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Re: 【お知らせあり】☆CLOVER☆ ( No.77 )
日時: 2012/06/17 11:28
名前: かがみ ◆CijpBuWabs (ID: u5JYbeHw)
参照: http//

※この話は、チャイの意見です。また、いろんな意味で観覧注意。


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○o。. 三十話 男女交代!? しらゆきひめ .。o○

「え〜……今日の特別授業は……」

 多目的室(広めの、机などが置いてあるところ)で、校長先生が、白くて長いあごひげをさすりながら低い声で言う。 今日は、校長先生がやる特別授業と聞いて、ミリアちゃんに引っ張られてきました。

「男女交代で、白雪姫の劇をやってもらいます!」

 校長は、元から細い目をさらに細くさせた。 とたんに、見に来ていた数少ない生徒から、「えぇ〜〜〜!?」という声が聞こえる。 そんなに驚くこと? 校長が言うの、大体そんなことじゃん。
 だけど、何故か隣にいるミリアちゃんまでも、あんぐりと口をあけて立ちつくしていた。 この、マイペースなミリアちゃんがこんなに驚くなんて……。

「ミリアちゃん。間抜けな校長が劇をやるって、そんなに不思議なことなの?」
「当たり前じゃない! あ、そうか。リリーは知らないよね」

 ミリアちゃんは呆れたように肩をすくめると、急に真顔になって語り始めた。

「校長、『童話や昔話なんてすべて嘘!』って言って、学園祭とかでそういう劇はやらないって、断固拒否することで有名なの。 だから、あの校長が自分から率先するなんて、太陽が地球に激突するくらい不思議なことなんだよ」

 あたしは、驚きのあまり声も出なかった。 どうして童話や昔話をそんなに嫌うのだろう。 あたしはそういう乙女ちっくなのそこまで嫌いじゃないし、あまり理解は出来なかった。
 校長は、目を細くしたまま続けた。

「劇と言っても、学園祭などでやるような長いものではなく、数ページかかれた台本を、そのまま読むだけです。 もちろん、衣装なども着ません。 ナレーターは、私がやります」
「はぁ……」

 そんなものなんだね、と思っていたら、早速前から薄っぺらい、ホッチキスでとめられた紙が届いた。 あたしは、表紙をまじまじと見つめる。
 表紙はこんな感じで、ざら紙で出来ていた。


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               【げき しらゆきひめ】


           だいほん:にーながーてぃす
           きょうりょく:まほうがっこうこうちよう


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「何コレ……」と、隣のミリアちゃんから苦々しげな声が聞こえた。 当たり前だ。
 こんな、字の汚い、しかもすべてひらがなで書かれた表紙が目に入ったのだから。 それに、『にーながーてぃす』って誰なんだろう? あたしの知らない、映画や劇の監督さんなのかな??
 試しに一ページ目、二ページ目までペラペラとめくってみると、やっぱり字が汚くて、すべてひらがな。

「まぁ、こんな感じでやっていきます。 誰か、男子で主役の白雪姫をやりたい人はいますか?」

 こんな感じってどんな感じ……。 だけど、手をあげる人はだれ一人としていない。 そりゃそうだよね。 あーあ、こんなグダグダな授業、出なければ良かった。

「……いませんか? では、七人の小人役をやりたい人は……」

 前にいた人達が、そろそろと手を挙げた。 ミリアちゃんも挙げているのを見て、あたしも慌てて手を挙げる。
 残っているのは、一人だけ。 しかも、男子。
 その男子は、キョロキョロとあたりを見回すと、慌ててぴしっと手を挙げた。

「おや、そこの男子。 もう小人役は埋まってしまっていますよ。 白雪姫役をやってください」
「い、いやいやいやっ! 俺、ムリっす!」

 その男子は、かわいそうなことに、紫色の目に涙を浮かべている。 ああ、ホントにかわいそう……。

「だけれど、王子役がいませんね。 女子で王子様役は……」
「おじいちゃん、私がやる!!」

 急に、つんととがった女の子らしい声がした。 あたしとみんなが一斉に振り返ると、茶色いショートボブの、七歳くらいの女の子がいる。

「ああ、ニーナ。 ニーナが王子役をやってくれるのかい?」
「うん!」

 な、何? この子……。 校長も嬉しそうに接しているし。

(そういえば!)

 あたしは、表紙をもう一度見つめた。 あった、台本のところに、『にーな』の文字……。 この子が、この台本を作ったの?

「ということで。 王子様役は、私の孫のニーナがやってくれることになりました」

 あたしを含めて、みんなあっけにとられている。 そんなあたし達の表情を見て察したのか、ニーナと呼ばれた女の子が。

「皆さんこんにちはぁ! ニーナと言います。 この台本を作りました。 おじいちゃん、ニーナ、頑張るから!」

 と、小さい子らしい、まとまりのない言葉でニーナちゃんは説明する。
 その時、ミリアちゃんがあたしの肩に手を置いた。

「分かった。 校長は、劇をやりたいんじゃなくて、みんなが楽しそうに劇をやっているところを見せたかったのよ!」

 はぁ、そういうこと……。 さっき白雪姫役に指名されてた男子も、相手が可愛い子だと思って、少し嬉しそうだった。
 よし、劇、がんばろ……!







『それでは、王子。 白雪姫にかかった魔法を、キスで解いてください……!』









 多目的室に、校長の楽しそうな声が響いた。



=おまけの後日談=


リリー「ねぇ作者。どうして白雪姫にしたの?」

かがみ「昨日、白雪姫の映画見に行ったから!!」

ミリア「はぁ……」

かがみ「ネタを提供してくれたチャイ、ありがとねー!!」