コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: *迷恋華* ф実話ф ( No.21 )
日時: 2012/05/23 17:17
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: b1kDOJaF)
参照: 後悔しないの 君に近づいた

第六話『本当に、』


文化祭活動では、話しかける。


目標を持って、水城依麻頑張ります。























……と、意気込んでいた私だったが。
装飾係の仕事は特になく、打ち合わせだけで終わってしまった。
活動無しかい!! 私は心の中で、先生に向かって舌打ちをした。


てっきり、今日から活動するのかと思ってたし……。
学校は、三時半まで帰れない。
今の時刻は、二時過ぎ。
まだ一時間ほどある。
自分の係は終わってやることないのに、三時半まで何をすればいいっていうんだ。


「……依麻」


自分の教室の前で突っ立っていると、横に居た優が横目で私を見た。
目が合うと、優はニヤりと笑みを浮かべる。


「サボるか」


その優の言葉に、私の表情はみるみるうちに明るくなっていく気がした。
やることもないし、教室に居たくないし——。


「うん、サボろう」


私は笑顔で、優の考えを受け入れた。
そうと決まれば、女子トイレへゴー!
私と優は、早々に足を進めた。


クラスにいて福野や話の合わない人達と、一緒に共同作業をやるのが私は嫌だった。
それは優も同じだったので、その点については話が合う。


「……あーあ」


女子トイレに入ると、私は壁にもたれて小さく溜息をついた。


「私らまであの環境で手伝わされるとか、まじ最悪でしょ」


優はそういい、鏡の前で髪の毛をチェックした。
確かに、優の言う通りだ。
前から私は教室に馴染んでなかったが、最近になってますます馴染めなくなっていた。
私も馴染もうとは思っていなかったし、むしろ距離を置きたかった。


とりあえず、早く帰りたい。
早く三時半になれ。


それだけをひたすら祈りながら、優と世間話をしていた。


**


「——もう、こんな時間か。三時半近いし、一回教室行く?」
「そうだね」


時計を見ると、もう三時すぎだった。
私と優は再び足を動かし、教室へと向かった。
そのままドアを開け、教室に入るなりいきなり冷たい目線が突き刺さる。
……入って早々これなら、最初から教室で作業出来ないってば。
私はそう思いながら、空いてる席へと向かった。


壱は……。
疾風や周りの男子と、楽しそうに作業をしていた。
それを見て少しだけ憂鬱になりながらも、優に話しかけようとしたとき。


「——ねぇ、依麻ってさー。去年の文化祭居たっけー?」


女子の一人に、そう言われた。
それと同時に、クラスの半分以上が私の方を見た。


「居た」


私は一言、それだけ呟いた。
教室が一瞬だけ静かになると、すぐに優香ちゃんが笑い出した。


「あははっ、あれ、居たっけー?」


壱のすぐ近くで、作業している優香ちゃん。
それを見ると、なんだか胸が熱くなる。


壱の好きな人は、優香ちゃん……?
そう考えると、どうしても辛かった。
私は蓮中から目を逸らし、俯く。


「……酷くね?」


優が私をカバーするように、そうぽつりと呟いた。
クラスの人に聞こえたか、聞こえなかったはわからない。
だけどクラスの雰囲気は一気に静かになったので、それはいいだろう。
だけど、言い返せなかった。
優香ちゃんを見てると、言葉が出てこなかった。


だから優が私をカバーしてくれた時、すごく嬉しかった。


「……まだ三時半じゃないけど、帰るか」


私は俯いていた顔をあげてそう言った。
そしてありがとうの意味を込め、優に向けて笑顔を浮かべる。


「……うん、帰るか!」


優も私に答えるように、そう笑みを浮かべた。
そのまま優は自分の席に向かい、カバンを取る。
私のカバンは壁新聞側にある。
優香ちゃんが目に入りながらも、それを無視して足を進めた。


「……」


カバンを取りに行こうとする際、龍がこちらを見ていた。
私はそれを無視し、素早くカバンをとってドアの方へ向かった。


——最後に、壱の方を振り向きたかった。
だけど、振り向けなかった。


私は優の後を続くように、教室を飛び出した。


「——絶対あいつら、うちらが帰った後に悪口言いまくってるよ」


廊下を歩き、玄関に着いた所で優はそう言った。
悪口、言いたければ勝手に言ってればいい。
だけど——……。


これで、いいのだろうか?
明らかに、クラスから孤立してる私。
壱も、クラスの連中みたいな目で私を見ているのだろうか。


あの、冷たい目で。
軽蔑した、目で。


クラスの輪から離れた私を、どういう目で見るの?
孤立している私。
壱に振られた私。
ここに頼れるものはなくて、信用できるものはなくて。
私を認めてくれる人は、いなくて。
居場所がない、教室。


壱は、どう思っているの?
どんな目で、私を見ているの?


孤立して、壱からも嫌われる?
もう叶わない、永遠な片想い?


それで、いいの?



















——本当に、これでいいの? 私。