの」

 サトミちゃんは、首を横に振りながらこう言った。
 あたしは、首周りに巻かれていたリボンを、シュルシュルとほどいた。

「どうしたの、リリーちゃん」
「・・・・・・ほら、元気になった!」

 そういうあたし達の前には、ピョンピョンとベッドの上に転げまわって、楽しそうにもっふーと遊んでいるグルトがいた。

「グルト! 元気になってよかった!」

 サトミちゃんまで元気になって、子犬のように無邪気な笑顔でフェアリーを見ている。

「・・・・・・だけどリリーちゃん。どうして理由が分かったの?」
「あのね、グルトは・・・・・・あんまり、この首輪を気に入ってなかったみたいなの」
「え!?」

 サトミちゃんは、不意をつかれたように驚いた顔をしている。
 笑ったり、怒ったり。意外と表情が豊かだね。

「・・・・・・あたしも小さいころ、良く『男の子みた〜い!』って、お母さんにかっこいい帽子をかぶせられてたの。それで・・・・・・」
「ふ〜ん・・・・・・私、知らないうちにグルトにヘンな思いさせてたのかもね」

 そういうと、サトミちゃんはあはは、と笑った。
 そして礼を言いながら、あたしの部屋を出て行った。

「疲れた〜!」

 あたしはそう言いながら、ふかふかのベッドにぼふっと倒れこんだ。

「もっふー、今日も良い日だったね!」

 もっふーを見ると、遊び疲れたのか、丸くなってすーすーと寝息を立てていた。
 ・・・・・・寝ちゃったか。
 さて、あたしもそろそろ寝ようかな・・・・・・。