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Re: *迷恋華* ф実話ф ( No.29 )
日時: 2012/07/28 17:29
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: wI2AEWca)
参照: からんころんからんころん

第九話『人生が変わる計画』


メールが出来て、少しだけ一歩前進できた気分で日常は過ぎていった。
気温はまだ温かいが、少しだけ風が冷たくなってきた季節。
そんな九月ももう終盤に入り、文化祭活動も最終日が迫ってきていた。


前進は出来た気がするけど、文化祭活動の装飾では、壱と接する機会もなく——。
ただ一つだけ、変わったこと。
隣のクラスの保高裕也と話すようになり、メールをするようになったという事だけだ。


そんな保高から、ある時こんなメールが来た。


——『今週の日曜日、みんなで遊ばない?』


このメールが来たことで、私の人生は一気に変わることになる。
























「ねぇ、依麻! 日曜日、保高たちと遊ぶの?」


文化祭活動最終日。
最後の作業中に、由良にそう話しかけられた。
私は手を止め、由良の顔を見る。


「まぁ、一応誘われたし……」
「他に誰いるの?」
「んーとね、確か優と世良と、……あと林田がくるとか」
「林田!?」


由良は驚いた声を出し、目丸くした。
驚きたいのは、私の方だ。
正直林田と遊ぶのは、気まずい。
気まずいけれど……私以上に向こうは気まずいに決まっている。
だからこそこっちが笑顔でちゃんと接しなきゃ!!


そう意気込む私に、由良はツッこむように口を開いた。


「それ絶対さ、林田が依麻に近付くための企画でしょ!!」
「え」


そんな大袈裟な……。
大体、もう林田も私の事好きじゃないだろうし。


「何もされないし、大丈夫だよ」
「だって林田、まだ依麻のこと好きだよ?」
「はい?」
「諦められないって」


な ん だ と


「え、本当に?」
「うん。『依麻が壱のこと好きなのは知ってるけど、俺は諦められない』って」


由良のその言葉を聞いて、胸が痛くなった。
……私も、一緒だ。
壱に他の好きな人がいたって、
振られたって、
簡単には諦められないよ。


……でもさ、


「由良」
「ん?」
「なんで林田、私が壱のこと好きなの知ってるの?」
「誰かが言ったんじゃない?」


なぁぁぁにぃぃぃ!?
壱の事好きなのは、なるべく知られたくなかったのに……。
知られちゃったら、仕方ないけどさ!!


「……まじかぁ……」


わかってはいても、溜息混じりに言葉が出る。
しかしすぐに顔を上げ、由良を見つめた。


「でもそれさ、いつの話?」
「祭」
「祭って、神社の?」
「ううん、夏休み前の」


夏休み前の祭……って。
ちょうど、壱に告白しようとしてた期間じゃん。
二か月位前のことだから……。
結構前の話だから、きっと大丈夫だよ、うん。


私は自分にそう言い聞かせ、作業に専念した。