コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆CLOVER☆ ( No.48 )
- 日時: 2012/05/27 11:55
- 名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)
○o。. 二十一話 ドキドキ土曜参観 .。o○
ジリリリリリリリ・・・・・・。
目覚まし時計の甲高い音で、目を開けた。
今日は参観日。お母さんが授業を見にくる日だ。
参観にやる授業は、召喚術。
それならあたしもまあまあ得意だから、お母さんに良いところを見せられる。
最近お母さんの姿をあまり見ていないから、安心させたいな。
あたしはぐ〜っと伸びをしながら、水を飲んだ。置いたコップの隣に、青いペンダントがある。
「あ、ペンダント」
良くわかんないんだけど、このペンダントがあると安心できる。
授業で当てられた時、このペンダントが目に入ると、落ち着いてハキハキ回答出来るけど、見当たらなかったら、ドキドキしてしまう。
よし、つけていこう!
「リ〜リイ! 今日は参観日だよ〜!」
いつもの通り、ミリアちゃんが来る。
あたしは「今行く!」と元気に言った。
「は〜あ・・・・・・緊張するなあ。ママの前で失敗しちゃったら、どうしよう・・・・・・」
ミリアちゃんはそう言って、肩をガクンと落とした。
ふと近くの時計を見ると、もうすぐ最初の授業が始まってしまう。
ヤバい!
あたしはショボンとしているミリアちゃんの手を取って、召喚室へと向かった。
すでに、生徒のお母さんとお父さん達が、ザワザワと自分の子供を見ようと身を乗り出している。
やっと召喚室に着くと、ちょうどチャイムが鳴った。
「ギリギリ間に合ったみたいだね〜」
ミリアちゃんはのんきに、周りをキョロキョロと見回している。
あたしも、近くを見回してみた。
・・・・・・あ!
近くの人ごみにまぎれて、短いブロンドの髪が見えた。
おしゃれして、高そうな黒い服を着ているあの人は・・・・・・お母さん!
お母さんの方もあたしに気付いたようで、他の人をかき分けながら、あたしに笑顔を向けた。
あたしに不思議なペンダントをくれて、女手一つであたしを育ててくれたお母さん。
「よし、頑張るぞ!」
あたしは声に出して、そうつぶやいた。
「-------という訳で、これとこれが交配してこの『ブリザードの羽』が生まれます・・・・・・。この呪文は、『ブリザードよ、僕に力を与えよ』です」
専門の先生、フリント先生は、ちょうど錬金の話をしていた。
あたし、こういう授業はハッキリ言って興味ない。
だって、全然実際にやらないんだもん!
「・・・・・・そして、今日はせっかくなので、このブリザードの羽を作ってもらいます。手順はさっき言った通りです。分からないことがあったら、聞いてくださいね!」
そういってフリント先生は、いつも通りさわやかな笑顔でこういう。
ちょ、ちょちょちょちょっと!?
あたし、さっきの話全く聞いてなかった。ヤバい。
いくら優しいフリント先生でも、全部やり方を聞くと言うのはな・・・・・・。
いやいや、動揺するわけにはいかない。ここでお母さんに良いところを見せなきゃ!
あたしは錬金箱の近くへ行った。
これで、作るんだよね・・・・・・。皆もここにいるし。よし、なんとなくわかった!
あたしは、さっきフリント先生が言っていた呪文を唱えた。うろ覚えだけど、運だめし!
「ブリザードよ、私に力を与えよ・・・・・・」
その瞬間、前みたいに錬金箱がピカピカッとフラッシュする。
あたしはギュッと目を瞑った。
「・・・・・・・・・・・・」
しばらくして、ポンッと何かが出てくる音がした。
あたしは目をそろそろとあける。
台の上に、青いオーラを放っている、雪の結晶の形をした羽が転がっている。
どうやら、成功したみたい。
「うわあ・・・・・・」
「リリーちゃん、凄い!」
突然、周りから歓声とパチパチという大きな拍手がした。
振り向くと、生徒があたしの方を見て、驚きが混じった顔で見ている。いや、生徒だけじゃない。大人の人も、あたしのお母さんも。
あたしが何事かと思っていると、フリント先生がゆっくりと近づいてきた。
「リリーさん、錬金に成功したようですね。すごいですね、これを完成させるのにはかなりの魔力が必要なのに・・・・・・」
「はあ・・・・・・」
そ、そうなんだ。
その瞬間、お母さんがこっちに向かって走ってきた。
「お母さん!?」
「リリー、凄いじゃん! 前の学校では、一番足手まといだったお前が・・・・・・」
「・・・・・・」
お母さんの目には、透明な涙が浮かんでいた。
良くわからないけど、お母さんを喜ばせれて良かった!
あたしは、お母さんに向かって、ブリザードの羽を見せながら笑った。
今度の参観日も、今日みたいにお母さんを喜ばすぞ・・・・・・。