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Re: 【参照四百突破!】☆CLOVER☆【ありがとうございます!】 ( No.71 )
日時: 2012/06/14 19:53
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: u5JYbeHw)

○o。. 二十九話 ドッペルゲンガーの秘密 .。o○

「リリーが、ドッペルゲンガーに会った————!?」
「うん、レミーちゃんなら、何か分かるかもと思って……」

 談話室で、フカフカのソファに座ってあたしはレミーちゃんに相談していた。もしかしたら、あたしの死期が近いかもってことかもしれないし……。

「え〜!? ど、ドッペルゲンガーにあったの!? たたた、大変じゃないの!」

 そばであたし達の会話に聞き耳を立てていたミリアちゃんが、凄く目をキョトキョト(?)させながら大きな声で聞いてきた。いつの間にか、サトミちゃんやシフォンちゃん、その他女子もろもろが集まってきている。
 レミーちゃん、声高いよ……。

「うん。百%とは言えないんだけど、髪の色や輪郭も、背丈も服装もほぼ同じだったし……」
「そっかー。それは心配だね。ちなみに、リリーちゃん。その人、どこで見たの?」

 サトミちゃんが心配そうな顔で聞いてきた。やっぱり、優しくて大人しい子って頼りになるな〜……。

「ん? 商店街の入り口近くにある公園のベンチだよ」
「そっか……。でも、リリーちゃん、そこにはあまりいったことなかったんだよね? ドッペルゲンガーは、本人に関係がある所に現れるらしいから……」
「で、でも、あんなにそっくりな人がいるなんて……」
「…………心配なの? リリー」

 突然、レミーちゃんが改まった様子で聞いてきた。「そりゃ、この学校で数人しか見ていないその一人に選ばれちゃったんだし、心配だよ」あたしは、思わず下を向く。

「じゃあ、レミー達も協力するっ! ドッペルゲンガーは、どんな言葉でも良いのでバカにすると、消えてくれるの!」

 レミーちゃん、それを先に言って欲しかった……。でも、意外と簡単かもね!
 次の日。その日も自由時間があったので、あたしとレミーちゃん、シフォンちゃん、サトミちゃん、ミリアちゃん、リンネちゃんで、あたしのドッペルゲンガーを探しに行くことになった。やっぱり、持つべきものは友達……。

「見つかった? レミーちゃん」
「いや、全然だよ。そっちは?」
「私も……」

 結局、その日は夕暮れ時になるまで見つからなくて、そろそろ帰ろうと言いだしていた。やっぱり、あれはあたしの見間違い?
 だけど、ニヤッとこっちをみて笑ったのがちょっと気になる……。

「ごめんね、みんな。あたしの事情につき合わせて」
「ぜ〜んぜん! あたしも、暇つぶしできたし!」

 ……ありがとう。
 でもあたしは何か心残りで、キョロキョロとあたりを見回していた。何だか、さっきから胸騒ぎがするんだ。
 その時、ガサッという茂みをこするような音が聞こえた。あたしは、思わず振り向く。
 目が会ったのは、青いツインテール、少し垂れ目気味の青い目……。

「あっ……、えっとっっ」
「どうしたの、リリー……あ、あれ……」

 そのあたしに瓜二つの女の子は、少し迷ったようにコンクリートの地面を見つめて、そろそろとこちらに向かって歩いてきた。なんか、ドキドキする……。
 その瞬間、視界が真っ黒い光に包まれる。何事かと、目を凝らした。
 あたしの目の前には、ピンクの小さなリボンでツインテールにした、あたしと同い年ぐらいの女の子は……。

「こんにちは。昨日は、驚かせてすみません」

 その女の子は、黒い髪をひかりにあてて、ニコッと笑ってこう言った。

「あんたは、誰なの?」
「え?」

 身を乗り出したのは、きらきらした表情のレミーちゃん。

「僕ですか? 僕はドッペルゲンガー。闇の国からの使者です」
「やっぱり、ドッペルゲン……」
「そう。僕は闇の国の帝王から、人の命を奪うためにやってきたのです。さっきの、貴方とそっくりだったでしょう?」

 ドッペルゲンガーの女の子は、あたしのことを見つめて、にこっと笑った。

「……と、言うのは嘘で」
「はぁっ!?」

 リンネちゃんが、驚いて声も出ないような(出たけど)表情で言った。

「闇の国からこの世界に来たのは本当ですが、『人の命を奪う』なんてことはしません。たまたま、単純そうなリリーさんに付きまとっただけです。人の命を奪うなんて野蛮なこと、僕はしませんよ」

 いや、あなたは十分野蛮なことをしてますよ。

「じゃあ、死期が近いってのは、嘘なの?」

 レミーちゃんが立ちつくしてこう言った。ドッペルゲンガーちゃんは、クスクスと小さく笑いながら、

「あはは、そんなの信じてたんですか? こっどもですね〜!」

 と言った。 
 その声を聞いたレミーちゃんは、顔を夕陽のように真っ赤にして、「だってレミー子供だもん!」とバタバタと悔しそうに言う。

「まぁ、数人の魔法学校の生徒を驚かせただけでも十分です。面白かったので、また来ますね!」

 ドッペルゲンガーちゃんは、最後に悪戯っぽそうに笑って、再び真っ黒なひかりに包まれて————次の瞬間、あたしの視界からは、いなくなった。
 なんだ、あたしが見た瓜二つの子の正体は、ただの悪戯好きのドッペルゲンガー? いや、それでも大事件なんだけど……。

「もう、一生来なくていい〜〜〜〜〜!」

 この件は、レミーちゃんのこの大声で(一旦)締めくくられた————