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Re: ☆CLOVER☆ ( No.6 )
日時: 2012/04/30 10:41
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: JkjZHF0x)

○o。. 六話 行方不明の女の子 .。o○

 その日の数十分後。
 この入学お祝いパーティ(?)は、先生にすべて内緒で用意していたので、自力で片づけなければならなかった。
 あたしは、皆に気になったことを伝えてみた。

「魔法で片づけしちゃえば良いのに・・・・・・」

 すると、近くにいた水色のセミロングの女の子が、答えてくれた。

「バカね、フェアリー魔法学校では、自分の寮で朝の用意をする時と、校長先生に許可された時以外、学校の中で魔法を使うことは校則違反なのよ」
「そうなの?」

 あたしがそう言った時、

「ちょっと〜! リンネとリリーも、手伝ってよ!」

 近くから声がした。声のした方を振り向くと、そこには、ミリアちゃんがいた。

「二人してサボるなんて、ひどいわよ! 時間ないんだから!」

 手を腰にしてプンプン起こってるミリアちゃんに、セミロングの女の子-------リンネちゃんは、攻撃的に答えた。

「は〜あ!? あたしは、こいつにフェアリー魔法学校の校則の事を教えてるだけだもん!」

 そして、リンネちゃんはあたしの事をビシッと指さした。

「え、あたしのせい?」
「そうなの!」

 あたしはただ気になったことを声に出しただけだもん! と言おうとした時-------、ミリアちゃんが叫んだ。

「リリーは、転校生だからしょうがないじゃん!」
(ミリアちゃん、あたし達の話、聞いてたんだー・・・・・・)

 ミリアちゃんがあたしをかばってくれると、リンネちゃんはじーっとあたしとミリアちゃんのことを睨んで、

「ふんだっ」

 あっかんべーをして、どこかへ行ってしまった。

「まったくもー・・・・・・」

 ミリアちゃんが、こうつぶやいた。

「追いかけなくて良いの?」
「良いの良いの。リンネはああやって、些細なことですねると、すぐに戻ってくるの・・・・・・」

 そう聞いて、あたしはほっと肩をなでおろした。
 机と椅子も元通りにし、あたしは最前列にリンネちゃんと座った。

 さて、片づけがなんとか終わって、生徒達が数十人集まりった。
 そしてさらに数分後、召喚術授業のフリント先生が扉から入ってくると・・・・・・。

「おはようございます、皆さん。・・・・・・リンネ・ブルータスさんを知りませんか?」

 え? リンネ・ブルータスって・・・・・・。
 もしかして、水色セミロングの女の子?
 少しの間をおいて、隣に座っていたミリアちゃんが、突然立ち上がった。

「あの、さっきボク達が早めに召喚室にリンネと来て、そしてちょっと・・・・・・けんかしちゃって、すねて、良く分からなくて、どっか行って・・・・・・」

 ミリアちゃんが続きを言おうとした時、フリント先生はミリアちゃんの発言を拒んだ。

「ミリア・サリジアさん、事情は良く分かりました。では今日は授業をなしにして、皆さんでブルータスさんを探しましょう」

 途端に、後ろの席から男子の「うわっほぉー!」という猿みたいな大声と、女子の「リンネちゃん、どうしちゃったんだろうね・・・・・・」という悲しそうな声が聞こえてきた。
 だけどあたしは、男子みたいに喜ぶことは出来なかった。
 だって、リンネちゃんがどこに行ったのかは分からないのに、リンネちゃんがすねちゃったのはあたしのせいだと思ったから。

 皆でリンネちゃんを探す時、女子トイレに入ったあたしは、一番奥の個室から、シクシクと音がするのが耳に入った。
 小さいけど、まぎれもない、リンネちゃんの声だった。

「リンネちゃん?」

 あたしがそう個室に向かって言うと、シクシクという音がピタッと止んだ。

「・・・・・・転校生・・・・・・じゃなくて、リリー、さん?」

 あたしが個室の扉をあけると、案の定、リンネちゃんが涙目になりながらこっちを見ていた。
 そのまなざしは、睨んでいない。
 むしろ、うるうるして心細そうに見えた。

「・・・・・・ごめんねっあたし・・・・・・急にすねて・・・・・・」

 リンネちゃんの目から、ポロポロと涙が落ちる。
 あたしは、首をブンブンと振った。

「リンネちゃん、教室にもどろ」
「うん・・・・・・」

 リンネちゃんの笑顔は、さっきとはまるで違う、無邪気で純粋な笑顔だった---------