コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ☆CLOVER☆ ( No.57 )
- 日時: 2012/06/01 18:10
- 名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)
○o。. 二十三話 不安 .。o○
「ねーねー、みんな〜! アズリ、疲れてきちゃったわ。もう、学校案内はしなくても良いわよ〜。大体、女の子と一緒にしたくなかったし」
アズリちゃんはそう言って、ダランと腕を下げる。せっかく可愛いのに、そんなやる気ない格好しちゃったら、もったいなくなるよ!
「も〜、アズリちゃんったら! ボク達だって、先生に頼まれてやってるんだからね」
ミリアちゃんは、後ろについてきていたアズリちゃんに向かって、少しむすっとした、表情でこう言った。ミリアちゃんのほっぺが、小さく膨らんでいる。
「きゃはは、マジメちゃ〜ん! そんなのだったら、この世の中、生きていけないわよ?」
「アズリちゃんの方が、生きてけないでしょ!」
おなかを抱えて大爆笑するアズリちゃんに、ミリアちゃんは頬を膨らませたまま、さっきよりももっとむっとした顔で、まるで幼い子供をしかる母親のようにこう言った。
あ〜あ、どっちもどっち、だね。
あたしは、内心アズリちゃんにそこまで腹を立ててはいなかった。
なんか、面白いし。
「ね〜、ミリアさんと、リリーさん……だったっけ? リリーさん達、フェアリー持ってるの?」
「ん? まあ、この学校の生徒は、大体持ってるけど……」
「まあ、フェアリーのトラブルとかも結構あるみたいだけどね」
ミリアちゃんは、首をかしげて、天井を見ながらこう言う。
「そっか〜……。アズリも、フェアリー欲しいなあ……。思いっきり可愛いの」
「はいはい」
アズリちゃんの言ったことがただの憧れだったと分かって、ミリアちゃんはまたずんずんと先に進んだ。
キーンコーン……。
もう聞きなれた大きなチャイム。
もう、次の授業が始まるはずだ。いつの間にか、さっきから、蟻のようにたくさんいて邪魔だった生徒も、今では全く見えない。
「あ、チャイムなっちゃった! リリー、アズリちゃん、急ぐよ!」
ミリアちゃんがガランとした廊下を走りだしたと同時に、進行方向から、ドドドドドと、低い大きな音がした。まるで、何かが崩れてこちらに振ってくるような……。
「……なんだろ? ねえ、聞こえる?」
「うん、なんだか、怖いね……」
廊下の奥をじっと見つめていたミリアちゃんに、アズリちゃんは高い声を出しながら、寄りかかった。
同時に、おくから灰色の濃い煙がもくもくとこっちに襲いかかってきた。動き、早っ! なんなの、この煙……。
「きゃあ! 何これ! ……やだ、おニューの制服が汚れちゃう!」
「アズリちゃん、そんな場合じゃないよ! ……よく分からないけど、とりあえず後ろへ逃げよう!」
濃い煙であまり見えないはずなのに、ミリアちゃんは、力強くあたしの腕を握って、反対方向へと走り出した。
……なんなの? 今までずっとここにいたミリアちゃんも、あわててるみたいだし。
何だか、不安だよ……。
「-------はあ、はあ……、みんな、ちゃんといる……?」
「ア、ズリ……は、だい、じょうぶだ、よ……」
あたし達は、一番校舎の端の職員室のドアを乱暴に開けて、へなへなと座り込んだ。
アズリちゃんは苦しそうに、ケホケホと咳をしながら、あたし達の顔を見回す。
「良かった……」
ミリアちゃんはホッと肩をなでおろすと、職員室の中をキョロキョロと見回した。あたしも、つられて見回す。
モサモサした良くわからない観葉植物に、白い長テーブルと、パイプ椅子。ここら辺はあまり変わりのないようだけど、何よりも……ガランとしている。
やっぱり、何かあったんだ。
「誰もいないね」
ミリアちゃんも同じことを思ったのか、心配そうに言う。
「なんだったのかな?」
アズリちゃんは気になって、職員室のドアを静かに開けた。
「わっ!」
「ど、どうしたの!? アズリちゃん?」
あたしは、驚いてこう言った。
「だ、誰もいない……」
「びっくりした……」
あたし達は、もう一度座り込む。
先生もみんなも、どうしちゃったんだろ……?